スペイン巡礼のゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラ在住の堀いつこです。
スペインガリシア州公認ガイドとして、年間100名以上の日本人巡礼者を聖地へご案内しています。また、サンティアゴ大学で観光学修士号を取得し、巡礼の統計データを長年研究してきました。
この記事は、巡礼事務所が発表した2025年の最新統計データをもとに、数字の裏にある「巡礼のリアルな変化」を読み解く、少しマニアックですがこの巡礼路について理解したい人には必読の内容です。
最初に結論をお伝えします。2025年のデータが示す最大のトピックは以下の2点です。
- 年間巡礼者数は53万人を突破し、過去最高レベルを維持。
- 「フランス人の道」一強時代が終わり、「ポルトガルの道」がシェア35%を超える歴史的転換期に入った。
なぜこのような変化が起きているのか? ガイドブックには載らない現地の肌感覚と合わせて解説します。
そもそも「巡礼事務所の統計」とは?
本題に入る前に、前提知識を少しだけ整理しましょう。
巡礼事務所が発表する統計は、「サンティアゴに到着し、巡礼証明書(コンポステーラ)を受け取った人数」です。
証明書の獲得には「徒歩で少なくともラスト100kmを歩く」などの条件があります。詳しい条件や最短ルートについては、以下の記事で解説しています。
聖年(Xacobeo)の影響と近年の傾向
これまでは、7月25日が日曜日に重なる「聖年」に巡礼者が爆発的に増えるのが定説でした。しかし、近年の世界的な巡礼ブームにより、現在は聖年に関わらず毎年記録を更新し続けるという新しいフェーズに入っています。
【2025年確定版】全体の巡礼者数とルート別内訳
では、最新データを見てみましょう。巡礼事務所が発表した最新の年間統計(2025年)によると、1年間にコンポステーラ(巡礼証明書)を受け取った総数は 53万987人 でした。
ルート別の内訳は以下の通りです。
| 順位 | ルート名 | 人数 | シェア率 |
|---|---|---|---|
| 1位 | フランス人の道 | 242,163人 | 45.61% |
| 2位 | ポルトガルの道(内陸) | 100,831人 | 18.99% |
| 3位 | ポルトガルの道(海岸) | 89,504人 | 16.86% |
| 4位 | イギリス人の道 | 30,203人 | 5.69% |
| 5位 | プリミティブの道 | 27,868人 | 5.25% |
| 6位 | 北の道 | 21,482人 | 4.05% |
※データ出典:Oficina del Peregrino(2025年年間統計) ※人数は概数を含みます。
「注目すべきは、2位の『内陸ルート』と3位の『海岸ルート』を合わせた『ポルトガル方面』からの巡礼者が、合計で35.85%(約19万人)に達している点です!」
かつて絶対的な王道だった「フランス人の道」のシェアは45.6%まで落ち着き、一方で「ポルトガルの道」が35%を超えるシェアを獲得しています。
これは、巡礼者の3人に1人以上がポルトガルの道を選んでいるという、歴史的な変化を表しています。
なぜ今、ポルトガルの道が35%も選ばれるのか?
1番人気の「フランス人の道」ですが、かつては約8割を占めていたシェアが、近年は減り続けています。
その一方で、なぜこれほどまでに「ポルトガルの道」が選ばれているのでしょうか?
現地の最新レポート(出典:スペイン巡礼連盟)では、数字の増加以上に巡礼者の意識の変化と環境の向上が指摘されています。
主な理由は以下の3点です。
- 「静けさ」と「王道の代替」を求めて 多くの巡礼者が、フランス人の道とは異なる、より静かで落ち着いた巡礼体験を求めています。
- インフラとサービスの充実 標識がしっかりと整備され、宿泊施設(アルベルゲ)のネットワークが強固になり、安心して歩ける道になりました。
- 遺産と景観の融合 歴史的な文化遺産と、美しい風景のバランスが絶妙であること。これがポルトガルの道を「カミーノ・デ・サンティアゴ」の中心的な存在へと押し上げました。
単に混雑を避けるだけでなく、「整備された快適な環境で、歴史と景色を楽しみながら歩きたい」という現代の巡礼者のニーズに、このルートが完璧にマッチした結果と言えるでしょう。
これから巡礼を計画する方は、「王道のフランス人の道」か「快適なポルトガルの道」か、選択肢が広がっていると言えるでしょう。
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統計に見る巡礼者の実態(属性・国籍・動機)
「どんな人が歩いているの?」という疑問にも、統計データは答えてくれます。
1. 国籍別の最新トレンド
外国人巡礼者の割合は年々増加しています。
- ヨーロッパ: イタリア、ドイツ、ポルトガルなど近隣国が上位。
- アメリカ: 映画の影響や口コミで近年急増中。
- アジア: 韓国からの巡礼者が圧倒的。特に1月・2月の冬休み期間は、韓国の若者で賑わいます。
2. 男女比と年齢層
かつては男性社会でしたが、現在は女性の比率が高まっており、男女比はほぼ半々、あるいは女性がわずかに上回る傾向にあります。治安が良く、女性一人でも歩きやすい環境であることの証明です。
3. 巡礼の動機(建前と本音)
巡礼事務所の統計は、巡礼の目的を下記の3つに分けています。
- 宗教的な理由
- 宗教&文化
- 文化的な理由
大聖堂に属する事務所なので、上記の理由以外は興味はないだろうと思いますが…
これでは、巡礼者のリアルな声は反映されていません。
「実際、現場で皆さんと話していると、もっと多様な理由で歩かれていますよ!」
【現場でよく聞くリアルな理由】
- 自然を楽しみたい(ハイキング感覚)
- スポーツ・挑戦(自分の体力を試したい)
- リフレッシュ(デジタルデトックス、人生の休暇)
「クリスチャンでないと歩いてはいけない」ということは全くありません。
どんな動機であれ、道はすべての人に開かれていますので、安心して計画を進めてください。
【公認ガイドの注目データ】前年比55%増の穴場ルートとは?
ランキング下位ですが、統計データの中でひときわ異彩を放っているルートがあります。
それが「ムロス・ノイアの道(Camino de Muros Noia)」です。
- 2024年: 369人
- 2025年: 572人
- 成長率: 55.01%増!
まだ年間600人弱と少ないですが、前年比1.5倍の急増ぶりです。
混雑を避け、手つかずのガリシアの海岸線を楽しみたい巡礼者たちに発見され始めています。
誰とも被らない、特別なカミーノを探しているならここが狙い目かもしれません!
▼これから流行る?ムロス・ノイアの道の詳細はこちら 続きを見る
【最新2026年】10日間で叶える聖地巡礼。海と歴史の「ムロス〜ノイアの道」5日間モデルコース
統計に出ない人気のルート

サンティアゴの巡礼事務所は、サンティアゴを目指して歩いた巡礼者をカウントするので、サンティアゴからムシアやフィニステーレへ歩く巡礼者の数はカウントされません。
実際の数を把握するのが難しいのですが、サンティアゴからフィニステーレに到着した巡礼者が獲得できるLa Fisterrana(ラ・フィステラーナ)という証明書があり、近年は年間数万人が訪れる人気ルートになっています
フィステラーナは大聖堂と関係ありませんが、数字だけで見るとポルトガル人の道の次いで3位に入る数字です。
まとめ:数字から見える「あなただけのカミーノ」
2025年の統計データを整理します。
- 全体の巡礼者数は53万人超えで高止まり。
- 「ポルトガルの道」がシェア30%を超え、新たなスタンダードに。
- 韓国やアメリカなど、国際色がさらに豊かに。
- 「ムロス・ノイア」のような穴場ルートも急成長中。
私が大学院で統計分析を始めた10年以上前と比べると、巡礼のスタイルは多様化していると思います。数字はあくまで傾向ですが、そこからは「より自分らしい旅」を求める巡礼者たちの意識の変化が見て取れます。
「どのルートが自分に合っているの?」 「体力に自信がないけれど、私でも歩ける?」
現在はネットで検索すれば、すでに歩かれた方の体験談がたくさん出てきます。情報不足だった頃に比べれば大きな前進ですが、逆に「情報が多すぎて、どれが自分に合っているのか分からない」という相談も増えています。
カミーノは非常にパーソナルな旅です。誰かの正解が、あなたにとっての正解とは限りません。
私のブログやガイドサービスでは、統計や一般論だけでなく、現地に住む私だからこそ分かる「空気感」や「最新の治安・インフラ事情」をお伝えしています。 不安を解消し、一生の宝物になる「あなただけの巡礼」を一緒に作りませんか?
まずは、お気軽にご相談ください。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。