スペイン旅行を決めたものの、出発が近づくにつれて…
- 「スペインの治安って本当のところどうなんだろう?」
- 「マドリードやバルセロナはスリが多いって聞いて不安…」
- 「現地在住者の目線で、どこに気をつければいいか知りたい」
という方も多いと思います。
この記事では、スペイン在住ガイドである筆者が、
- データから見たスペインの治安
- 日本人旅行者が遭いやすいトラブルの具体例
- マドリード・バルセロナで特に気をつけたい場所と時間帯
- スリ対策に本当に役立つ持ち物・バッグの持ち方(安全ピン活用術も!)
- 万が一トラブルに遭った時の対処法
をまとめてご紹介します。
「怖がりすぎず、でもきちんと備える」ための現地目線のガイドです。ぜひ旅行前のチェックにお役立てください。
▼スペイン旅行全体の注意点や持ち物・服装をまとめて知りたい方はこちら
スペイン旅行の注意点まとめ|現地で役立つ持ち物や服装・準備チェックリスト
データから見るスペインの治安:安全?それとも危険?
まず大前提としておさえておきたいのは、スペインはヨーロッパの中でも「暴力犯罪の少ない国」に入るという点です。
内務省が公表している犯罪統計を見ると、
- 殺人や強盗などの凶悪犯罪の発生率は、他の欧州主要国と比べても低い水準
- ここ20年ほどで、いわゆる「重い犯罪」の件数は減少傾向
一方で、旅行者がいちばん遭いやすいのは、ニュースにはあまり出てこないスリ・置き引き・ひったくりなどの「軽犯罪」です。
観光客だけを対象とした細かい統計は出ていないものの、治安レポートや自治体のデータからは次のような傾向が見られます。
- スペイン全体としての犯罪率は低く、「危険な国」ではない
- しかし、バルセロナやマドリードなど観光客が集中する都市では、「スリや軽犯罪」の比率が高い
- 被害に遭うのは観光客だけでなく、現地の人も含まれる(=人が多く、油断しやすい場所が狙われている)
つまり、
「スペイン全体としては比較的安全だが、人気観光地では“スリ対策”をしっかりする必要がある」
というバランスで考えるのが現実に近いです。
「数字」と「体感」がズレて感じられる理由
統計を見ると「そこまで危険ではない」のに、SNSや口コミを見ていると「スリが多そうで怖い…」と感じる方も多いと思います。
その理由としては、
- スマホとSNSの普及で、個人の被害体験がリアルタイムで広く共有されるようになった
- 日本人がよく訪れるエリア(ランブラス通り、グラン・ビアなど)が、もともとスリが多い場所と重なっている
- 在住者やリピーターは「気をつけていれば大丈夫」と感じつつも、油断してほしくないので強めに注意喚起する
このため、
治安の「数字」以上に、スリのリスクが大きく感じられることが多いのです。
スペイン政府も観光客向けの安全対策を強化
スペイン内務省は、観光シーズンに合わせて「Plan Turismo Seguro(安全な観光プラン)」という取り組みを行っています。
- 観光地周辺の警察官の増員
- 主要駅・空港・観光スポットでのパトロール強化
- 観光客向けの注意喚起(多言語パンフレットやポスターなど)
もちろん、どれだけ対策をしてもスリや置き引きをゼロにはできませんが、
「国としても観光地の安全を重視している」ということは、知っておいてよいポイントです。
そのうえで旅行者としては、
- バッグの持ち方や貴重品の管理方法を工夫する
- 「話しかけられた/ぶつかられたら、まず荷物を確認する」というクセをつける
といった自衛策を組み合わせていきましょう。
日本人旅行者が遭いやすいトラブルTOP3
ここからは、実際に日本人旅行者が遭いやすいトラブルを、タイプ別に整理してみます。
① スリ:もっとも多いトラブル
スペインで日本人を含む観光客が遭う被害の大半は、「スリ(財布・スマホ・パスポートなどを抜き取られる)」です。
典型的なパターンは、
- 地下鉄やバスで、突然人が押し寄せてきた瞬間にバッグやポケットから抜き取られる
- 「この場所はどこですか?」と地図や紙を広げてきて注意をそらし、その隙に背後からポケットを狙われる
- 「服にケチャップがついていますよ」などと声を掛けて、ふき取るふりをしながらバッグの口を開けられる
いずれも、「相手の話に気を取られた一瞬のすき」がねらわれます。
② 置き引き:荷物から目を離した一瞬が危ない
次に多いのが置き引きです。典型的には、
- カフェやバルで、イスの背もたれにバッグを掛けたまま食事している間に盗られる
- 空港や駅のベンチで足元に置いたバッグが、気づいたら無くなっていた
- ビュッフェ形式の朝食で、テーブルにスマホやカメラを置いたまま席を立ってしまう
「バッグは足元に置いていたから大丈夫」と思っている方も多いのですが、
“見えていない荷物”は、相手にとって狙いやすい荷物になります。
③ ひったくり・スマホ強奪
件数としてはスリより少ないですが、ひったくりやスマホ強奪も時々起こります。
- 道路側の手にスマホを持って歩いていて、すれ違いざまにバイクや走ってきた人に取られる
- カフェのテラス席で、テーブルの上にスマホを置いて話に夢中になっている間になくなっていた
最近では「スマホ=財布+カメラ+チケット」という方も多いため、スマホを盗られると旅行のダメージが大きくなります。
スマホは常に手の中 or バッグの中、テーブルには置きっぱなしにしない習慣がおすすめです。
シーン別・具体的な注意ポイント
地下鉄・バス・トラムなど公共交通機関
マドリードやバルセロナ、バレンシアなどの大都市では、公共交通機関を使うシーンが多くなります。
一番スリが多いのも、この「移動中」です。
- できるだけ混雑した車両を避ける(隣と密着するほど混んでいる車両は要注意)
- リュックは前に抱える、もしくは体の側面に回す
- ドア付近は人の乗り降りが激しく、スリが逃げやすいので注意
- 乗り降りのタイミングで人がぶつかってきたら、まず自分のバッグとポケットを確認
特にバルセロナでは、メトロ内のアナウンスでも多言語でスリへの注意喚起が流れるほどです。
▼バルセロナの地下鉄・バスの詳しい利用方法はこちら
【2025年版】バルセロナの地下鉄・バス・切符ガイド|観光で失敗しない移動方法と空港アクセス
空港・駅・長距離列車
長距離移動の起点となる空港や駅も、スリが多い場所です。
- チェックイン時や券売機の操作中は、バッグを足元に置きっぱなしにしない
- スーツケースの上にパスポートやスマホを置いたままにしない
- 改札付近やエスカレーターで、背後からバッグのファスナーを開けられないよう注意
スペインの高速列車や長距離列車の乗り方については、次の記事で詳しく解説しています。
▼スペインの鉄道移動を事前にイメージしておきたい方へ
【最新】スペイン高速列車の完全ガイド|AVE・AVLO・OUIGO・iryoを徹底比較!
【最新】Renfeの予約方法|初心者でも失敗しない手順・エラー対策・日本語で買える代替サイトまとめ
カフェ・レストラン・バル
「ちょっと一息つきたい」と気が緩む場面も、狙われやすいタイミングです。
- イスの背もたれにバッグを掛けない(ひったくりの定番ターゲット)
- バッグはひざの上か身体の内側の足元に置き、ストラップを足や椅子に通しておく
- スマホ・カメラ・財布をテーブルの上に置きっぱなしにしない
バルやレストランでの注文の仕方や食習慣の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。
▼スペインの食文化やランチ事情を知っておきたい方へ
スペインと日本の食生活の違いは?観光や留学中のアドバイスは?
スペインのランチ時間は?日替わりメニューの価格や注文の仕方は?
ホテル・観光スポット周辺
「ホテルのロビーだから安心」「世界遺産の前だから大丈夫」と思って油断しやすいのも、このエリアです。
- チェックイン・チェックアウト時に、スーツケースやバッグから目を離さない
- ロビーのイスやソファに荷物を置いたまま席を立たない
- 観光スポット前で写真に夢中になっている時ほど、バッグは体の前でしっかり持つ
「狙われにくい人」になる持ち物・服装&安全ピン活用術
ここからは「どこに行っても使える」スリ対策の基本と、実際に効果が高い小ワザをご紹介します。
貴重品は「一点集中」させない
- 現金・カード・パスポートを一つの財布にまとめない
- クレジットカードは2枚以上に分けて持つ
- パスポート原本はホテルに置き、外出時はコピーか写真データを携帯するのも一案
「万が一、ひとつ盗られても全滅しない」状態を作っておくことが大事です。
バッグの選び方と持ち方
- しっかりファスナーで口が閉まるタイプのバッグを選ぶ
- ショルダーバッグは体の前側に回し、常に片手を添えられる位置で持つ
- リュックサックは人混みの中では前に抱える
安全ピンで「ファスナーをワンロック」しておく
ちょっとした工夫ですが、「安全ピンをファスナー部分につけておく」のは、とても効果的なスリ対策です。
- バッグのファスナーの引き手同士、または引き手とバッグ本体の小さな輪に、安全ピンで軽く留めておく
- 自分が開けるときは少し手間ですが、背後からそっと開けようとしたスリには大きな障害になります
- 「一瞬で開けられないバッグ」は、それだけで狙われにくくなります
ご一緒したグループの添乗員さまから教わった知恵。「安全ピンでファスナーを留める方法」は。簡単なのに、心理的なハードルも実際の防犯効果も高いので、ぜひ試してみてください。
服装のポイント
- ブランドロゴが大きく入った服やバッグ、目立つ高級ブランド一式は避ける
- 「高価そうな時計」「最新スマホを常に手に持つ」など、お金を持っていそうな雰囲気を出さない
- 腰ポーチやマネーベルトを使う場合も、「上から丸見え」にならないように服で隠す
マドリード&バルセロナで特に注意したいエリア・時間帯
どちらの都市も「だから行かない方がいい」というレベルではありませんが、
「人が多く、観光客が集中するエリア」でのスリは確かに多いです。
マドリード
特に注意したいのは次のようなエリアです。
- ソル広場(Puerta del Sol)周辺
- グラン・ビア(Gran Vía)
- マヨール広場(Plaza Mayor)
- アトーチャ駅(Atocha)構内・周辺
- 観光スポットを結ぶメトロの車内
時間帯でいうと、
- 週末の昼間〜夕方(地元の人より観光客が多くなる時間)
- 夜遅く、酔っている人や人通りの少ない道を歩く時間帯
は注意度を少し上げておきましょう。
バルセロナ
- ランブラス通り(La Rambla)
- ゴシック地区周辺
- サグラダ・ファミリア周辺のメトロ駅・路上
- サンツ駅(Sants)構内・周辺
- ビーチ沿い(夏場は特にスマホ・バッグの盗難に注意)
バルセロナのメトロでは、日本語を含めた多言語で「スリに注意してください」というアナウンスが流れます。
それだけ「観光客が狙われやすい街」でもあるということなので、ここでご紹介した対策を意識してみてください。
トラブルに遭った時の対処法
スリ・置き引きに遭ってしまったら
どれだけ気をつけていても、100%防ぐことはできません。被害に遭ってしまった場合は、
- クレジットカード会社へすぐ連絡し、カードを停止
- 最寄りの警察署(Comisaría)で被害届(denuncia)を出す
保険請求やカード会社への手続きで必要になることが多いです。 - 海外旅行保険に加入している場合は保険会社へ連絡
日本語対応のある海外旅行保険に加入しておくと、トラブル時の精神的な負担がかなり減ります。
パスポートを盗まれた場合
- 警察で被害届(denuncia)を取得
- 在スペイン日本大使館・総領事館へ連絡し、パスポートの再発行または帰国のための渡航書の相談
外務省の海外安全ホームページや、在スペイン日本大使館の最新情報も、出発前に一度確認しておくと安心です。
よくある質問(夜歩き・女性ひとり旅・子連れなど)
Q. 夜に旧市街を歩いても大丈夫?
人通りが多いメイン通りや観光エリアで、22時前後までの散策であれば、基本的には大きな問題はありません。
ただし、
- 裏路地や人通りの少ない道をひとりで歩かない
- 酔っている人が多いエリアは避ける
- 遅い時間になったらタクシーや配車アプリを利用する
といった基本を守っていただくと安心です。
Q. 女性ひとり旅でも大丈夫?
スペインは女性ひとり旅の旅行者も多い国です。
「治安がとても悪いからやめた方がいい」というレベルではありませんが、
- 夜遅くにバーやクラブから一人で歩いて帰らない
- 知らない人の車に乗らない、自宅やホテルの場所を教えない
- 人が少ないエリアでは、スマホや貴重品を目立たせない
といったごく基本的な安全対策は意識しておきましょう。
Q. 子連れ旅行は危ないですか?
スペインは子どもに優しい国で、レストランやホテルでも子連れに慣れている印象です。
ただし、
- 人混みでは、お子さんと必ず手をつなぐ
- ベビーカーに荷物をたくさんぶら下げたまま離れない
- 公園でもスマホに夢中になりすぎず、周囲とお子さんの様子をこまめに確認
といった点に注意していただくとよいと思います。
まとめ:必要以上に怖がらず、「準備」と「心構え」を
- スペインは統計的には「暴力犯罪の少ない国」で、治安が特別悪いわけではない
- 一方で、マドリードやバルセロナなどの観光地ではスリ・置き引きが多いので対策は必須
- 貴重品は分散し、バッグは前に持つ+ファスナー部分に安全ピンでワンロックがおすすめ
- 地下鉄・バス・空港・観光スポット・ホテルのロビーでは、荷物から目を離さない
- 万が一被害に遭ったら、カード停止 → 警察で被害届 → 保険会社へ連絡の順に行動
必要以上に怖がる必要はありませんが、「スリ対策だけは本気でやる」という意識を持っていただくと、ぐっと安心してスペイン旅行を楽しめると思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。