「サンティアゴ巡礼に憧れるけれど、1ヶ月も休みなんて取れない…」
「会社を休めるのはせいぜい1週間ちょっと。それでも巡礼証明書はもらえる?」
諦めないでください。答えは「YES」です。
実は、巡礼証明書(コンポステラ)をもらう条件は「徒歩でラスト100km以上」歩くこと。
これなら、実質5日間の歩きで達成可能です。日本からの移動を含めても、最短9日間あれば実現できます。
この記事では、日本人巡礼者グループのガイドもする私が、短期決戦で挑むあなたの、よりリアルな視点から2大人気ルート「フランス人の道(サリア発)」と「イギリス人の道(フェロール発)」を徹底比較。
さらに、体力に自信がない方や、もっと余裕を持ちたい方への「第3の選択肢」についてもご紹介します。
1週間で完結!選ぶべきは「この2択」…プラス1
限られた時間でカミーノを体験するための、主要な選択肢は以下の通りです。
① 【王道】フランス人の道(サリア出発)
「NHKのドキュメンタリーで見たあの景色を歩きたい!」という方はこちら。
全行程800kmのうち、ラスト114km地点の街「サリア(Sarria)」からスタートします。
- こんな人におすすめ:
- 初めての海外一人旅で不安な人。
- 世界中の巡礼者と「ブエン・カミーノ!」と励まし合いたい人。
- バルやカフェでこまめに休憩したい人。
② 【穴場】イギリス人の道(フェロール出発)
「海を見ながら静かに歩きたい」という方はこちら。
港町「フェロール(Ferrol)」からスタートする、全長119kmのコンパクトなルートです。
- こんな人におすすめ:
- 人混みを避けて、静寂の中で自分と向き合いたい人。
- 海と緑、両方の景色を楽しみたい人。
- 少し体力に自信がある人(前半にアップダウンがあるため)。
③ 【裏ワザ】イギリス人の道(ア・コルーニャ出発)
「5日間歩く体力がない」「証明書にはこだわらない」という方はこちら。
サンティアゴから電車でわずか30分の街「ア・コルーニャ」からスタートする、約75kmのルートです。
- こんな人におすすめ:
- 「巡礼証明書」はもらえなくても良い(※距離が足りないため)。
- カミーノの雰囲気だけを「プチ体験」してみたい。
- 日本からの移動疲れを考慮して、無理なくサンティアゴを目指したい。
2. 徹底比較:「サリア」vs「フェロール」どっちがいい?
それぞれの特徴を比較表にしました。
| 特徴 | サリア発(フランス人の道) | フェロール発(イギリス人の道) |
| 雰囲気 | 賑やか・社交的 | 静か・内省的 |
| 景色 | 森、牧草地、小さな村 | 港、入り江、森 |
| 宿・バル | 非常に多い(安心感◎) | 少なめ(計画性が必要) |
| 出会い | 世界中に友達ができる | 顔なじみと深く仲良くなる |
| 難易度 | 初心者向け(休憩しやすい) | 中級者向け(宿が少ない) |
ガイドの視点:「人が多い」はメリットです
「サリア発は人が多すぎてテーマパーク化している」なんて批判を聞くこともありますが、初心者にサリア発をおすすめする理由は、「インフラの安心感」です。
頻繁にカフェが現れたり、道に迷っても誰かが教えてくれる。人が多いからこそ交流のきっかけが増える。
この安心感は、限られた日数でプレッシャーを感じながら歩く日本人にとって大きな支えになります。
逆に、静かに歩きたいならフェロール一択。どちらが良い悪いではなく、「あなたがどんな時間を過ごしたいか」で選んでください。
「証明書はいらない」ならコルーニャ発もアリ!
もしあなたが、「証明書(紙)よりも、歩いたという体験そのものが大事」と割り切れるなら、ア・コルーニャ(A Coruña)出発も素晴らしい選択肢です。
- アクセス抜群: サンティアゴから電車でたった30分でスタート地点へ行けます(フェロールやサリアへ行くより楽です)。
- 距離が短い: 約75kmなので、3〜4日でゆったり歩けます。
- 体験者の声: 実際にコルーニャから一人で歩いた日本人女性のインタビュー記事があります。「証明書がなくても、心に残る最高の旅だった」という感想をぜひ読んでみてください。
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日本からの移動疲れをカバーして、5日間を楽しみ切る方法
「1日20kmなんて、日本でも歩いたことない…」 そんな方が、時差ボケを抱えたままスペインの道を歩き切るには、戦略が必要です。
私はこれまで、日本から到着して翌日から歩き始めるグループを何度もガイドしてきましたが、皆さんが直面するのは「歩く距離」の辛さだけではありません。
- 長時間のフライト疲れ(現在は特に飛行時間が長くなっています)
- 激しい時差ボケ
- 慣れない土地への移動ストレス
これらを抱えた状態で、いきなり重いバックパックを背負って連日歩くのは、想像以上に過酷です。 「証明書が欲しいから」と無理をして、ただ辛いだけの思い出になってしまったり、帰国後の仕事に支障が出てしまっては本末転倒ですよね。
限られた日数だからこそ、「巡礼そのものを楽しむ余裕」を残すために、この方法を取り入れるのは全然ありです。
おすすめの選択:荷物は「Mochila-Paq」に任せる

スペイン郵便局(Correos)などが提供する「荷物輸送サービス(Mochila-Paq)」を使いましょう。
- 仕組み: 朝、宿にスーツケースを置いておけば、次の宿まで運んでくれる(1回5〜7ユーロ程度)。
- メリット: デイパック(水と貴重品)だけで身軽に歩ける。
重い荷物から解放されれば、道端の花に気づいたり、他の巡礼者と話したりする「心の余裕」が生まれます。 短い期間だからこそ、最高の体験にするために、便利なサービスは積極的に使っていきましょう。
日程シミュレーション(最短9日間プラン)
日本(東京・大阪)から行く場合の、現実的なスケジュールの目安です。
| 日数 | 行程 | 宿泊地 |
| 1日目 | 日本出発 → マドリード着 | マドリード |
| 2日目 | 列車/バスでスタート地点へ移動 | サリア or フェロール |
| 3日目 | 巡礼 1日目(約22km) | ポルトマリン or ネダ |
| 4日目 | 巡礼 2日目(約25km) | パラス・デ・レイ or ポンテデウメ |
| 5日目 | 巡礼 3日目(約29km) | アルスーア or ベタンソス |
| 6日目 | 巡礼 4日目(約19km) | オ・ペドロウソ or シグエイロ |
| 7日目 | 巡礼 5日目(ゴール!) | サンティアゴ |
| 8日目 | サンティアゴ発 → マドリード経由帰国 | 機内 |
| 9日目 | 日本到着 |
※コルーニャ発の場合は、3日目〜4日目の行程がさらにゆったりになります。
📜 ゴールしたら、証明書をもらいに行こう!
100km歩ききった証である「コンポステラ(巡礼証明書)」は、大聖堂の近くにある巡礼事務所で発行してもらいます。
最近は事前のWEB登録や整理券が必要な場合もあるので、スムーズに受け取るための手順をこちらで確認しておいてください。
「一人じゃ不安…」という方へ。ガイドのサポートについて
「ルートは決まったけど、宿の予約はどうすればいい?」
「万が一、現地でトラブルがあったら?」
そんな不安を解消するために、ガリシア州公認ガイドとして以下のサポートを行っています。
① 出発前の「オンライン相談・コンサル」
Zoomなどを使い、あなたの体力や日程に合わせた**「あなただけの巡礼プラン」を一緒に作ります。
宿の予約方法や、荷物輸送の手配方法、巡礼中のトラブル対策など、「自分で歩くためのノウハウ」**をすべて伝授します。
(※予約代行は行っていませんが、予約の仕方は丁寧に教えます!)
② サンティアゴ到着後の「プライベートガイド」
ゴールした後、大聖堂の歴史や旧市街の魅力を深く知るためのガイドツアーです。
完歩の感動を分かち合いながら、最高の思い出作りをお手伝いします。
「一人で歩きたいけど、独りぼっちは不安」
そんな方は、ぜひ出発前にご相談ください。
まとめ
「たった5日間の歩き」と思うかもしれません。
でも、緑のトンネルを抜け、石畳を踏みしめ、最後に大聖堂の尖塔が見えた瞬間の感動は、一生忘れられない宝物になります。
証明書が欲しいならサリアかフェロール。
無理せず楽しみたいならコルーニャ。
休みが短いからと諦めず、ぜひカミーノへの第一歩を踏み出してください。
サンティアゴ・デ・コンポステーラで、あなたをお待ちしています。
ブエン・カミーノ!(良い巡礼を!)
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