この記事では、スペイン三大祭りのひとつ『パンプローナのサン・フェルミン祭』を紹介します。
サン・フェルミン祭と言えば、市街に放たれた牛の群れと人間が市内の闘牛場まで走る牛追いが有名ですが、
- 牛追い祭りの起源
- 牛追いのルール
- お祭りのコスチュームの意味
- 牛追い以外の見所
を知っていますか?
毎年けが人がでたり、過去に死亡者を出したこともある牛追い祭りですが、
近年のサン・フェルミン祭は性暴力対策に注目が集まっています。
この辺りについても触れますが、まずはサン・フェルミン祭のお祭りを簡単に紹介します。
サン・フェルミン祭はこんなお祭り
サン・フェルミン祭はキリスト教の聖人で、パンプローナ市とナバラ州の守護聖人である
聖フェルミンを讃えるお祭りです。
パンプローナ生まれのフェルミンは、キリスト教徒となった後にフランスで司祭になり、
24歳でパンプローナ最初の司教として任命されますが、
後にローマ皇帝ディオクレティアニスによる迫害を受け、斬首刑に処せられます。
サン・フェルミン祭の日程や起源は?
日程は、7月6日から7月14日の深夜24時まで9日間にわたって行われます。
祭りの起源は中世まで遡りますが、当初は10月10日から2日間と短い日程でした。
宗教行事・市場・闘牛といったイベントがありましたが、祭りの時期は天候に恵まれず、
1590年の大雨の後から祭りの日程を7月に変更しました。
アーネスト・ヘミングウェイの小説「日はまた昇る」(1926年)で、このお祭りが世界的に有名になりました。
開会宣言のChupinazo(チュピナソ)とは?
1941年から、開会宣言として7月6日の正午に市役所前の広場で
Chupinazo(チュピナソ)と呼ばれる長さ1.2mのロケットを打ち上げます。
チュピナソの音の大きさは133デジベル、離陸時の飛行機の音とほぼ同じくらいの大きさです。
次に、お祭りで最も注目される牛追い祭りの起源やルールについて見ていきます。
牛追いの起源は?ルートや規則とは?
スペイン語で「Encierro(エンシエロ)」と呼ばれる牛追いは、14世紀に始まりました。
闘牛用に使う牛を田舎からパンプローナ市まで移動したのがエンシエロの起源だそうです。
当時は決まったルートもなく、1776年まで防衛用の塀もない状態でした。
牛追いのルートやルールが決められたのは19世紀からです。
牛追いのルートは?
牛追い開始前、聖フェルミン像の前で走る人達が歌を歌います。
サント・ドミンゴの坂から闘牛場までの距離は875mで、最初・中間・最後の区間での特徴は下記の通りです。
- 最初の区間は、一斉に走り出す牛のスピードが一番出ます。
- 市役所の区間では、牛のスピードは落ち始めるもののカーブにより右側の塀にぶつかる牛がでる。
- エスタフェタ通りでは、牛も疲れスピードがかなり落ちるが、固まって走っていた牛たちが個別に自由に走るため危険度がアップする。
これまで16人以上の死者や多くのけが人をだしている牛追いでは、近年はエスタフェタ通りで滑り止めをまいています。
牛追いのルールは?
牛追いを主催するパンプローナ市役所では、牛追いでの禁止事項やルールに関する条例を毎年可決しています。
ルールの一部にはこんなものがあります。
- 18歳以下の未成年者は参加できない。
- 牛を触ったり、たたいたりと牛の注意をひくような行為は一切禁止。
- 牛の後ろを走ってはいけない。
- 許可なく牛追いルートの通りや囲いからの写真撮影。
これらは、牛追いに参加する走り手を邪魔したり、走っている牛の注意をそらさないためです。
お祭りのコスチュームは?
出典: https://e00-elmundo.uecdn.es
白い服に赤いスカーフのコスチュームが有名ですが、白い服を着るようになったのは1960年代からだそうです。
それ以前から使用されている赤いハンカチの起源については、
殉教した聖フェルミンの血の色だする説や牛追いで走る牛をかりたてるためなど複数の説があります。
サン・フェルミン祭で牛追い以外の見所は?
Riau-riau(リヤウ‐リヤウ)
パンプローナ市役所からサン・フェルミン教会までのおよそ500mの道のりを音楽隊と共に行進する行事。
7月6日の午後に行われます。
「リヤウ‐リヤウ」とは、行進時に歌われる歌の中で叫ばれる言葉です。
通りいっぱいに集まった人が歌を歌いながらゆっくり行進するので、途中で参加者の間で衝突といった事故が起こります。
1914年に開始されてから、中止→復活→再び中止の歴史があります。
2012年に復活したものの再び事故が起こり、2013年には市の議員などを抜きに非公式な形で行いました。
ポブレ・デ・ミ
サン・フェルミン祭最終日である7月14日の深夜0時、9日間続いた祭りの閉会式で歌われる曲です。
『ポブレ・デ・ミ(Pobre de mi)』とは、可哀そうな私という意味。
キャンドルに火を灯した参加者たちがお祭りの最後を惜しんで「ポブレ・デ・ミ(可哀そうな私)」と歌います。
サン・フェルミン祭に参加する女性への注意点は?
20世紀まで参加は男子のみとされていたサン・フェルミン祭。
もちろん、女性も参加できますが、注意してほしいことがあります。
お酒が入った状態で、一部の参加者の間で行き過ぎた行為があるのは事実であり、
牛追い祭り時の危険性と同様に、祭り期間のバカ騒ぎを利用して女性の体に障る痴漢行為や性暴力が問題となっています。
- 性暴力反対キャンペーンのシンボルである赤い手をお祭りの各所に設置
- 性暴力の防止・発見・助けの求め方など4か国語で説明したパンフレットの作成
- 被害があった場合の対応スタッフや警備など24時間体制
と、現地でもこの問題の対応策をしいていますが…
参加者自身もこの点は注意して楽しいサン・フェルミン祭をお過ごしください。
まとめ
- パンプローナのサン・フェルミン祭は、中世から続く聖フェルミンを讃えるお祭り。
- サン・フェルミン祭は7月6日の正午から7月14日の深夜0時まで9日間のお祭り。
- Chupizazo(チュピサソ)というロケットを打ち上げてお祭りが開始する。
- お祭りに参加する人は、白い服に赤いスカーフを首などにまく。
- サン・フェルミン祭で有名なエンシエロ(牛追い)は14世紀に始まった。
- エンシエロでは、875mの距離を約3分で走る闘牛と一緒に人間が走る。
- エンシエロ以外にも、Riau-riau(リヤウ・リヤウ)やPobre de mi(ポブレ・デ・ミ)など参加者がお祭りの歌を歌う行事が有名。
- お酒を飲んでバカ騒ぎをする参加者の中には行き過ぎた行為をする人がいるので、女性参加者は注意が必要。
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