スペイン観光と巡礼をもっと深く—オトラスペイン| 現地ガイドが届ける、ガリシアからのリアルな視点

モバイル用ヘッダー画像
PC用ヘッダー画像

巡礼の準備と計画

 【2026年版】1週間でサンティアゴ巡礼はできる?「サリア」vs「フェロール」徹底比較と第3の選択肢

2018年9月27日

サリア近くの「100km」のモホン(標識)と、巡礼者の足元の写真。
プロフィール画像

いつこ

多くの巡礼者が目指すゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラ在住。スペインガリシア州公認ガイド。観光学修士(Master)としての知識と現地在住者ならではの視点を活かし、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」を発信中。 年間100名以上の日本人巡礼者を聖地へご案内しています。

「サンティアゴ巡礼に憧れるけれど、1ヶ月も休みなんて取れない…」

「会社を休めるのはせいぜい1週間ちょっと。それでも巡礼証明書はもらえる?」

諦めないでください。答えは「YES」です。

実は、巡礼証明書(コンポステラ)をもらう条件は「徒歩でラスト100km以上」歩くこと。

これなら、実質5日間の歩きで達成可能です。日本からの移動を含めても、最短9日間あれば実現できます。

この記事では、日本人巡礼者グループのガイドもする私が、短期決戦で挑むあなたの、よりリアルな視点から2大人気ルート「フランス人の道(サリア発)」と「イギリス人の道(フェロール発)」を徹底比較。

さらに、体力に自信がない方や、もっと余裕を持ちたい方への「第3の選択肢」についてもご紹介します。


1週間で完結!選ぶべきは「この2択」…プラス1

限られた時間でカミーノを体験するための、主要な選択肢は以下の通りです。

① 【王道】フランス人の道(サリア出発)

「NHKのドキュメンタリーで見たあの景色を歩きたい!」という方はこちら。

全行程800kmのうち、ラスト114km地点の街「サリア(Sarria)」からスタートします。

  • こんな人におすすめ:
    • 初めての海外一人旅で不安な人。
    • 世界中の巡礼者と「ブエン・カミーノ!」と励まし合いたい人。
    • バルやカフェでこまめに休憩したい人。

② 【穴場】イギリス人の道(フェロール出発)

「海を見ながら静かに歩きたい」という方はこちら。

港町「フェロール(Ferrol)」からスタートする、全長119kmのコンパクトなルートです。

  • こんな人におすすめ:
    • 人混みを避けて、静寂の中で自分と向き合いたい人。
    • 海と緑、両方の景色を楽しみたい人。
    • 少し体力に自信がある人(前半にアップダウンがあるため)。

③ 【裏ワザ】イギリス人の道(ア・コルーニャ出発)

「5日間歩く体力がない」「証明書にはこだわらない」という方はこちら。

サンティアゴから電車でわずか30分の街「ア・コルーニャ」からスタートする、約75kmのルートです。

  • こんな人におすすめ:
    • 「巡礼証明書」はもらえなくても良い(※距離が足りないため)。
    • カミーノの雰囲気だけを「プチ体験」してみたい。
    • 日本からの移動疲れを考慮して、無理なくサンティアゴを目指したい。

2. 徹底比較:「サリア」vs「フェロール」どっちがいい?

それぞれの特徴を比較表にしました。

特徴サリア発(フランス人の道)フェロール発(イギリス人の道)
雰囲気賑やか・社交的静か・内省的
景色森、牧草地、小さな村港、入り江、森
宿・バル非常に多い(安心感◎)少なめ(計画性が必要)
出会い世界中に友達ができる顔なじみと深く仲良くなる
難易度初心者向け(休憩しやすい)中級者向け(宿が少ない)

ガイドの視点:「人が多い」はメリットです

「サリア発は人が多すぎてテーマパーク化している」なんて批判を聞くこともありますが、初心者にサリア発をおすすめする理由は、「インフラの安心感」です。

頻繁にカフェが現れたり、道に迷っても誰かが教えてくれる。人が多いからこそ交流のきっかけが増える。

この安心感は、限られた日数でプレッシャーを感じながら歩く日本人にとって大きな支えになります。

逆に、静かに歩きたいならフェロール一択。どちらが良い悪いではなく、「あなたがどんな時間を過ごしたいか」で選んでください。


「証明書はいらない」ならコルーニャ発もアリ!

もしあなたが、「証明書(紙)よりも、歩いたという体験そのものが大事」と割り切れるなら、ア・コルーニャ(A Coruña)出発も素晴らしい選択肢です。

  • アクセス抜群: サンティアゴから電車でたった30分でスタート地点へ行けます(フェロールやサリアへ行くより楽です)。
  • 距離が短い: 約75kmなので、3〜4日でゆったり歩けます。
  • 体験者の声: 実際にコルーニャから一人で歩いた日本人女性のインタビュー記事があります。「証明書がなくても、心に残る最高の旅だった」という感想をぜひ読んでみてください。
巡礼中の女性
イギリス人の道のカミーノは楽しい?経験者のアドバイスは?

続きを見る


日本からの移動疲れをカバーして、5日間を楽しみ切る方法

「1日20kmなんて、日本でも歩いたことない…」 そんな方が、時差ボケを抱えたままスペインの道を歩き切るには、戦略が必要です。

私はこれまで、日本から到着して翌日から歩き始めるグループを何度もガイドしてきましたが、皆さんが直面するのは「歩く距離」の辛さだけではありません。

  • 長時間のフライト疲れ(現在は特に飛行時間が長くなっています)
  • 激しい時差ボケ
  • 慣れない土地への移動ストレス

これらを抱えた状態で、いきなり重いバックパックを背負って連日歩くのは、想像以上に過酷です。 「証明書が欲しいから」と無理をして、ただ辛いだけの思い出になってしまったり、帰国後の仕事に支障が出てしまっては本末転倒ですよね。

限られた日数だからこそ、「巡礼そのものを楽しむ余裕」を残すために、この方法を取り入れるのは全然ありです。

おすすめの選択:荷物は「Mochila-Paq」に任せる

サンティアゴ巡礼路内の荷物移送サービスの車、ザックを運ぶ人の姿

スペイン郵便局(Correos)などが提供する「荷物輸送サービス(Mochila-Paq)」を使いましょう。

  • 仕組み: 朝、宿にスーツケースを置いておけば、次の宿まで運んでくれる(1回5〜7ユーロ程度)。
  • メリット: デイパック(水と貴重品)だけで身軽に歩ける。

重い荷物から解放されれば、道端の花に気づいたり、他の巡礼者と話したりする「心の余裕」が生まれます。 短い期間だからこそ、最高の体験にするために、便利なサービスは積極的に使っていきましょう。


日程シミュレーション(最短9日間プラン)

日本(東京・大阪)から行く場合の、現実的なスケジュールの目安です。

日数行程宿泊地
1日目日本出発 → マドリード着マドリード
2日目列車/バスでスタート地点へ移動サリア or フェロール
3日目巡礼 1日目(約22km)ポルトマリン or ネダ
4日目巡礼 2日目(約25km)パラス・デ・レイ or ポンテデウメ
5日目巡礼 3日目(約29km)アルスーア or ベタンソス
6日目巡礼 4日目(約19km)オ・ペドロウソ or シグエイロ
7日目巡礼 5日目(ゴール!)サンティアゴ
8日目サンティアゴ発 → マドリード経由帰国機内
9日目日本到着

※コルーニャ発の場合は、3日目〜4日目の行程がさらにゆったりになります。

📜 ゴールしたら、証明書をもらいに行こう!

100km歩ききった証である「コンポステラ(巡礼証明書)」は、大聖堂の近くにある巡礼事務所で発行してもらいます。
最近は事前のWEB登録整理券が必要な場合もあるので、スムーズに受け取るための手順をこちらで確認しておいてください。


「一人じゃ不安…」という方へ。ガイドのサポートについて

「ルートは決まったけど、宿の予約はどうすればいい?」

「万が一、現地でトラブルがあったら?」

そんな不安を解消するために、ガリシア州公認ガイドとして以下のサポートを行っています。

① 出発前の「オンライン相談・コンサル」

Zoomなどを使い、あなたの体力や日程に合わせた**「あなただけの巡礼プラン」を一緒に作ります。

宿の予約方法や、荷物輸送の手配方法、巡礼中のトラブル対策など、「自分で歩くためのノウハウ」**をすべて伝授します。

(※予約代行は行っていませんが、予約の仕方は丁寧に教えます!)

② サンティアゴ到着後の「プライベートガイド」

ゴールした後、大聖堂の歴史や旧市街の魅力を深く知るためのガイドツアーです。

完歩の感動を分かち合いながら、最高の思い出作りをお手伝いします。

「一人で歩きたいけど、独りぼっちは不安」

そんな方は、ぜひ出発前にご相談ください。


まとめ

「たった5日間の歩き」と思うかもしれません。

でも、緑のトンネルを抜け、石畳を踏みしめ、最後に大聖堂の尖塔が見えた瞬間の感動は、一生忘れられない宝物になります。

証明書が欲しいならサリアかフェロール。

無理せず楽しみたいならコルーニャ。

休みが短いからと諦めず、ぜひカミーノへの第一歩を踏み出してください。

サンティアゴ・デ・コンポステーラで、あなたをお待ちしています。

ブエン・カミーノ!(良い巡礼を!) 

他の巡礼ルート情報を知りたくなったら

ホタテ貝の標識と黄色い矢印、または青空の下を歩く巡礼者の後ろ姿
【2026年版】サンティアゴ巡礼全ルート解説|初心者におすすめは?難易度と特徴を比較

続きを見る

観光・巡礼をより深く体験したい方へ。現地ガイドによるプライベートツアー受付中!

ガイドサービスを詳しく見る
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
プロフィール画像

いつこ

多くの巡礼者が目指すゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラ在住。スペインガリシア州公認ガイド。観光学修士(Master)としての知識と現地在住者ならではの視点を活かし、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」を発信中。 年間100名以上の日本人巡礼者を聖地へご案内しています。

-巡礼の準備と計画
-