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巡礼の体験談と学び

【カミーノのトイレ事情】公衆トイレはない?巡礼中に嫌な思いをしないためのマナーと対策

2024年5月17日

スペインのバルで過ごす巡礼者の写真
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いつこ

多くの巡礼者が目指すゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラ在住。スペインガリシア州公認ガイド。観光学修士(Master)としての知識と現地在住者ならではの視点を活かし、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」を発信中。 年間100名以上の日本人巡礼者を聖地へご案内しています。

この記事では、意外と知られていない「カミーノ(サンティアゴ巡礼)のトイレ事情」についてお話しします。

「トイレなんて、行きたくなったら行けばいいんじゃないの?」 そう思っている方は要注意です。

日本とは違う文化や習慣、そして言葉の壁が原因で、お店の人に怒鳴られたり、嫌な思いをしてしまう巡礼者が実際にいます。

ガイドとして現場で見てきた「リアルな体験談」を交えながら、誰も教えてくれない「カミーノのトイレ・マナー」をお伝えします。 これから歩く方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

1. 巡礼路に公衆トイレはあるの?

結論から言うと、「無料の公衆トイレはない」と思っておいた方が無難です。

基本的に「バル(カフェ)」を利用する

日本の公園や駅のような、誰でも使える公衆トイレはほとんどありません。 稀に自治体が設置している場合もありますが、「あったらラッキー」程度の確率です。

教会や修道院は?

「神の家だから貸してくれるだろう」と思いがちですが、多くの教会にはトイレ自体がないか、あっても信者用で鍵がかかっていることが一般的です。 「日本の教会にはあるのに…」と思うかもしれませんが、スペインでは事情が異なります。

アルベルゲ(宿)は?

自分が宿泊するアルベルゲはもちろん自由に使えますが、通りがかりのアルベルゲで「トイレだけ貸して」というのは、断られるケースが多いです。 特にサリアにあるマグダレナ修道院横のアルベルゲのように、「宿泊者以外利用不可」と厳しく決まっている場所もあります。

つまり、巡礼中のトイレは「バル(Bar)やカフェに入って借りる」のが基本ルールです。


2. 【重要】バルでトイレを借りる時の鉄則

ここが一番大切なポイントです。 バルやカフェのトイレは、あくまで「お客様専用」です。

【鉄則】トイレを使うなら、必ず何か注文する

「トイレに行きたいから店に入る」のではなく、「コーヒーや水を注文して、ついでにトイレを使う」というスタンスが必要です。

  • コーヒー1杯、水1本でOK: 高いものを頼む必要はありません。ミネラルウォーター1本でも立派な「お客様」です。
  • 緊急時の対応: どうしても漏れそうで注文している余裕がない!という時は、店員さんに「トイレ!」と伝えて先に済ませ、出てきてから必ず注文しましょう。

3. 【実録】バルの店主が激怒した理由

「そんなの当たり前でしょ?」 そう思うかもしれませんが、現場ではこんなトラブルが起きています。

「ここは公衆便所じゃない!」

ある雨の日、私がお客様をご案内していた時のことです。 寒さでトイレが近くなり、あるカフェに立ち寄りました。

お客様がトイレに向かう間、私がカウンターでまとめて注文しようとした瞬間、店主の男性が血相を変えてお客様を止めに入りました。

「ダメだ!ありえない!お前、2週間前にここに来たか!?」

初めて来た店なのに、ものすごい剣幕です。 話を聞くと、こういうことでした。

「2週間前に来たアジア人の団体が、挨拶も注文もせず、トイレだけ使って出ていったんだ。ここはカミーノのトイレじゃない!300m先に別の店があるからそっちへ行け!」

結局、事情を説明しても彼の怒りは収まらず、私たちは店を出ざるを得ませんでした。 私の大切なお客様に嫌な思いをさせてしまいましたが、同時に、マナーを守らない一部の巡礼者が、地元の人々をどれほど傷つけているかを知り、胸が痛みました。

挨拶なしで入ってくる「不法侵入者」

また別のバルでは、無言で入ってきてトイレに直行しようとした巡礼者に対して、主人がこう言いました。

「No, no, no...ここは僕の家なんだ。君たちは人の家に挨拶もせずに入ってきてトイレを使おうとするのかい?」

スペインのバルは、彼らにとっての「家(城)」です。 そこに無言で土足で上がり込まれたら、誰だって良い気はしませんよね。


4. 嫌な思いをしないための「2つの魔法」

お互いに気持ちよく過ごすために、今日からできる簡単なことが2つあります。

① 「Hola(オラ)!」と笑顔で挨拶する

店に入ったら、まず店員さんの目を見て**「Hola!(こんにちは)」**と明るく言いましょう。 これだけで、「私は怪しい人ではありません、あなたのお店に敬意を払っています」というメッセージになります。

② どうしても注文したくない時は…

「お腹がちゃぷちゃぷで何も飲めない…」 そんな時は、1ユーロ硬貨などを手に持って、こう聞いてみてください。

  • 「¿Puedo usar el baño?(プエド・ウサール・エル・バニョ?)」 (トイレを使ってもいいですか?)

お金を見せることで「タダで使う気はない(対価を払う意思がある)」ことが伝わります。 実際には、「いいよ、お金なんていらないよ」と優しく通してくれる店主さんもいます。 大事なのは「気持ち(敬意)」を見せることです。

バルによっては、『トイレ使用のみは50センチモ』というシステムの場所もありますよ。


まとめ

カミーノのトイレ事情、いかがでしたか?

  1. 公衆トイレはない(バルを利用する)。
  2. トイレのみの利用はマナー違反(必ず注文する)。
  3. 入店時は「Hola!」と挨拶する

たったこれだけのことですが、これを守るだけで、お店の人の対応は劇的に優しくなります。

「トイレを貸してくれてありがとう」という感謝の気持ちを持って、地元の人とも良い関係を築きながら歩いてくださいね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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多くの巡礼者が目指すゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラ在住。スペインガリシア州公認ガイド。観光学修士(Master)としての知識と現地在住者ならではの視点を活かし、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」を発信中。 年間100名以上の日本人巡礼者を聖地へご案内しています。

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