というあなたに本文が分かりやすく解説いたします。
本文のポイント☟
- ゲルニカが描かれた時代背景や意味
- 何故この作品がこんなに評価されているか
- ゲルニカが見れるソフィア王妃芸術センターでの鑑賞のポイント
- ゲルニカを鑑賞するおすすめの時間
本文を読んだら、絶対にスペインで本物のゲルニカを見たくなりますよ。
是非、参考にして下さい。
ゲルニカが描かれた時代背景
『ゲルニカ』(Guernica)は、スペインの画家パブロ・ピカソがスペイン内戦中の1937年に描いた絵画、およびそれと同じ絵柄で作られた壁画である。ドイツ空軍のコンドル軍団によってビスカヤ県のゲルニカが受けた都市無差別爆撃(ゲルニカ爆撃)を主題としている。
引用: Wikipedia
ピカソがゲルニカを描いた当時のスペインは、内戦中で左派と右派が対立していました。
第二共和政政府(左派)は、1937年5月に開催されるパリ万国博覧会のスペイン館にてフランコ率いる右派の横暴を世界に知らしめ国際的支援を得ようと考えます。
そこで、当時影響力のあったスペイン人芸術家たちに展示作品の制作を依頼します。
パリ万博スペイン館の模型。(模型の内部でゲルニカの展示された場所も確認できます!)
依頼を引き受けたものの、当時のピカソは最初の妻との離婚など複数の問題を抱えていて、作品制作に集中できる状態ではありませんでした。
1937年4月26日、博覧会開催のちょうど1か月前にドイツ軍がゲルニカを襲撃します。
襲撃事件のニュースに心を動かされたピカソはゲルニカの制作にとりかかり、博覧会がはじまって約2週間後の6月初旬にゲルニカがスペイン館に展示されました。(情報元: 15 Fascinating Facts About Picasso's Guernica)
展示当初のゲルニカの評価は悪かった?
反戦・戦争の悲惨さを訴える作品として非常に有名なゲルニカですが、作品を依頼した共和制府やスペイン人の芸術家たちからの評価はいいものではなかったんです。
なぜでしょうか?
ゲルニカの悲惨さや右派への抵抗の象徴となるアイコンがもっとダイレクトに描かれた作品を期待していたのに、そうではなかったからです。
抵抗を表すアイコンって何?
出典: https://thespanishcivilwar.com
固く握られたこぶしは抵抗の意志を示し、突き上げた拳は主として革命主義者によって抵抗の象徴として用いられる。
引用: Wikipedia
この作品(Madrid 1937 – The Black Planes)は、ゲルニカと同じ階で展示されています。
ゲルニカにもこぶしは描かれていた?
ゲルニカの展示部屋に、当時ピカソの愛人だったドラ・マールが撮影したゲルニカの写真が展示されています。
作品の制作過程を知ることができる貴重な資料ですので、是非ご覧ください。
制作の初期段階でこぶしを絵の真ん中に描いているのですが、途中でこぶしを消してしまうのが確認できて興味深いです。
作品の中の動物の意味
ゲルニカが襲撃された月曜日は、村で市場が行われていました。
ドイツ人はそれを承知で空爆を落としたので、作品はゲルニカの市場の様子も表現しているようですが、描かれている動物たちが何を意味するのか気になりますよね?
その質問に、ピカソはこう答えています。
“This bull is a bull and this horse is a horse...If you give a meaning to certain things in my paintings it may be very true, but it is not my idea to give this meaning. What ideas and conclusions you have got I obtained too, but instinctively, unconsciously. I make the painting for the painting. I paint the objects for what they are.”
(引用: 15 Fascinating Facts About Picasso's Guernica)
牛は牛で、馬は馬だ・・・もし私の絵に描かれた特定のものに意味付けをしても、それは正しいかもしれないが、私は意味を持たせようと思って描いていない。あなたが思う考えや結論は、私の中で直観的、また無意識に表れたものだ。私は絵を描くために絵を描き、物があるままの姿を描いているのだ。
描いた本人がそう言うのですから、これが絶対正しい解釈というのはなくいろんな解釈があっていいのだと思います。
ゲルニカは、当時の人も理解できなかったんだから私たちが作品の意味が分からないと感じるのはおかしなことじゃない。
と、作品を解説してくれたスペイン人の男性の言葉が印象に残りました。
ゲルニカには彼の故郷マラガの悲劇が描かれている?
出典: https://static3.diariosur.es
ゲルニカ襲撃の2か月前の1937年2月8日、フランコ軍はピカソの出身地マラガを攻め落とし、戦火を逃れて人民戦線支配下のアルメリアへ移動する3,000~5,000人の住民を虐殺しました。(La Desbandaーラ・デスバンダー)
マラガの虐殺事件の2か月後に起こったゲルニカ襲撃を描いたピカソですが、制作中に故郷の悲劇を想ったはずだと、ゲルニカとラ・デスバンダの関連性を指摘する専門家もいます。(情報元: SUR.es)
次に、ゲルニカが展示されているソフィア王妃芸術センターの基本情報やおすすめの鑑賞時間について説明します。
ソフィア王妃芸術センターの場所やゲルニカの展示場所
入り口は、カルロス5世広場の脇のRonda de Atochaにあります。
最寄りの地下鉄駅は1番線のアトーチャ駅
ゲルニカは建物2階の206号室にあり、本文で紹介したパリ博覧会のスペイン館の模型や作品も全て同じ階で見れます。
スペインでは1階を0階と表記するので、日本の感覚では3階になります。
ゲルニカ鑑賞におすすめの時間は?
仕事の帰りに毎日美術館の入り口前を通る友人から「いつも長い行列ができてる。」と聞きました。
月~土曜日の(火曜日を除く)18:00~20:00まで入場無料だからだと思います。
2021年2月時点の情報です。予告なく変更する場合もありますのでご注意下さい。
入り口近くのインフォメーションセンターで、美術館を訪れるのにおすすめの時間帯を聞くとこう返事が返ってきました。
ゲル/ニカを無料で見たい人は上記の時間を狙うべきですが…
- 行列に並ぶ時間がもったいない
- 人が少ない時間帯にゆっくり鑑賞したい
場合は、個人的に開館時間に美術館へ行くことをおすすめです。
私が開館時間30分前に美術館へ行った時の経験ですが、真っ先にゲルニカの場所へ行くとちょっとひとり占めしたような感覚で鑑賞できました。
時間がたつと人は増え、正午前になると観光客や地元小学校の学生グループでゲルニカの前は人でいっぱいになります。
訪れる時期やその日の状況にもよりますが、落ち着いてゲルニカの絵を鑑賞するなら朝一がおすすめかなと思いました。
まとめ
- 1937年、パブロ・ピカソはゲルニカ襲撃の一報を受けてパリ万博博覧会の展示作品「ゲルニカ」を制作した。
- 展示当初、スペイン共和制政府側からの評価は悪かったが、現在は反戦を訴える代表的作品として有名。
- マドリードの国立ソフィア王妃美術センターにて展示されている。
- 展示階では、当時の背景がわかるドキュメンタリーやゲルニカの制作過程を残した写真など関連重要書類が見られる。
- ゲルニカ目当てに訪れる人が多いので、少しでもゆっくり作品を鑑賞したいなら朝一に訪れるといい。
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