この記事は、2021年以前にサンティアゴ大学へ留学された社会人女性へのインタビューをもとに、内容を再編集した体験談です。
記載されている留学費用(当時の目安で100万円など)やビザ・保険の要件は当時の情報となります。現在は物価高騰などの影響で状況が異なりますので、最新の制度や費用については必ずご自身で公式情報をご確認ください。
ひとりの大人がキャリアを休止して挑んだ「リアルな挑戦の記録」として、あなたの背中を押すヒントになれば幸いです。
「15年以上勤めた会社を辞めて、40代で海外留学をする」
社会人の学び直しが珍しくなくなったとはいえ、いざ自分が決断するとなると、キャリアの空白や帰国後の再就職など、不安は尽きないものです。
この記事では、44歳で長年勤めた会社を退職し、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステラへ4ヶ月間の語学留学をした女性のリアルな体験談をご紹介します。
サンティアゴ大学で留学生のサポートをしていた私が彼女に聞いた、留学の決断から現地のリアルな費用、そして一番気になる「帰国後の再就職」まで。
40代での留学を迷っているあなたの背中を押す、ヒントが詰まっています。
決断編:40代、15年勤めた会社を辞めるまで
留学を考えたきっかけと当時の状況
ひとつの会社で15年以上働き、色々な仕事をさせてもらいましたが、段々と仕事がマンネリ化し、状況に行き詰まりを感じていました。
会社への愛着からなかなか踏ん切りがつかなかったのですが、ある時「このままでいいのか」と自問自答し始めました。
「現状維持が安全とは限らない。今持っているものを手放さないと、新しいものが入ってこないのでは?」
自分なりに「この会社でひとつのサイクルを終えた」と明確に認識できた時、スペインへ行く決心ができました。
一番の不安は「年齢と再就職」
多少の貯蓄はあったので費用面での不安は少し解消されていましたが、やはり一番大きかったのは「年齢的に再就職できるのか」という不安でした。
留学期間を「あえて4ヶ月」にした理由
「会社を辞めてまで行くなら、1年ぐらい行かないと意味がない」と思う人もいるでしょう。
家庭の事情もありましたが、逆に「1年間も日本を留守にしたら、社会に復帰できないかもしれない」と私は思いました。
日本のビジネスシーンで使い物になるか、面接時にそれなり以上の理由が必要になる気がしたのです。
そのため、期間は4ヶ月に設定しました。
行き先をサンティアゴにした理由

実は30代の時に会社を休職し、ロンドンに半年間滞在した経験があります。
しかし、大都市ゆえに治安が悪くて外出時にいつも緊張したり、市内の移動だけで時間がかかってしまいました。
その経験から、今回は以下の条件で探しました。
- 大都市ではなく、静かに落ち着いて勉強できる場所
- 学校、家、町の中心地などがコンパクトにまとまった場所
スペイン留学経験がある友人に相談したところ、私の条件にピッタリだったのが「サンティアゴ・デ・コンポステラ」でした。
準備と費用編:4ヶ月のスペイン留学にかかったお金
留学準備と気になるお金の管理
留学を決めてからの準備期間は3ヶ月弱。語学コースの登録は専用サイトから自分で手続きできたので、現地の担当者にメールで質問しながら進めました。
初めてのサンティアゴだったので、現地の物価や「現金とカードどちらが良いか」「対応するATMは近くにあるか」などが気になりました。
実際に行ってみると、ATMは街の至るところにあって困ることはありませんでした。
現金の他に、VISAカードとデビットカードの2枚を持参しました。
スペインで長期滞在や留学をする場合、スペインで営業する保険会社の医療保険に加入する必要があります。ただし、留学生向けの医療保険には「34歳まで」という年齢制限が設けられていることが多く、35歳以上になると手続きが少し変わります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
語学の事前学習は絶対に必要!
バケーションで行ったロンドンでは、「言葉ができなくては何もできない」と痛感し、慌てて現地の語学学校へ通った苦い経験があります。
「前回と同じ失敗は繰り返さない!留学前の語学勉強は絶対大事!」という強い思いがあったため、留学を決める前から東京のセルバンテス協会で週末レッスンを受け、決断後はさらに一層スペイン語の勉強を頑張りました。
リアルな4ヶ月の留学費用内訳
100万円近く使いましたが、4ヶ月という限られた時間だったので、節約モードにはせず、食べたり飲んだり旅行も積極的に楽しみました。(※当時の目安です)
- 学費: 2,350€
- 宿泊費(ピソ・118日分): 1,770€(1日約15€)
- 留学保険: 約12万円
- 交通費(航空券+レンフェ): 約15〜20万円
- その他: 現地での出費(食費・旅行など)
行きの便でスペイン人男性の客室乗務員さんに「スペインに留学する」と伝えたところ、『日本のお菓子が恋しくなったら食べてね。留学がんばって!』と、エコノミーではお目にかかれないような高級チョコレートをこっそり紙コップに入れて渡してくれました。とても優しくしていただき、嬉しかったです。
コロナ前の数字です。物価も上がっているので、これは当時の料金と割り切ってみて下さいね。
現地生活編:年齢も国籍も超えた学び

トラブルも経験!印象に残ったクラスメート
「現地での経験は全て自分への投資になる」と、何事も意欲的に取り組みました。
昼は学校、夜はバルへ行ったりと1日があっという間。先生やホストマザーにも恵まれました。
クラスメートは国籍、文化、年齢、目的も様々。中でも印象的だったのが、中東から来ていた20代前半の学生たちです。
時間にルーズで欠席も多く、全く授業にならない日がありました。
仕事を辞めて本気で留学している私には我慢できない事態だったので、先生に訴え、放課後に全員でミーティングをしました。
彼らにも言い分があり、とことん話し合うことでお互いを理解でき、その後状況は改善。今では私にとって大事な友達です。
4ヶ月の留学で得た「一生の宝物」
言葉だけでなく、コミュニケーションや人との繋がりの大切さを深く学びました。
できる事ならもっとスペインに残りたかったですが、日本以外に「もうひとつ帰る場所」ができたのが嬉しかったです。心の拠り所でもあり、あの4ヶ月間は一生の宝物になりました!
帰国後のキャリア編:スペイン語を使った仕事には就いた?
帰国後の再就職までの流れ
今どきの転職経験がなかったので、帰国後はまず派遣エージェントに登録して仕事に就きました。
もちろんスペイン語を使った仕事も探しましたが、「スペイン語にこだわりすぎて無職の空白期間が長引く方がリスキーだ」と感じ、まずは日本での生活基盤を戻すことを優先しました。
その後、タイミングを見て知人から誘いを受けた企業に、正社員として転職しました。
「スペイン語を使う仕事」へのこだわりを捨てた理由
面接時にスペイン留学の経験は伝えましたが、現在の仕事で使っているのは英語です。
「留学したのに、何故スペイン語関係の仕事をしないの?」と言われるかもしれません。
しかし、実際に日本でスペイン語を使う求人は多くなく、条件が合うとも限りません。
その辺りの「割り切り」も、社会人留学における大事なポイントではないでしょうか。
帰国後の仕事探しが心配な人は、スペインへ渡る前からエージェント等にコンタクトしておくのも一つの手だと思います。
まとめ:40代で語学留学を迷っている社会人の方へ
インタビューを終えて:彼女からのメッセージ
40代での留学は、帰国後の再就職に誰しも不安を持つでしょう。しかし、色々な形の留学があっていいはずです。
完璧な留学はありませんが、あなたが留学したいと心から望んで決心できたなら、その決断は正しいのです。
泣いたり笑ったり、予期せぬ事が起こりますが、それらをまとめて「良い経験だったね」と笑って言える力が、社会人にはあると思います。
お金のことは言いたくありませんが、やはり心の安定に繋がる蓄えは用意した方がいいです。
もし迷っていて決心がつかないなら、1~2週間の「お試しプチ留学」をしてみるのもありではないでしょうか。
ガイド・いつこからのコメント
大学で留学生をサポートする中で彼女と出会いましたが、自ら道を切り拓き、年齢や国籍の壁を越えて全力で学ぶ姿は本当に輝いていました。
彼女が最後に提案してくれた「1〜2週間のお試し留学」。
これこそ、多忙な社会人が現実的に一歩を踏み出すための最適な選択肢です。
現地の空気を肌で感じることで、長期留学のビジョンもより明確になります。
スペインの語学学校では1週間から、サンティアゴ大学のコースでも2週間から受講可能です。
「でも、いきなり語学学校の机に向かうのは少しハードルが高いかも…」
「まずはテストや文法を気にせず、楽しく生きた語学を試してみたい」
もしそう感じたなら、教室を飛び出して「スペイン巡礼(カミーノ)」を歩いてみるという選択肢も強くおすすめします。
実は、巡礼路は年齢も肩書きも手放した世界中の大人が集まる、最高の「語学実践の場」なのです。
同世代の仲間と歩きながら、スペイン語と英語を同時に磨くリアルな体験については、ぜひこちらの記事もご覧ください。
*あわせて読みたい(もう一つの選択肢)
最後まで読んで頂きありがとうございました。