スペイン巡礼の魅力とは?統計データから見えるカミーノと巡礼者の姿とは?

最近は日本でもブームのスペイン巡礼、カミーノ・デ・サンティアゴ。出版されている本はもちろん、日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会から巡礼者のカミーノ体験記ブログまで、ネットでも情報が豊富にある時代です。

 

しかし、サンティアゴ巡礼事務所が発表している統計情報を元にカミーノを分析をしているものは少ないと思います。

 

日本カミーノ友の会のページにて、巡礼事務所の統計情報が日本語で掲載されていますが、そこで触れられていないデータも使ってカミーノの現状を分析してみました。

 

あくまでも私個人の分析ですが、何らかの情報をみなさんと共有できるのではないかと思いました。

 

現代のカミーノと巡礼者を理解するひとつの参考情報として読んでいただければ嬉しいです。

 

その前に・・・1分で読める私のカミーノ体験談を書きましたので、おつきあいください。^^

カミーノの魅力とは?

私のカミーノ初体験は、直近の聖年だった2010年。ガリシア州のオ・セブレイロからサンティアゴまでの距離を歩きました。

私がカミーノを歩いた理由は

 

「カミーノの魅力が何か知りたい」

 

でした。

 

正直、冷めた目で入った部分がありました。カミーノの体験を目を輝かせて語る巡礼者と話せば話すほど、カミーノを歩いたことのない私には少し理解しがたいところがありました。

 

サン・ペドロ通りを歩く巡礼者、私がよく見る風景

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学が提供するカミーノとスペイン語のコースを見つけて、これだ!と思いました。

 

参加した学生は、ベルギー人と日本人(私)以外は全員ブラジル人の合計15名でした。

 

カミーノを少し理解できた1週間の経験

「たった1週間のカミーノで何がわかるか!!」

 

という声も聞こえてきそうですが、たくさんの気づきをくれた経験となりました。

 

関連記事: スペイン巡礼の期間や最短の日程は?短時間ルートでも証明書をもらう方法は?

 

同じ教室で1週間一緒に勉強してもお互いのことは何も知らなかった私たちですが、カミーノがはじまった途端に仲間の全人生や本当にプライベートな事まで知ることになりました。

 

  • 離婚した元旦那とやり直す前に自分と向き合いたい人
  • 奥様が他の男性のもとに行ってしまった人
  • 6か月前に最愛の夫を亡くして、新たなスタートのきっかけが欲しかった人
  • 1年前に最愛の奥様を亡くした後、カミーノのおかげで第二の人生を見つけた人
  • カミーノは競争とばかりに毎日目的地点に1番に到着することを考えて歩く人
  • その他、本当に色々。

 

偶然こういうグループの中に入ったとはいえ、最初はビックリしましたが、歩いているうちに

 

【様々な巡礼者の思いを丸ごと受け入れるカミーノ自体が人生と似ている、それがカミーノの魅力のひとつなのかな?】

 

と思いました。

 

また、長い距離を歩けば歩くほどこの体験から得るものは大きいのかもしれないとも感じました。

 

正直者が馬鹿をみる~最後に私が犯したミス~

無事サンティアゴに到着し、コンポステラ(巡礼証明書)をもらいに巡礼事務所へ。

 

長い行列に並び、やっと事務所職員の待つカウンターで「グループに同行していたバスを途中で使った」と馬鹿正直に答えてしまいました。

 

返ったきた職員の言葉は冷たかったです。

「100キロ歩いてはいるけどバスを使ったなら、あなたには証明書あげない。」

 

私の痛恨のミスを後ろで見ていたブラジル人たちは、バスについては一切触れずに見事証明書をもらいました・・。

サンティアゴ巡礼事務所の風景(2016年12月撮影)

巡礼事務所のデータから見えるカミーノ現象と巡礼者の姿とは?

巡礼事務所のデータを扱う上での注意点

サンティアゴ巡礼事務所(Oficina de acogida de peregrino)の統計情報を扱うときのポイントが2つあります。

  • データは、カミーノを終了して巡礼事務所で巡礼証明書を取得した巡礼者の数です。実際に、巡礼証明書をもらわない巡礼が沢山います。一般に公表されているデータはありませんが、だいぶ前からわかっている事実ですし、皆さんが想像する以上に大きな数字です。

 

  • 巡礼の動機を示すデータは・・あまり気にしないでください。サンティアゴ巡礼事務所は教会に属していること、巡礼の動機が宗教的理由であるかないかで発行される証明書のタイプが異なること、そして巡礼をしたらやっぱり巡礼証明書を持って帰りたいという人がいます。この点から私の意図するところを理解していただけるかと思います。

2009年以前にガリシア州観光局が行っていた巡礼者に関する統計データによると、カミーノを歩く動機について

  • カミーノの景色を楽しみたい
  • 文化そして芸術遺産を楽しみたい
  • スポーツとしてカミーノを歩きたい
  • 自分を見つめなおす機会が欲しかった
  • その他

と、カミーノを歩く巡礼者の動機は実に多様なことがわかっています。

 

巡礼者のプロフィールや消費行動を客観的に100%取り込める統計情報は、現在のところ存在しません。

 

その中で、サンティアゴ巡礼事務所の統計情報はより信頼できる情報ではありますが、絶対的なものでもありません。

 

増加の勢いが止まらない巡礼者数

1989~2015年までの巡礼者数の推移を表したグラフがあります。

19892015peregrinos

(資料)Manuel F. Rodríguez, Los Años Santos compostelanos del siglo XX, 2004とサンティアゴ巡礼事務所データから筆者が作成

1993年、1999年、2004年そして2010年に棒グラフが急激に伸びているのが分かります。

 

ピンと来た人がいると思いますが、これは聖年の巡礼者数です。

 

聖年とは、聖ヤコブ祭の7月25日が日曜日にあたる年であり、この年に大聖堂の聖門を通りぬけたものはこれまでの罪が許されると言われています。

 

puerta-santa-octubre-2016

今年の特別聖年で開かれた聖門の前で作られる行列、聖年にはこの光景がよく見られる。(2016年10月撮影)

 

これまでの傾向は聖年にグンと伸びた巡礼者数は次の聖年まで塗り替えられることはまずありませんでした。これまで最高の巡礼者数を記録した聖年2010年ですが、来年に記録更新の可能性も見えてきました。

 

そして・・実際にはもっと多くの巡礼者がカミーノを歩いているのです。そう考えると、近年のカミーノ人気は本当にすごいの一言です。

 

現代の巡礼者のプロフィール

カミーノは老若男女、国籍、宗教を問わずすべての人に歩かれている道といっても過言ではありません。

 

男女比は、わずかに男性巡礼者の比率が多いですが、ほぼ半々です。

 

スペイン人と外国人巡礼者比では、通常の年ではほぼ半々でも聖年になるとスペイン人巡礼者の割合が高くなる傾向があります。(2004年のスペイン人巡礼者は約80%、2010年は約70%)

 

しかし、近年のデータからも明確なのは年々外国人巡礼者の数が増えていることです。

 

スペイン人の巡礼者はどこから来ている人が多いの?

スペイン国内でより多くの巡礼者を出している州は、マドリッド、アンダルシア、カタルーニャ、バレンシア、ガリシアの5つです。

 

ひとつ興味深いデータがあります。聖年の年に異常なほどに増加するガリシア人巡礼者数です。

聖年になるとスペイン人巡礼者の割合が増加するひとつの要因は、ガリシア人巡礼者にあるようです。

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(資料)サンティアゴ巡礼事務所データから筆者が作成

巡礼者数ランキングから見る外国人巡礼者の横顔

外国人巡礼者ランキングの上位を占める国はドイツ、イタリア、フランス、ポルトガルなどのヨーロッパ諸国です。歴史、宗教や地理的な近さからいって納得の結果ですね。

 

しかし、この常連国の中でも2014年からイタリアが1位になっているのに私は少し注目しました。

 

今年の夏、地元のニュースでもサンティアゴに来るイタリア人観光客が多くなったと旧市街にあるお店の人がコメントしていました。理由は正直よくわかりません。もしお分かりの人がいたら教えてください。^^

 

ヨーロッパ圏外では、まずアメリカです。2015年のデータでは、外国人巡礼者数のランキングでイタリア、ドイツに次いで3位につけています。アメリカ以外では、カナダ、ブラジル、オーストラリアなどが挙げられます。

 

アジア人巡礼者数でみる日本の位置は?

アジア圏で最も多くの巡礼者を送っているのは韓国です。2006年に韓国人ジャーナリストが自らのカミーノ体験本を出版し、これがカミーノのブームの火付けになったようです。

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(資料)サンティアゴ巡礼事務所データから筆者が作成

2007年に日本人巡礼者数を上回り、そこからものすごい勢いで巡礼者数が増えています。2015年の外国人巡礼者数のランキングでも韓国はTOP10内の9位。日本は20位です。

 

韓国人巡礼者に関してもうひとつコメントすると、大学の冬休み(1・2月)を利用してやってくる若者が多いことです。サンティアゴ事務所の月別統計でも冬の時期に国別で韓国が1位になっています。

 

日本人のカミーノ経験者の方から、日本の若い人達にもぜひ歩いてもらいたいという声をよく聞きました。

 

巡礼!?と思われた若い人たちに提案ですが、英語スキルをあげたいなら、カミーノはいい英語の訓練になりますよ。^^

 

関連記事: スペイン巡礼を女一人で歩くのは危険?対策や巡礼を楽しむコツは?

 

ここ数年のデータをみて、正直驚いたのが中国人巡礼者の数です。5年前に統計情報を分析した時点で、いずれは中国人巡礼者も増えていくだろうと予想しましたが、思っていた以上に早いスピードで増加しているなというのが率直な感想です。

 

巡礼者が選ぶサンティアゴ巡礼路のルートは?

カミーノの主要ルートの中で一番多くの巡礼者に選ばれているのはフランス人の道です。聖年2004年から2009年の間、ほぼ8割の巡礼者がこの道を歩いていましたが、聖年2010年に約7割にまで下がりました。

 

毎年夏になると巡礼者で飽和状態のフランス人の道の状態を知っている人たちが聖年である2010年にわざとこの道を避けたのではないかと私は考えました。

 

2014、2015年の最近のデータでも、フランス人の道を歩く巡礼者の比率が68%、65%と少しずつ減少しています。

 

カミーノのリピーターが他のルートを歩いている事が影響しているのでしょうか?

 

いずれにしても、今後はフランス人の道以外のルートを歩く巡礼者が増えていくと思います。

 

私が個人的に歩いてみたいなと思うのは、冬の道という意味のカミーノ・デ・インビエルノ(Camino de invierno)です。

 

ガリシア州政府に最近認知された新しい道ですが、ローマ人が金の採掘を行った金鉱山の跡地であるMedulas(メドゥラス)、自然や美術遺産にワインと非常に魅力的なリベイラ・サクラを歩く道です。

 

リベイラ・サクラのブドウ畑の写真(2016年10月撮影)

 

次の聖年2021年までのカミーノは?

カミーノを歩く巡礼者の増加傾向は2021年まで続くと思われます。

関連記事: 【2017年最新情報】スペイン巡礼者数記録更新!今年の夏はどうなる?歩きやすいルートはどこ?

 

また、次の聖年である2021年に向けて、大聖堂の修復作業がここ何年も行われています。

 Catedral enero entrada

修復工事の足場で覆われている大聖堂の正面門(2017年1月撮影)

気になる大聖堂の修復工事の完成予定について情報が出てきましたので、↓も合わせてお読みください。

【最新情報】スペイン巡礼サンティアゴ大聖堂の修復工事完成はいつ?修復後の大聖堂の新たな見どころは?

 

2016年に、ローマ教皇の命により特別聖年で聖門が開きましたが、11年ぶりの聖年にあたる2021年には、サンティアゴを訪れる巡礼者及び観光客数は大幅に増加すると予想されます。

 

2021年はあえて外して他の年にゆっくりカミーノをしようかなと思われる方もいるでしょう。^^

 

今後も注目のカミーノ・デ・サンティアゴ。現地から少しでも役立つ情報を発信できたらと思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!


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5 Responses to “スペイン巡礼の魅力とは?統計データから見えるカミーノと巡礼者の姿とは?”

  1. ブログを読ませていただきました。大変参考になりましたので、私がFBで運営しているグループ「バックパックを背負ってスペインを歩こう!!(スペイン巡礼 Camino de Santiago)」にシェアをさせていただきました。ありがとうございます。これからの記事も楽しみにしています。

  2. →前回のメッセージのメールアドレスに誤字がありましたので、再送いたします。申し訳ありません。m(_ _)m

    ブログを読ませていただきました。大変参考になりましたので、私がFBで運営しているグループ「バックパックを背負ってスペインを歩こう!!(スペイン巡礼 Camino de Santiago)」にシェアをさせていただきました。ありがとうございます。これからの記事も楽しみにしています。

    • 細川様、ブログへコメントいただきありがとうございます!以前からFBでカミーノの詳しい情報を共有されている方だなと存じておりましたのでコメントを見てとても嬉しかったです。細川様のFBグループへのシェアありがとうございました!

  3. 非常に興味深い分析ですね。確かに巡礼者数ではなく、巡礼証明書発行数というべき数字ですよね。レビータの中には証明書に興味を示さない人もいましたし。
    外国人ではアイルランド人が非常に多い印象を受けましたが、ブログを見て、人口1万人当たりの巡礼者数を計算したら、フランス人の10倍以上もいるんですね。同じカトリック国で距離的にも似たような国なのに。南の太陽に対するあこがれでしょうか。
    昨年、76日間で2200キロ歩きましたが、巡礼者仲間からはあまり宗教色は感じませんでした。スポーツとしてのトレッキングあるいはレジャーとしての色彩を強く感じたのは、自分自身がそうだったからかもしれませんが。

    • ツルタ様
      コメントありがとうございます!
      この時期は、ある国の巡礼者が多いということは確かにありますが、
      ヨーロッパ諸国の中で最近アイルランド人巡礼者が増えていると聞いたことがあります。
      カミーノを歩いていて見えてくるものがいっぱいあると思います。
      2200キロのカミーノお疲れさまでした。
      スポーツやレジャーとしてカミーノを歩く方多いですよ。
      カミーノの動機を宗教的観点からだけ見るというのは現実とは違うということですね。

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