文化や宗教が違っても、各季節の行事に食べる料理があるのはどの国でも同じです。
地方ごとに食べるものが違ったり、同じ地方の中でも違いがあったりして一般化するのは難しいですが‥
本文では、ガリシア地方のカーニバルの時期に欠かせない料理をご紹介します。
- ガリシア州全体で定番の料理やその説明
- この時期に欠かせないデザートと食べ方
- 元々伝統的に良く作られたが、最近は少し忘れられたもの
に絞って触れていきます。
各季節や行事に食べる料理を食することは、土地ごとに根差した文化を直接体感すること。
また、五感をフルに使って地元の習慣をさらに深く楽しむことじゃないかと私は考えますが、あなたはどう思いますか?
本文を読んで、冬のガリシアもいいなと思っていただければ嬉しいです。
コシード(Cocido)
骨付きのあばら肉、ひよこ豆、塩漬けして燻製した豚の頭(Cacheira)、チョリソー、野菜、ジャガイモを長時間かけてじっこり煮込んだ料理です。
時間はかかりますが、材料をどんどん順番に残んでいくだけのシンプルな料理なので、コシードは各家庭でよく作られる料理です。
少人数よりも大きなお鍋で大人数分を作った方が美味しくでき、余ったお肉を使ってクリームコロッケを作ったりします。
冬の間に家庭でよく作られますが、この時期に家族や友達、職場の仲間と集まってレストランに行ってコシードを食べる人も多いです。
コシードに使う野菜は、場所によってキャベツなどを使うところもありますが、カーニバルは、グレロスの時期。
グレロスとは、カブの新芽で花が咲く前の柔らかい葉と茎を積んだもの。
食べた時に、少し苦味を感じますがそれが美味しいのです。
コシードとラコンと呼ばれる豚の塩漬け肉とグレロス。
ガリシアの人に、カーニバルの時期の代表的な料理は?と聞いたらほとんどの人が必ずこの名前をあげるでしょう。
レストランでもコシードをサービスしているので、旅行でこの時期にガリシアへ訪れる方は是非試してみて下さい。
オレハ・デ・カルナバル(Orejas de carnaval)
この時期にオレハスを食べないとカーニバルじゃないという人もいるくらい、この時期に食べるお菓子です。
市内のパン屋さんのショーウィンドーでオレハを置いているのですぐに見つけることができると思います。
ちなみに、オレハスとはスペイン語で耳。
そういわれると、豚の耳っぽいなと思うかもしれません。
小麦粉、たまご、バター(または豚のラード)、牛乳、オレンジやレモンの皮をすったもの、アニスを混ぜた生地を揚げて最後に砂糖をかけます。
どの家庭でもある材料なので、この時期に家庭で作る人も多いです。
といっても、私はオレハを作ったことがないのであまり偉そうなことは言えません…(;^_^A
オレハスの起源
カーニバルという言葉は、元々ラテン語の『carnem levare』で、お肉を断つという意味があります。
実際、カーニバルの後はお肉を控える四旬節に入ります。
昔の人はここぞとばかりにカーニバルでお肉を食べたんでしょうね。
オレハスも豚の耳っぽくて豚を食べてる気分だけど、材料は四旬節の間も食べれるもの。
いずれにしても、昔は大変だったろうな…と想像します。
四旬節やセマナ・サンタやイースターのお菓子について下の記事で紹介していますので、宜しければ合わせてお読みください。
フィジョアス(Filloas)
『あっ、クレープね』という声が聞こえそうですが、クレープではありません。
ガリシアに来たら、フィジョアスと呼んでください(笑)
オレハスと同様、カーニバルの時期に家で作る人が多いお菓子。これは、私も家で子供と一緒に作ります。
この時期、デザートとしてフィジョアスを食べる事が多いのですが…
最初に紹介したコシードのお肉をフィジョアスでくるんで食べる人もいます。
豚の畜殺の時期にもあたるので、昔ほどではないと思いますが、豚の血を使ってフィジョアスを作るところもあります。
60代のガリシア人女性と話をしたら、彼女の家でも昔は豚を殺した時に出る血を使ってフィジョアスを作ったと教えてくれました。
フィジョアスは、最初の数枚は失敗することが多いですが、後はひたすら作って皿の上に山積みしていきます。
1度にフィジョアスが3枚ぐらい作れるフィジョエイラと呼ばれる鉄製の特製フライパンもあります。
ある村で、このフィジョエイラを使って、暖炉の近くにおばあさんが座ってフィジョアスを作ってくれたことがあります。
おばあさんにフィジョアスの作り方を聞きながら、フィジョアスを焼く様子を見る経験はとてもいい思い出として残っています。
その他のお菓子
先ほど紹介したオレハの他に、フローレス(Flores)という花の型を使って揚げるお菓子もあります。
さらに、レモンの葉という意味をもつオハス・デ・リモン(Hojas de Limón)と呼ばれるお菓子もあります。
オレハスやフローレスと生地の材料は一緒でも、レモンの葉に生地をつけて揚げるのが特徴です。
揚げた後に、自然と葉っぱは取れるので外して砂糖をかけて食べます。
葉っぱは食べずに形をつけるためのものですが、レモンの葉は洗ってきちんと乾かしたものを使います。
ガリシア人の女性と話をしていて、私も最近知りました。
カーニバルの時期の伝統的なお菓子と言われていますが、オレハスやフローレスと比べると作る方は昔よりも減っているようです。
ガリシア州の中でもカーニバルが盛んな地方というのが、オウレンセ県になります。
その中でも特に有名なエリアで作られるビカというカステラのようなパウンドケーキがあります。
カーニバルが盛んな村は、車がないとなかなかアクセスがしずらい場所にありますが、ビカはサンティアゴなどの町にあるお土産を売っているお店などでも見ることができますので、興味がある人は是非こちらも食べてみて下さい。
ガリシア州の中でも独特のカーニバルが開催される村についての情報は、下の記事を合わせてお読みください。
まとめ
- ガリシアでカーニバルの時期に食べられる料理は、肉や野菜を煮込んだコシード。
- グレロスは、花が咲く前に積むカブの新芽。
- コシードの他に、ラコン・コン・グレロスも有名。
- カーニバルのデザートは、オレハ、フローレス、フィジョアスなど。
- カーニバルの盛んな地域のビカというカステラのようなものもおすすめ。
最後までお読み下さりありがとうございます。