私がスペイン留学した理由は、スペイン語をマスターしたい、海外の友達が欲しいなど、明確な目的とはかなりかけ離れたものでした。
そんな曖昧な目的でと言われても、当時の自分の心に素直に従った決断なので後悔していませんが、私の頃と比べたら、今学生であるあなたの周りでは、留学に対してある一定の成果をあげるべきというプレッシャーが強いかもしれません。
しかし、海外へ行って何らかの体験をしたいという気持ちがあるなら、留学から一旦距離を置いて、学生の間にスペイン巡礼を体験してみませんか?
と思うかもしれませんが、この記事を読めばあなたの見方が変わるかもしれません。
全く興味がわかないなら、ここで読み終えていただいて構いませんが、ちょっとでも気になった方はもう少し読んでみて下さいね。
スペイン巡礼って何?
スペイン語でCamino de Santiago(カミーノ・デ・サンティアゴ)と言い、カミーノとよく呼ばれます。
イエス・キリストの弟子であるサンティアゴ(日本語で聖ヤコブ)の遺骸が祀られているサンティアゴ大聖堂へ参拝するための巡礼路です。
9世紀にスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラで聖ヤコブの墓が発見され、ヨーロッパ中から沢山の人がサンティアゴを目指して歩きました。
長い歴史の中で衰退期も経験しながら、20世紀に再びサンティアゴ巡礼が注目され、世界的なブームにもなっています。
サンティアゴへ通じる巡礼ルートは複数あり、最も有名なルートはフランス人の道と呼ばれ、フランスのサンジャン・ピエ・ド・ポーという村からサンティアゴまで1か月ほどかけて歩くことができます。
ドラマや映画などで取り上げられるくらい有名な巡礼路ですので、下の記事で紹介する映画などを見て雰囲気を掴んでみて下さい。
30歳以下の巡礼者
巡礼は年配の人が歩くものというイメージがある人に、サンティアゴ巡礼事務所が毎年発表する巡礼者の統計情報を紹介します。
2019年、巡礼者の年齢別割合は下記の通りです。(巡礼者数: 437,578名)
- 30歳以下 : 26.75%
- 30~60歳 : 54.52%
- 60歳以上 : 18.73%
30歳以下の巡礼者数は、2017年は56,478人、2018年は58,567人、2019年は62,148人と近年増加傾向にあります。
それでは、次に私があなたにスペイン巡礼をすすめる理由をお話します。
留学の目的がないならスペイン巡礼の6つの理由
短期留学よりも安い費用で体験できる
春や夏に大学で募集される海外短期語学研修がありますが、2~3週間でもかなりの料金になりますよね。
留学も巡礼も、ヨーロッパまで行くので航空券は安くありませんが、巡礼期間中の出費(宿泊費と食費)はとても安くなります。
日本人巡礼経験者99人へのアンケート調査で、宿と食費の1日の出費は1日20~30€台(日本円で4,000円台)と回答した人が多かったです。
先ほど紹介したフランス人の道を1か月歩いたとして、単純計算ですが、1か月スペインに滞在して12万円。
巡礼中の宿や食事のスタイルを変えることで、さらに1日の出費を抑えることも可能です。
次は、あなたは気づいていないかもしれない、学生だからの大きなメリットについて話します。
時間と体力がある今が歩く時!
当ブログを開設してから、私は何度か次のような相談を受けました。
社会人になってカミーノの存在を知ったが、時間や身体的な問題でカミーノができない、なかなかチャレンジできない人がいます。
しかし、学生のあなたは、夏休みに1か月間の巡礼をしても学業に何の支障もありませんよね。
巡礼をする上で、時間と体力があるのは恵まれたこと、あなたはまさにその時にいるのです。
宗教的な目的がなくても大丈夫!
- 自然を楽しみたい
- 人と交流したい
- スポーツの一環
- お金のかからない観光がしたい
と、様々な目的を持って歩いている人が多いのが現実です。
言葉も分からない外国で山越え等の難所を歩く冒険的な要素に、大自然や歴史的モニュメントなど変化に富む風景を歩きながら楽しむこともできます。
キリスト教の聖地を目指す道ですので、巡礼の歴史や宗教的な理由を持って歩く人へのリスペクトは常に持つことは忘れずに気軽にチャレンジできます。
巡礼路は国際交流の場でもある!
留学だけが言語を学んだり国際交流する場ではありません。
サンティアゴへ向かう巡礼路を歩いていると、
- 言葉
- 文化
- 考え方
- 自国での生活環境
と、日本にいたらまず出会うことがないだろうなという人たちと知り合うことができます。
カミーノを歩けばすぐに誰とでも友達になるとは言いませんが、休憩場所や宿が一緒になる巡礼者達の間で自然と交流の機会が増えていくのです。
ひとりで歩いている者同士で、挨拶からちょっとした会話が始まり、気が付いたら話しながら数㎞歩いていたということも珍しくありません。
という環境に身を置くことで自然と英語やスペイン語の勉強にもなります。
実際に、カミーノは英語のいい勉強になると言った巡礼者もいます。
もし、あなたが自分と同じ30歳以下の巡礼者と多く知り合いたいのなら、夏の7・8月を選ぶといいかもしれません。
巡礼者との触れ合いの中で自分とも向き合う
言葉も文化も違う巡礼者たちと言いましたが、お互いを知るうちに
- 自分と年が近い韓国人や欧米人も実は自分と同じように将来への不安がある。
- 全て持っていると思った大人でも迷いながら生きている。
ということに気づいたりします。
カミーノで他の巡礼者との出会いに期待をする人が多いですが、何もない自然の道をひたすら歩くうちに自分と向き合う時間は非常に貴重です。
日常生活の『雑音』の中で、意外と聞けていない自分の心の声を聞けたらそれは素晴らしいことです。
巡礼をして答えは出なくても、歩いた事実は自信になる
巡礼は毎日ただ歩いているだけと思うかもしれませんが、1日として同じ日はありません。
楽な行程の日もあれば、体力的にとても辛い日もあるし、想像しないアクシデントを解決しなくてはいけない時もあります。
巡礼者や現地の人に助けられる日もあれば、逆にあなたが他の人を助ける日もあります。
はじめは自分からなかなか話しかけられない人も、片言の英語やスペイン語を使って地元の人とコミュニケーションを楽しめるようになりします。
小さな達成感を積み重ねながら、1か月近く自分の足で800㎞でもなんでも歩いた事実は確実に大きな自信となり、行動力が鍛えられるでしょう。
以前、巡礼をしてサンティアゴに着いた日本人巡礼者から現地の美容院で髪を切りたいと相談を受けました。
スペイン語片言でも自分で飛び込んでいったこの巡礼者は、自信と行動力が備わったひとつのいい例だと思います。
外国での留学生活は楽しいことばかりではありませんし、上手くいかないことが続いても乗り越えるためにタフであることが必要ですが、巡礼でも同じことを学ぶことはできます。
巡礼が唯一でも最良の方法でもありませんが、日本で目的がわからないと迷われている間に巡礼をしてみるのも悪くないと思います。
カミーノが答えをくれると過剰な期待をしてもダメですが、今のあなたをそのまま受け入れてくれるでしょう。
もし、サンティアゴ巡礼に興味が出てきたら、下の記事でサンティアゴ巡礼のルートについて説明していますので、合わせてお読みください。
まとめ
- 留学の目的が見えないなら留学から一旦距離をおいて巡礼を体験するのもひとつ。
- 巡礼の歩き方は人それぞれだが、時間と体力がある学生なら長期間の巡礼がおすすめ。
- カミーノは、安い費用で長期間のヨーロッパ滞在・観光をするひとつの方法。
- 宗教の道としてのリスペクトは基本だが、実際に歩く人の動機は様々。
- 巡礼者の年齢層は広く、若い人も沢山歩いている。
- 普段の生活では出会えない様々なバックグラウンドを持つ人との交流が可能。
- 長距離を自分の足で歩いた実績は、自分への大きな自信となる。
- 巡礼も留学も、自分を開いて積極的に関わることが大事。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。