この記事では、カミーノ(サンティアゴ巡礼)のトイレ事情についてお話します。
習慣または文化の違いに言葉の問題が絡んで、場合によっては嫌な思いをする可能性もあるという事を実際の体験談を用いてお伝えします。
『こんな当たり前のことわざわざ書くの? 』
『私は巡礼したけど、そんな現場見たことない。』
という感想を持つ方がいるかもしれませんが…当たり前が共有できていなくて複数の場所で私が見てきたことです。
本文では、次のような流れで順番に話をしていきます。
- 巡礼中にトイレが利用できる場所やその時に気をつけて欲しいこと
- カミーノ中に実際に見たり体験したこと
- 嫌な思いをしない、させないために出来るシンプルな2つのこと
興味のある方は是非最後までお付き合い下さいね。
巡礼路沿いでトイレを利用できる場所はどこ?
はじめに、基本情報として巡礼中にトイレが使える場所を簡単に紹介します。
公衆トイレはあるの?
無料の公衆トイレが所々にあれば助かりますが、公衆トイレがあったらラッキーぐらいの感覚でいて下さい。
ポルトガルやフランスの状況までは分かりませんが、あまり期待しない方がいいでしょう。
教会・修道院
クリスチャンのお客様から教会の中でトイレはある?と聞かれました。
教会にトイレはないのが普通だと伝えると…
『そうなの?日本の教会はトイレがあるのよね。』と、逆に教えてもらいました。
修道院でもトイレは使えないと思いますが、事前に確認してみて下さい。
アルベルゲ(巡礼宿)
巡礼路沿い、町の中でアルベルゲと呼ばれる巡礼者用の宿があります。
市役所や各自治州の政府などが運営する公共のアルベルゲに対し、民間のものもあります。
巡礼者のための宿ならトイレ使わせてくれるでしょうと思いたいですが、各場所で要確認です。
ある公共アルベルゲの中で掃除をしていた女性に頼んだら快く使わせてくれたケースもありますが…
サリアという町にあるマグダレナ修道院横のアルベルゲでは、トイレのみの使用は不可とキッパリ断られます。

と言いたくなりますが、巡礼路沿いにあるバルやカフェ内のトイレを使う事ができます。
ただし、こういう時に注意してほしい事があります。
巡礼路沿いのバルでトイレを使う時に注意すること

正直、巡礼路沿いのバルやカフェに限った話でなく、トイレは店を利用するお客様専用です。
トイレの前に複数の言語でお客様専用って書いた紙を貼っているところが結構あります。
トイレを利用するなら、コーヒーやミネラルウォーターなどなんでもいいので注文して下さい。
トイレに行く前に必ず注文しないといけないというルールがあるわけではありません。
『とにかく先にトイレに行かないとまずい!』って急ぐ時もあるでしょう。
- コーヒーを注文して用意してもらっている間にトイレに行く。
- トイレに行った後、注文をして休憩してから出る。
と、その場の状況を見て対応して下さい。

と思われる方もいるかもしれませんが、こんな事がありました。
No,No,No!

4月末なのに、出発時の気温が2度と冬並みの寒さと雨の中の巡礼。
トイレ休憩の間隔は狭くなり、立ち寄るバルはどこも巡礼者が多くてトイレやカウンター前に長い行列がありました。
各場所できちんと注文して下さっていたお客様ですが、場合によっては先にトイレへ行きたい時もあります。
そういう時はお客様がトイレの列に並んでいる間、私がカウンターで注文。
『彼らはトイレから出てきたら注文するから心配しないで』と声をかけていたのですが…
あるカフェでちょっとしたハプニングが起こりました。
店に入り、トイレの場所へ進むお客さまとは別に私がカウンターへ向かうと、お店の男性はトイレへ向かうお客様の方へ行って…

と、声を荒げたのです。
驚いた私がすぐさまその男性に近寄ると、彼はこう聞いてきました。


と、伝えても彼は全く聞く耳を持たずにこう続けました。

何が起こったの?という表情のお客様に事情を説明し、次のバルへ向かいました。
お客様に嫌な思いをさせてしまって申し訳ない、しかし彼があんなに感情的になる原因はアジア人の巡礼者グループだったのかと複雑な気持ちにもなりました。
正直、団体でお客様専用トイレの紙と水を使って何も注文しないとは実に迷惑な話です。
今回はたまたまグループでしたが、個人の巡礼者でもあります。
カウンターに大勢の巡礼者が押し寄せているのを利用して、コップ1杯の水道水(無料)を頼んでトイレを使おうとするスペイン人がいました。
他の巡礼者のオーダーや支払いの対応してたのに、バルのおじさんはそれを見抜いてみんなの前で彼女を叱ったんです。

と、びっくりしたのを今でもよく覚えています。
私は人気の巡礼区間(サリア~サンティアゴ)を去年から10回ほど歩いていますが、あなたが想像する以上にお店の人はトイレを使う巡礼者をチェックしています。
利用しない店のトイレを使っても許される?
ここで、先程のアジア人巡礼者グループに話を戻します。
どこの国の方たちかわかりませんが、彼らの国では利用しない店のトイレを使っても許されるのかもしれません。
しかし、スペインでもOKとはいかないのです。
そんなことをぐるぐる考えていたら、昨年立ち会ったある出来事を思い出しました。
あるバルのカウンターでコーヒーを頼んで飲んでいた時のこと。
バルの主人がいきなりトイレに並んでいる巡礼者を見てこう言いました。

『No, no, no…ここは僕の家なんだ。君たちは人の家に挨拶もせずに入ってきてトイレを使おうとするのかい?』
トイレの前に並んでいた外国人巡礼者は何を言われているのか分からなかったのか、黙って彼を見ているだけ。
その反応を見て顔を横にふるオーナー…ちょっと居心地の悪い瞬間でした。
カミーノ中のトイレ使用で嫌な思いをしない(させない)ために出来る事
挨拶
お店に入ってくるお客様に店員が『いらっしゃいませ』と声をかけるのが一般的な日本。
日本以外にもそういう国はあると思いますが、スペインでは客が店に入る時、またお店の人の顔を見たら挨拶するのが普通です。
実は、スペイン語には朝・昼・夕と時間関係なく1日中使える便利で発音しやすい挨拶があります。
『Hola(オラ)!』というのですが、ひとこと声をかけるだけで、お店の人に与えるあなたの印象は全然違います。
そして、スマイルつきだと最高です。
どうしても注文したいものがないなら
トイレに行くたびに注文は分かったけど、何も飲みたくないし食べたくもないという時があると思います。
バルによっては、トイレ使用料いくらと紙で表示している所もあります。
もし店内にその表示がない場合、自分からお店の人に硬貨を出して『トイレ使ってOK?』と質問してみてはどうでしょうか?
タダでトイレを使う気はありませんという意志表示になります。
お店の人によってどんな対応をするのか私も絶対とは言えませんが…
実際、あるお客様はトイレ使ったからとお金を出したら、カウンターの男性は『大丈夫、気にするな。』と受け取らなかったことがありました。
さいごに
巡礼中の水分補給は大事、でも飲んだら行きたくなるトイレに関して実はこんなことが起きています。
トイレで使うトイレットペーパーや流す時の水はタダではありません。
こんなことを言う私はちょっと偉そうですが、日本にいた頃にマックに入ってトイレだけ使ったことは何度もあります。
スペインで初めてそれは失礼だと気づいて、何か頼まないとダメだって教わった経験があります。
小さなことですが、改めて挨拶って大事なだなと感じたので、次回のガイディングからもっと意識して伝えていこうと思いました。
店員さんの対応が100%良かったとは思いませんが、1日に何百人と対応している彼らも人間です。
爆発する瞬間に当たったのは運が悪かったですが、それだけのことを他の巡礼者がしているわけです。
双方が気持ちよく交流できるカミーノの空間であってほしいなと思います。
当たり前すぎてくだらないと思った方はたぶんもう離脱されてるはずです(笑)。
最後まで読んで下さりありがとうございました。これから巡礼するという方は、是非楽しいカミーノを!