「マドリードからサンティアゴ・デ・コンポステラまで、片道15ユーロ!?」
検索画面に出てくる驚きの安さに、思わず「予約」ボタンを押したくなりませんか?
こんにちは。ガリシア州公認ガイドの堀いつこです。
スペインは日本の約1.3倍の広さがある国。都市間の移動は、賢く選ばないと「安物買いの『時間と体力』失い」になりかねません。
実際に私も、LCCを選んだばかりに、雨の中をタラップまでキャリーを引いて歩いたことや、昔のライアンエアーで厳しい荷物チェックに遭い、スーツケースを開けて無理やり荷物を一つに押し込んだ……なんて経験もしました(今はそこまで厳しくないことも多いですが、当時は冷や汗ものでした)。
今回は、スペインの空を飛び回る主要3社(Ryanair, Vueling, Iberia)について、公式サイトのスペック表には載らない、長年スペインに住み、何度も利用してきた私だからこそ感じる「空気感」や「使い勝手」を交えて比較します。
旅のスタイルは人それぞれです。
安さを取るか、時間を取るか、安心を取るか。
この記事が、あなたにとっての「正解」を見つけるヒントになれば嬉しいです。
1. まずは性格診断!スペイン主要3社の「リアルな評判」
ただ安いか高いかではありません。航空会社には、それぞれの「性格」があります。それぞれチェックしてみましょう。
Ryanair(ライアンエアー):ルールを理解して使いこなす「合理的」な選択
黄色と青のロゴでお馴染み、アイルランドのLCC。 私たち在住者も、もちろんよく利用します。
例えば、マドリードの大使館へ書類を出しに行くだけのような、完全に荷物がない時は、驚くほど安いチケットで移動できます。
逆に、荷物がある旅行の時はどうするか? シンプルです。「必要な分の荷物追加料金を払って」乗ります。
彼らのやり方は明確です。「基本料金は座席のみ。それ以外はオプション」。
最初から荷物があるなら予約時に追加すればいいですし、なければ安く済む。 「安かろう悪かろう」と怖がるのではなく、「自分の目的に合わせて必要なオプションを買う」という彼らのルール(仕組み)を理解して割り切れる人にとっては、非常に合理的で使い勝手の良い航空会社です。
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【2025年9月改定版】ライアンエアーの荷物規定|機内持込み・預け荷物のサイズ・料金と罰金ルール
Vueling(ブエリング):実は「最も時間に正確」な優等生?

バルセロナを拠点とする、スペイン発のLCC代表格。 ライアンエアーほどシビアではなく、かといってイベリアほど気取ってもいない。まさに現代スペイン人の「日常の足」です。
「LCCは遅れるものでしょ?」と思っている方には、こんな情報があります。
現地メディア(Huffington Post等)が報じた2025年のAirHelpのデータによると、「スペインで最も遅延が少なかった(定時運航率が高かった)」のは、IberiaでもRyanarでもなく、このVuelingだったというデータもあります。
記事の中では、今の旅行者の心理をこう分析しています。
「もはやチケットの値段だけではない。フライトが時間通りに出るかどうかが鍵だ」 ビジネスマンや過密なスケジュールの旅行者にとって、遅延は「会議を逃すこと」であり、乗り継ぎに失敗して「バケーションそのものを失うこと」を意味します。
チケットの種類(Optima運賃など)を選べば、スーツケース預け入れや座席指定もセットになります。「数千円の差で、スケジュール通りの安心を買う」。トータルで見れば一番バランスの良い選択肢と言えるでしょう。
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【2025年最新】ブエリング航空(Vueling)完全ガイド|荷物・予約・チェックイン・追加料金まで完全解説
Iberia(イベリア航空):安心と時間を買う大人旅
スペインのフラッグシップ・キャリア。マドリード・バラハス空港の美しい「第4ターミナル(T4)」を拠点にしています。
LCCとの最大の違いは**「余裕」**です。 座席のピッチ、スタッフの対応、そして何より「何かあった時の対応力」。 ハネムーンや、ご両親との旅行、あるいは「サンティアゴ大聖堂のボタフメイロの時間に絶対に遅れたくない!」という時は、迷わずこちらを選んでください。安心はお金で買えます。
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【2025年最新】イベリア航空の手荷物規定|機内持ち込みサイズと重量、エクスプレスとの違いを完全解説
2. 料金表には載らない「3つのストレス・ポイント」
金額や座席サイズは比較サイトで見られますが、「現場の空気感」は載っていません。私が気になるのは、以下の3点です。
① ガリシアの雨と「ボーディングブリッジ」
サンティアゴ・デ・コンポステラ空港(ラバコジャ空港)は、コンパクトで美しい空港です。 しかし、ガリシアは天候が変わりやすい地域。
LCCの場合、コスト削減のためにボーディングブリッジ(搭乗橋)を使わず、沖止めされた飛行機まで歩いてタラップを登ることがよくあります。 想像してみてください。傘もさせない風と雨の中、荷物を持って滑走路を歩く姿を。 もしイベリア航空などのレガシーキャリアなら、濡れずにスマートに機内へ入れます。この「濡れない」というのは、天候によっては何€もの価値になるでしょう。
② 「お土産」を諦める悲しさ
LCC利用者の多くが、「追加料金が怖いから」と荷物を極限まで減らします。 しかし、その代償として「あ、このワイン美味しい!でもスーツケースに入らないから買えない...」という、悲しい「お土産チャンスロス」が発生します。
その点、最初から受託手荷物が含まれているイベリア航空や、ブエリングの上位プランなら、旅の思い出を諦める必要はありません。
③ トラブル時の「対応力」の差
先ほどお伝えした通り、LCC各社も定時運行には力を入れています。しかし、台風や機材トラブルなど「不可抗力」が起きた時に差が出ます。
- レガシー(Iberia等): 提携便への振替、ホテルの手配、有人カウンターでの案内など、手厚いサポートが期待できます。
- LCC: 基本的にアプリやWebでのセルフ手続き。「返金はするから、あとは自分で探してね」というスタンスになることも。
私自身、過去にEasyJet(別のLCC)でフライトキャンセルを経験しました。返金処理はされましたが、やはりその後の手配を自分で行う労力は大変なものでした。 もちろん、EU圏内のフライトには**「EU261法」**という強い利用者保護ルールがあり、条件を満たせば補償金が出ることもありますが、手続きは英語やスペイン語。 「いざという時に自力で交渉する自信がない」という方は、サポートの厚い会社を選ぶのが無難です。
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3. 【ご注意】マドリード〜サンティアゴ線にはRyanairが飛びません
ここだけは注意が必要です。かつてはライアンエアーも飛んでいたこの人気ルートですが、現在は撤退しています(※2025年時点)。
そのため、この区間を飛行機で移動するなら、基本的には Iberia(イベリア航空) 一択となります。 「えっ、LCCで安く行けないの?」とがっかりされた方、ご安心ください。実は今、この区間は**高速列車(AVE/Alvia)**が非常に便利になっています。
- 飛行機(Iberia): 日本からの乗り継ぎや、マドリード空港から直接移動したい時に便利。
- 高速列車: 市内(チャマルティン駅)から市内へ3時間強。Wi-Fi完備で快適。
「LCCがないなら高い」と諦めず、旅程に合わせて「イベリア」か「列車」を使い分けてみてください。
4. まとめ:移動も「旅の一部」。あなたに合う翼はどれ?
長くなりましたが、結論です。
- 「とにかく安く!荷物はリュック1つ!(または追加料金を払って乗る)」 → Ryanair(※マドリード-サンティアゴ線以外)
- 「コスパと安心のバランスを取りたい」 → Vueling
- 「ストレスフリーで優雅に移動したい」 → Iberia または 高速列車
移動というのは、単なる「点と点の移動」ではありません。それもまた「旅の一部」です。 数千円を節約する代わりに少し我慢をするのか、少しお金を払って快適な時間を買うのか。
ぜひ、あなたの旅のスタイルに合わせて選んでみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
\航空券の予約前に、詳細ルールをチェック!/
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