シリーズ:13歳の息子、ひとり日本へ
はじめての方は①からどうぞ
空港に迎えに行って、改札から出てきた息子を見た瞬間。
「あ、なんか、違う。」
うまく言葉にできないけれど、そういう感覚があった。
顔つきというか、立ち姿というか。
日本から送られてくる写真を見るたびに「変わってきたな」とは思っていたけど、実際に目の前で見ると、また違う。
それが第一印象だった。
なぜ「ひとりで」にこだわったか
航空券のこと、お金のこと、受け入れ先のこと——準備したことは全部書いてきた。
でも、そもそもなぜひとりで送ろうと思ったか。
家族一緒の旅行は、楽しい。
でも、次どこへ行くか、何に乗るか、どこで食べるか—全部親が決めて、子供はただついていくだけ。
日本語のコミュニケーションも、私がいると息子は私に頼ってしまう。
だから「ひとりで」にこだわった。
農家のちはるファームで見せた、知らなかった息子の顔

滞在中の様子は、飯島さんご夫婦から少しずつ聞くことができた。
女性ばかりの職場で、重いものを運んでくれたとか、積極的に仕事を進めてくれるようになって頼もしくなっていたというエピソード。
家では「これやってくれる?」と声をかければやってくれる。
でも率先しては違うので、素直にうれしかった。
Before After—帰ってきて変わったこと
日本語
帰国前日に、飯島さんが教えてくださった。
『この1か月でずいぶん日本語の会話がうまくなったし、伝えようとしてることがわかるようになったよねと話していました』
私自身も、空港で合流してから日本語で話していて実感した。
確かに、前よりうまくなってる。
日本に行く前はなかなか出てこなかった言葉が、さらっと出てきたて、正直、びっくりした。
そこで、息子がひとこと。
『家の中で話すときの普通の会話はわかるけど、コンビニの店員の人が丁寧な言葉で聞いてくるとわからなかった。』
あ、敬語のことだ。
日本語はシチュエーションによって話し方が変わる。
それをちゃんと自分で気づいて、「丁寧な言葉・敬語はわからなかった」と言ってきた。
前はその違いすら分かっていなかったから、この気づきはとても大きい。
日本語だけの環境に1ヶ月いたこと、農家の方々と毎日話したこと、息子さんたちと映画やゲームで普通にやりとりしたこと——すべてが積み重なった結果だと思う。
お金の感覚
カードは緊急用で、現金を持たせたのは、実はちょっとだけど意図があった。
お金を触って、数えて、使えば少なくなるのを感じる——当たり前だけど、そういう体験を、日本でもちゃんとしてほしかった。
ちょっと大きい買い物をしたいときは「これ買っていい?」と確認してきた。
そして必ず、スペインと日本で同じ服や靴がどれくらい値段が違うか比べて買っていたらしい(笑)。
円安で日本の方が安いものがあると教えていたから、意識していたんだと思う。
スペインから持っていたカードは、ATMで手数料がかかることを事前に伝えておいたら、自分で考えてやりくりしていたらしい。
体
日本からのビデオ通話の中で、「作業をしていて、力こぶができた!」と自慢げに見せてきた(笑)。
帰ってきて本音はどうなんだろう?と「暑い中での農作業、つらかった?」と聞いたら——
「ふつう。暑くなかったらもっと大丈夫だった。」
……ほー、すごいね、と思った。
正解だったこと、想定外だったこと
正解だったこと
①直行便を選んだこと。高かったけど、これは本当によかった。
「日本に何度も行ってるなら経由便でも大丈夫じゃない?」という意見も実はあったり、値段のことも考えて正直迷った。
でもやっぱり、乗りさえすれば目的地に着くという安心感は、親として本当に大きかった。
実際、日本の空港で入国の方法でわからなくて電話してくることもあった。(夜中に起こされたし…)
もし、経由便で何かあったらと思うとゾッとする。
②現金を持たせたこと。カードだって管理はできるけど、やっぱりこれも良かったと自分では思っている。
③携帯を持たせたこと。スペインでは、できるだけ遅らせたいと持たせていなかったけど、日本へ一人で行くとなると話は別。
携帯がないとできないこともあるし、結果的に必須だったと思う。eSIMについてはこちらに書いています。
想定以上によかったこと
ちはるファームのご家族と過ごせたこと。農作業だけでなく、たくさんの時間を一緒に過ごしてもらった。
ちょうどワールドカップと重なって、ちはるさんも息子と一緒に早起きしてサッカーを見てくださったり。
スペイン語の単語も少し覚えてくれたよう(笑)
息子がスペイン風オムレツを披露したら気に入ってくださって、滞在中に3回も食べてくれたり。

『海外にあまり興味がなかったけど、行く理由ができた感覚になっている』とおっしゃってくれたのが、すごく嬉しかった。
実際に生活しながら、大変だった時もあったと思うのですが…
日本とスペインのちょっとした文化交流にもなっていたのではないかと思う。
「今度はひとりで行きたい」
サンティアゴへ向かう電車の中で、息子が言った。
「また日本に帰りたい。家族4人じゃなくて、ひとりで。」
え~、なんで?と聞いたら——
「パパとママと行くときは、ただついていくだけで、何も考えてなかった。一人でいたことで責任感があった。」
私がひとりで送ることにこだわった理由。
それを、息子の口から聞いた。
ジーンときて、ちょっと泣きそうになった。
同じように悩んでいるママへ
海外に住みながら、子供の日本語や日本文化との接点を、意識して作っていこうと日々頑張っていると思います。
とはいえ、現地での勉強や活動でなかなか難しい。
長期の夏休みなどに子供を日本に送りたいという方は、多いと思います。
息子の年齢でファームステイというスタイルをとっている人はいるかなと検索したのですが、うまくヒットせずでした。
今回の息子の経験は、うちの場合の話でしかない。
でも「こういうこともできますよ」という一例として、誰かの背中を少しでも押せたら嬉しい。
実はファームステイ気になる、もう少し聞いてみたいという方は、お気軽にお問い合わせください。
ブログには書いていない話題をちょろちょろ書いているメルマガ「根っこ通信」もあります。興味のある方はどうぞ。
シリーズ:13歳の息子、ひとり日本へ
はじめての方は①からどうぞ
最後まで読んで下さりありがとうございました。