この記事では、スペインのレオノール・ソフィア王女が体験した儀式「プリメラ・コムニオン」について紹介します。
日本人には馴染みのない儀式ですが、カトリック文化圏の多くの家庭にとって重要な儀式です。
実を言うと、日本の七五三と似た儀式と適当に理解していましたが、調べてわかったことをまとめてみました。
『スペインにはそんな儀式があるんだ~。』という感じで読んで頂ければと思います。
それでは、始めましょう。
プリメラ・コムニオン(初聖体拝領)とは?
プリメラ・コムニオンは、日本語で初聖体拝領と言います。
カトリックの教えを自分で理解できる年齢に達した子供が、自分の意思でキリスト教徒になる儀式です。
プリメラ・コムニオンを受ける年齢は?
日本の七五三は、3・5・7歳と儀式の対象年齢が決まっているのに対し、プリメラ・コムニオンはカトリックの教えを自分で理解できる年齢とあります。
3歳や5歳で『キリスト教の神とは誰なのか?』というテーマはやはり難しいですよね。
大体7~9歳といった感じで親が自分の子供の状態を見て決めるようですが、実際は…
クラスメートの○○君や△△ちゃんと一緒に私もプリメラ・コムニオンを受けたい!
と、友達がパーティーを開くから自分もという現実もあります。
プリメラ・コムニオンを受ける条件とは?
カトリックの教えを理解し、プリメラ・コムニオンを通過する年齢に達しても
- 洗礼を受けていること。
- カテキズムを受けていること。
という2つの条件を満たさなくてはいけません。
洗礼ってどんな儀式?
洗礼はキリスト教徒になるための入信的儀式で、簡単ですが次のような流れになります。
step.1
自分が住む場所が属するパロキア(教会行政上の地域単位)の司祭を事前に儀式の日を決める。
step.2
当日、儀式の参加者と教会へ向かう。
step.3
教会の司祭が、赤ちゃんの頭に水をそそぎます。
私は洗礼に参加した経験はありませんが、義理の姉夫婦が長男を洗礼した時のちょっと笑ってしまうエピソードがあります。
洗礼の日、赤ちゃんを抱いた義理の姉、義理の兄とその後ろに参加者である親族が教会の扉の前に到着すると、教会の前に立っていた司祭がこう言いました。
洗礼開始前のお約束の質問だったのですが、それを知らなかった義理の兄はビックリ。
どう答えていいかわからないまま、周りをキョロキョロしたそうです。
他のメンバーも勝手がわからずに無言でいると、しびれを切らした司祭が、
と、怒鳴ったそうです。
25年前の話なので、現在もこの流れ通りかわかりません。
カテキズムとは?
第2の条件であるカテキズムとは、カトリックの教えを理解するための授業です。
小学校で行う宗教の授業とは違い、パロキアでカテキズムの授業を行います。
地方によって異なるようですが、最短で2年、最長で4年かかります。
スペインでプリメラ・コムニオンの推薦年齢が9歳とすると、カテキズムを開始するタイミングは、6~7歳になります。
プリメラ・コムニオンの時期
復活祭(イースター)から聖霊降臨日(ペンテコステ)までの50日の期間に行います。
イースターは移動祝日のため、プリメラ・コムニオンの時期は4月~6月になります。
スペインで伝統的に多くのプリメラ・コムニオンが行われるのは5月です。
プリメラ・コムニオンの祝い方
昔、夫の甥っ子のプリメラ・コムニオンに招待されました。
細かい流れは覚えていませんが、正装した子供たちが儀式で司祭の話を聞いて、ホスチアを頂いていました。
ホスチアは、聖別用に用いられる円形の薄いパンのことで、「聖体」となるパンのことを言います。その語源は、ラテン語の“hostia”「いけにえの供え物」です。水と小麦粉だけで作られ、イースト菌が入っていない「種なしパン」で、聖別されてキリストの御体、つまりいけにえとなります。
司祭が感謝の祭儀(ミサ)で用いるホスチアは、割って分かち合うため大きなものを使用します。信徒が聖体拝領においていただくホスチアは、小さいものです。
引用元: Laudateキリスト教豆知識
教会での儀式が終わると、親族や友達を招いての食事会に移ります。
デザートで、招待客にふるまう何段にも重なったケーキに甥っ子がナイフ入刀したりして、結婚式かい?と思わず突っ込みたくなりました。
いずれにしても、この食事会も親族や親友などを招くと20~40名、もっと大きい規模の食事会になります。
それだけの人数を収容できる場所、料理やカメラマンの予約など家族にとっても大がかりなイベントだということが分かります。
ABCというん新聞の記事によると、プリメラ・コムニオンに平均で1,500€以上はお金をかけるそうです。
七五三なら着物ですが、プリメラ・コムニオンの儀式でも子供たちは正装しますので、次は衣装について説明します。
プリメラ・コムニオンの衣装
- 男の子は、海軍のマリンスタイルの服やジャケットにネクタイ
- 女の子は、花嫁さんを想像する白いドレスです。
衣装に宗教的な意味はなく、50~60年代に流行ったスタイルが現代でも選ばれているようです。
プリメラ・コムニオンの時期、公園で白いドレスを着た子供に付き添う親とカメラマンを見ますが、白いドレスを着てお姫様気分になった女の子はみんなとても嬉しそうです。
レオノール&ソフィア王女のコムニオンの衣装
一般家庭の子供が花嫁さんみたいなドレスを着るなら、スペインの王女はどんな衣装を着るんだろうと思いますが…
出典: https://www.hola.com
出典: https://cdn.vogue.es
レオノールとソフィア王女の通う学校(Colegio Santa María de los Rosales)では、プリメラ・コムニオンに学校の制服着用という決まりがあるので、白いドレスを着ることはありませんでした。
まとめ
- プリメラ・コムニオンとは、日本語で初聖体拝領という。
- カトリックの教えを理解した子供たちがキリスト教徒になる儀式。
- 洗礼と2~4年のカテキズムの授業を受けたものが、プリメラ・コムニオンの儀式に参加することができる。
- プリメラ・コムニオンを受ける年齢は9歳前後で、時期は4月~6月に行う。(特に5月)
- 白い衣装や海軍のマリンスタイルの服を着た子供たちが、教会でホスチア(聖体)を頂く。
- 儀式の後には、招待客を招いて食事会を行う。
- レオノール王女は2015年に、ソフィア王女は2017年5月17日にプリメラ・コムニオンに参加。
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