この記事では、スペインの火祭り「サン・フアン」について紹介します。
サン・フアンとは、日本語でキリスト教の聖人ヨハネを指し、聖人の祝日
6月24日の前夜に、スペイン全土でHoguera(オゲーラ)と呼ばれるかがり火を焚いて祝います。
日本人にはちょっと馴染みのないお祭り。
本文を読めば、サン・フアンの火祭りの起源や地方ごとのサン・フアンの祝い方が分かります。
参考にして下さい。
サン・フアンの火祭りの起源とは?
サン・フアンの火祭りの起源は、キリスト教化する前のヨーロッパで行われていた夏至祭です。
1日で最も夜が短かくなるこの日は悪霊を追い払い、善良な霊を引き寄せる絶好の日である
という迷信が結びつき魔法の夜であると考えられました。
ヨーロッパにキリスト教が広まると、夏至の日を境に昼の時間が短くなるので、太陽を『励ます』ために焚いたかがり火は、聖ヨハネの父ザカリアが息子の誕生を知らせるために焚いた火であると新しい意味が付けられました。
サン・フアンの夜(祭り)は6月23日から24日を指しますが、夏至は年によって異なり6月21日もしくは22日です。
厳密に言うとサン・フアンと夏至は日にちが一致しませんが、夏の到来を祝う火祭りの伝統はサン・フアンの日として現在まで根付いています。
各地方で異なるサン・フアンお祭りとは?
アンダルシア州
出典: https://andaluciainformacion.es
アンダルシア州では、Juanillos(フアニージョス)という名前の布などで作った人形に火を付けますが、
マラガではJuas(フアス)と呼ばれ、場所によって異なるようです。
私が初めてサン・フアンの祭りを体験したマラガでJuasを見た記憶はありませんが、
火が焚かれたビーチで過ごし、当時スペイン人の友達に
『サン・フアンの夜に海に入るとその1年は良い年になる』と言われてみんなで一斉に海に入りました。
カタルーニャ・バレンシア州
出典: https://www.lovevalencia.com
バレンシアというと3月に行われるファリャスを連想する人も多いと思いますが、
バレンシア州やカタルーニャ州のサン・フアンの火祭りの主役は、やはり花火や爆竹だそうです。
アリカンテでは、サン・フアンの日のために作られた多くの人形に火を付けてお祝いするそうです。
メノルカ諸島
メノルカのCiutadellaという町では、14世紀から続く馬に乗ったお祭りがあります。
調べていて初めて知ったお祭りですが、お祭りを伝える映像がありますので是非ご覧ください♪
エストレマドゥーラ州
出典: https://www.nationalgeographic.com.es
Zafra(サフラ)という町では、サン・フアンのお祭りに人間チェスや23日の夜には
元々エストレマドゥーラのジプシーが始めた伝統行事La Mojá de la Vara(ラ・モハ・デ・ラ・バラ)が行われます。
真夜中の12時に細長い棒(Vara)で水をたたいてその水しぶきで体を清めるというものです。
ポケットを濡らすと財が入ってくると考えられたため、現在この行事に参加する人は自分の財布を濡らすようです。
ガリシア州
ガリシアのサン・フアンのお祭りでは、火と同様に水も大事な要素です。
ポンテべドラ県にあるランサーダ海岸(Playa de Lanzada)でサン・フアンの夜に9つ波をジャンプすると子供を授かると言われています。
元々は波をジャンプすればいいらしいのですが、私は友達から海に浸かって9回波を受けると聞いた覚えがあります。
ガリシアだけに限りませんが、前夜に悪霊を遠ざけるためにかがり火の上をジャンプします。
サンティアゴでは、サン・フアンに焚くかがり火のことをCacharelas(カチャレラス)と呼び、市内の各地区でカチャレラスを焚きます。
私の住む地区では、炭火でやいたイワシをパンにのせて振る舞ってくれます。
また、古くからの習慣で23日の午後に山へ出かけて香草や薬草をとり、水が入った器に入れ一晩外に置いておきます。
24日の朝に起きて、すぐにこの水で顔を洗うと美容的または病気を治す力があると信じられています。
まとめ
- サン・フアンの火祭りの起源は、キリスト教化する前のヨーロッパで行われていた夏至祭。
- 夏至祭を一部キリスト教の聖書の内容に適応させているので、夏至とサン・フアンのお祭りは厳密には日にちが一致しない。
- スペインのサン・フアンのお祭りは、地方によって独特の祝い方がある。
- サン・フアンのお祭りでは火だけではなく水も重要な要素となっている地方がある。
スペインのお祭り情報
最後まで読んで頂きありがとうございました。