この記事では、サンティアゴ巡礼者事務所が発表する統計情報を使って
- 統計情報の読み方。
- 統計情報だけでは分からない事。
- 2018年に巡礼者が増えたルートや統計に出ない人気ルート。
などについてお話します。
2018年にガリシア州政府が発表した最新の巡礼調査の情報も追加していますので、興味のある方は是非お読み下さい。
もくじ
2018年の巡礼者数は?
2018年の巡礼者数は約32万8000人。1972年からの巡礼者数推移のデータが興味深い。太字の年は聖年。 pic.twitter.com/AEYVR7A9Zi
— オトラスペイン (@otra_spain) 27 de diciembre de 2018
2018年の最終的な巡礼者数は、32万7,328人でした。
2018年前半は、例年と比べても決して天気に恵まれた年ではなかったですが・・・
- 8月の巡礼者数は6万人、(1日約2,000人の巡礼者が巡礼証明書をもらった計算)
- 10月に30万人突破。
と、直近の聖年(2010年)の数を5万人も上回る数字を出しました。

という方もいると思うので、簡単に説明しますね。
これまでの巡礼者数の推移は?
下のグラフは、1989~2017年まで巡礼者数の推移を表しています。
(資料)Manuel F. Rodríguez, Los Años Santos compostelanos del siglo XXと巡礼事務所データから筆者が作成
急に棒グラフが伸びている年は、聖ヤコブの祝日7月25日が日曜日に当たる聖年です。

巡礼者数は聖年に大きく増加し、次の聖年まで記録は更新されないのがこれまでの傾向でしたが‥‥
近年の世界的なスペイン巡礼の人気により、聖年に関わらず多くの巡礼者が歩いています。
ガリシア州政府の最新の調査で、次の聖年2021年の巡礼者数は46万4,000人になると予測しています。
本当の巡礼者数はもっと多い!
巡礼事務所の統計は、コンポステーラ(巡礼証明書)を取得した巡礼者数を表しています。
巡礼路を1度でも歩いた人なら分かると思いますが、巡礼証明書をもらわない巡礼者が結構います。
実際の巡礼者数は、あなたが想像する以上にずっと大きな数字です。
カミーノで巡礼する目的や動機は?
巡礼事務所の統計は、巡礼の目的を下記の3つに分けています。
- 宗教的な理由
- 宗教&文化
- 文化的な理由
しかし、巡礼者のリアルな声が反映されていません。
少し古い情報ですが、サンティアゴ大学が行った調査では自然を楽しむ、スポーツなどといった目的が上位に来ています。
カミーノはどんな人が歩いている?
カミーノは老若男女、国籍、宗教を問わずすべての人に歩かれている道。
男女比は、わずかに男性巡礼者の比率が多いですが、ほぼ半々です。
スペイン人と外国人巡礼者比では、通常の年ではほぼ半々でも聖年になるとスペイン人巡礼者の割合が高くなる傾向があります。(2004年のスペイン人巡礼者は約80%、2010年は約70%)
しかし、近年のデータから年々外国人巡礼者の数が増えています。
スペイン人巡礼者の内訳
(資料)サンティアゴ巡礼事務所データから筆者が作成
国内ではマドリード、アンダルシア、カタルーニャ、バレンシア、ガリシアから歩く人が多いですが…
聖年は、ガリシア人巡礼者数が大きく増加します。
聖年にスペイン人巡礼者が増加するひとつの要因は、ガリシア人巡礼者にあるようです。
外国人巡礼者の内訳は?
外国人巡礼者ランキングの上位を占める国はドイツ、イタリア、フランス、ポルトガルなどのヨーロッパ諸国です。
宗教や地理的な近さから納得の結果ですが、2014年からイタリアが1位です。

日本でも人気のある映画「星の旅人たち」の影響で、2015年からアメリカが3位に入っています。
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スペイン巡礼の映画9本、海外のドキュメンタリーやドラマ紹介!
続きを見る
ヨーロッパ圏外でアメリカの他は、カナダ・ブラジル・オーストラリアなどが挙げられます。
アジアの巡礼者は?
(資料)サンティアゴ巡礼事務所データから筆者が作成
2006年に出版された韓国人ジャーナリストのカミーノ体験本がブームの火付け役となってから、ものすごい勢いで巡礼者数が増えているのが分かります。
2015年から国別巡礼者数ランキング全体のTOP10に入っています。
大学の冬休み(1・2月)に巡礼する韓国人の若者が多く、冬は月別の統計情報で韓国人巡礼者の数が1位になります。
2013年以降から中国人が、2016年から台湾の巡礼者がかなりのスピードで増えています。
スペイン巡礼の人気ルートは?
- フランス人の道 186,199 (56,88%)
- ポルトガル人の道 67,822 (20,72%)
- 北の道 19,040 (5,82%)
- プリミティーボの道 15,038 (4,59%)
- イギリス人の道 14,150 (4,32%)
- ポルトガル人の海岸部の道 13,841 (4,23%)
- 銀の道 9,127 (2,79%)
- ムシアーフィニステーレ 1,131 (0,35%)
- 冬の道 703 (0,21%)
1番人気のフランス人の道ですが‥‥
- 2004~2009年の割合、ほぼ8割。
- 2010年に約7割にまで下がる。
- 2018年は6割を切る。(56.8%)
と、だんだんと巡礼者の割合が減っています。
初めてのスペイン巡礼でフランス人の道を選ぶ人はやはり多いと思いますが、
- リピーターが他のルートを歩いている。
- 昔よりも他のルートで宿泊施設などインフラが良くなっている。
ことが影響しているのかなと思います。
ガリシア州政府の2018年の調査で、巡礼者の36%がリピーターという数字も出ています。
ポルトガル人の道の割合が20%を超えたのも注目ですが、当ブログで紹介しているイギリス人の道の巡礼者数は昨年比の25%増。
アジア人巡礼者の割合は本当に少ないですが、このルートに興味のある方は次の記事を是非参考にして下さい。
統計に出ない人気のルートがある?
サンティアゴの巡礼事務所は、サンティアゴを目指して歩いた巡礼者をカウントするので…
サンティアゴからムシアやフィニステーレへ歩く巡礼者の数はカウントされません。
これも実際の数を把握するのが難しいのですが、サンティアゴからフィニステーレに到着した巡礼者が獲得できるLa Fisterrana(ラ・フィステラーナ)という証明書があり、2017年に2万6000以上発行しました。(情報元: La Voz de Galicia)
フィステラーナは大聖堂と関係ありませんが、数字だけで見るとポルトガル人の道の次いで3位に入る数字です。
まとめ
- サンティアゴ巡礼事務所の統計で、2018年の巡礼者数は327,328人。
- 巡礼者数は、巡礼証明書を貰った巡礼者の数。
- 次の聖年(2021年)まで巡礼者は増えていく見込み。
- 国別の巡礼者数を見ると、近年は外国人巡礼者の数が増えている。
- 最も多い外国人巡礼者はイタリア人。
- アジアで多いのは韓国人
- 人気のルートはフランス人の道だが、年々他のルートを選ぶ巡礼者が増加。
- サンティアゴからムシア・フィニステーレは統計に出ないが人気のルート。
あくまでも個人の意見ですが、9年前に修士論文で巡礼事務所の統計情報を分析してから定期的にチェックしています。

と、感じて頂ければ嬉しいです。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。