スペイン三大祭りのひとつ『パンプローナのサン・フェルミン祭』。
この記事では、その魅力や起源、牛追いイベントのルール、服装、そして注意点まで詳しくご紹介します。
-
-
2025年スペインのイースターやセマナサンタはいつ?旅行の注意点は?
続きを見る
サン・フェルミン祭はこんなお祭り

サン・フェルミン祭は、スペイン北部パンプローナ市で7月6日〜14日にかけて開催される、聖フェルミンを讃える伝統的なお祭りです。
中世の宗教行事が起源で、現在では世界中の観光客が訪れる国際的イベントとなっています。
聖フェルミンは、パンプローナ生まれ。キリスト教徒となった後にフランスで司祭になり、24歳でパンプローナ最初の司教として任命されますが、後にローマ皇帝ディオクレティアニスによる迫害を受け、斬首刑に処せられます。パンプローナ市とナバラ州の守護聖人。
サン・フェルミン祭の日程や起源は?
日程は、7月6日から7月14日の深夜24時まで9日間にわたって行われます。
祭りの起源は中世まで遡りますが、当初は10月10日から2日間と短い日程でした。
宗教行事・市場・闘牛といったイベントがありましたが、祭りの時期は天候に恵まれず、1590年の大雨の後から祭りの日程を7月に変更しました。
アーネスト・ヘミングウェイの小説「日はまた昇る」(1926年)で、このお祭りが世界的に有名になりました。
開会宣言のChupinazo(チュピナソ)とは?
1941年から、開会宣言として7月6日の正午に市役所前の広場で
Chupinazo(チュピナソ)と呼ばれる長さ1.2mのロケットを打ち上げます。
チュピナソの音の大きさは133デジベル、離陸時の飛行機の音とほぼ同じくらいの大きさです。
次に、お祭りで最も注目される牛追い祭りの起源やルールについて見ていきます。
牛追い(エンシエロ)の起源とルール
起源
スペイン語で「Encierro(エンシエロ)」と呼ばれる牛追いは、14世紀に始まりました。
闘牛用に使う牛を田舎からパンプローナ市まで移動したのがエンシエロの起源だそうです。
当時は決まったルートもなく、1776年まで防衛用の塀もない状態でした。
牛追いのルートやルールが決められたのは19世紀からです。
牛追いのルート
牛追い開始前、聖フェルミン像の前で走る人達が歌を歌います。
サント・ドミンゴの坂から闘牛場までの距離は875mで、最初・中間・最後の区間での特徴は下記の通りです。
- 最初の区間は、一斉に走り出す牛のスピードが一番出ます。
- 市役所の区間では、牛のスピードは落ち始めるもののカーブにより右側の塀にぶつかる牛がでる。
- エスタフェタ通りでは、牛も疲れスピードがかなり落ちるが、固まって走っていた牛たちが個別に自由に走るため危険度がアップする。
これまで16人以上の死者や多くのけが人をだしている牛追いでは、近年はエスタフェタ通りで滑り止めをまいています。
ルールの一例
牛追いを主催するパンプローナ市役所では、牛追いでの禁止事項やルールに関する条例を毎年可決しています。
ルールの一部にはこんなものがあります。
- 18歳以下の未成年者は参加できない。
- 牛を触ったり、たたいたりと牛の注意をひくような行為は一切禁止。
- 牛の後ろを走ってはいけない。
- 許可なく牛追いルートの通りや囲いからの写真撮影。
これらは、牛追いに参加する走り手を邪魔したり、走っている牛の注意をそらさないためです。
お祭りの服装とその意味
白い服に赤いスカーフのコスチュームが有名ですが、白い服を着るようになったのは1960年代からだそうです。
それ以前から使用されている赤いハンカチの起源は、殉教した聖フェルミンの血の色だする説や牛追いで走る牛をかりたてるためなど複数の説があります。
-
-
【2020年】スペインの祭り一覧は?各地の面白いイベントは?
続きを見る
牛追い以外の見所は?
Riau-riau(リヤウ‐リヤウ)
パンプローナ市役所からサン・フェルミン教会までのおよそ500mの道のりを音楽隊と共に行進する行事。
7月6日の午後に行われます。
「リヤウ‐リヤウ」とは、行進時に歌われる歌の中で叫ばれる言葉です。
通りいっぱいに集まった人が歌を歌いながらゆっくり行進するので、途中で参加者の間で衝突といった事故が起こります。
1914年に開始されてから、中止→復活→再び中止の歴史があります。
2012年に復活したものの再び事故が起こり、2013年には市の議員などを抜きに非公式な形で行いました。
ポブレ・デ・ミ
サン・フェルミン祭最終日である7月14日の深夜0時、9日間続いた祭りの閉会式で歌われる曲です。
『ポブレ・デ・ミ(Pobre de mi)』とは、可哀そうな私という意味。
キャンドルに火を灯した参加者たちがお祭りの最後を惜しんで「ポブレ・デ・ミ(可哀そうな私)」と歌います。
女性の参加者への注意点
サン・フェルミン祭は以前は男性限定とされていましたが、現在は女性の参加も歓迎されています。
しかし、お酒や熱狂による一部参加者の迷惑行為・性暴力が問題となっています。
現地では:
- 性暴力反対キャンペーンのシンボルである赤い手をお祭りの各所に設置
- 性暴力の防止・発見・助けの求め方など4か国語で説明したパンフレットの作成
- 被害があった場合の対応スタッフや警備など24時間体制
女性も安心して楽しむために、注意と行動範囲の配慮が重要です。
7月の牛追い祭りの次は8月のトマト祭り!
-
-
スペイントマト祭り2020年の参加方法!起源や歴史等も詳しく紹介
続きを見る
まとめ
- サン・フェルミン祭は7月6日〜14日の9日間開催される伝統的なお祭り
- 牛追い(エンシエロ)は世界的に有名なスリリングなイベント
- 安全ルールと服装のマナーを守ることが大切
- 性暴力への対策も強化され、誰もが安心して楽しめる環境が整いつつある
スペインの1年間のお祭りをまとめてチェック!
-
-
【2020年】スペインの祭り一覧は?各地の面白いイベントは?
続きを見る
最後まで読んで頂きありがとうございました。