スペイン観光と巡礼をもっと深く—オトラスペイン| 現地ガイドが届ける、ガリシアからのリアルな視点

モバイル用ヘッダー画像
PC用ヘッダー画像

子育て・教育

なぜ日本の3倍?スペインの給食費が高い理由と進化する最新の食育

スペインの学校で給食を食べる子供たち。日本の3倍と言われる高額な給食費の理由と進化する食育を解説するブログ記事のアイキャッチ画像
プロフィール画像

いつこ

多くの巡礼者が目指すゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラ在住。スペインガリシア州公認ガイド。観光学修士(Master)としての知識と現地在住者ならではの視点を活かし、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」を発信中。 年間100名以上の日本人巡礼者を聖地へご案内しています。

「私の学校の給食、70kmも離れたコルーニャから運ばれてくるから、冷たくておいしくないの」

近所の女の子からこの話を聞いた時、私は大きな衝撃を受けました。

日本で育った私の記憶にある給食は、市内の給食センターや校内の給食室で作られ、先生も生徒もみんなで温かいものを囲むのが当たり前だと思い込んでいたからです。

しかし、スペインの現実は私の「思い込み」を根底から覆しました。この気づきこそが、後に私が長男の学校を選ぶ際にチェックする重要ポイントになったのです。

スペインの小学校
スペインで小学校の入学手続きは難しい?学校選びの4つの間違いとは?

続きを見る

 

驚愕の給食費:自治州でこれほど違う!

スペインの公立学校の給食費は、日本と比較すると驚くほど高額です。

  • 私の子供の学校の場合: 月額 約120€(約2万円前後)
  • 日本の平均: 月額 約4,000円〜5,000円(文部科学省「学校給食費調査」参照)

初めて請求書を見た時は、日本の価格に慣れていたこともあり本当に驚きました。

この価格差の背景には、全員義務ではない「オプション制」であることに加え、日本のような生徒による配膳(給食当番)がなく、専門のスタッフが配膳や見守りを行うため、その人件費が運営コストに反映されていることも考えられます。

また、1日あたりの価格も自治州によって大きな開きがあります。

自治州1日あたりの価格(最高額)
ナバラ州7.50€(約1,200円)
カタルーニャ州7.25€(約1,160円)
ラ・リオハ州7.17€(約1,150円)
アンダルシア州5.54€(約880円)
マドリード州5.50€(約880円)
【参照ソース】スペイン全国の価格傾向:Bankinter Blog "¿Cuánto cuesta un menú escolar en España?"

2019-2020年は、最も高いバレアレス諸島の給食費で6.5€だったんです。過去のデータを比べてビックリ!

  

「自校調理」か「外部委託」か。データの裏付け

スペインの公立学校の多くは外部委託(ケータリング)ですが、自治州によってその実態は驚くほど異なります。 

自治州自校調理(in situ)外部委託(Catering)
アンダルシア州107校1,150校
ガリシア州333校103校
【引用元】報告書:『Los comedores escolares en España(スペインの学校給食)』
(SEO/BirdLife、Carro de Combate、Del Campo al Coleによる共同調査。CEAPA協力)

このデータが示す通り、私たちが住むガリシア州は、他州に比べて「校内調理(自校式)」を維持している学校が非常に多いのが特徴です。

学校内に調理場があることで、作り手の顔が見える温かい給食が提供されており、子供たちの食に対する安心感に繋がっています。

小さいころから食についてきちんと向き合うのは大事。ガリシアでは自校式が多いのは嬉しいです。

 

お母さんの視点:進化する「学校独自の食育」

学校の給食メニューの一例(ハロウィン特別メニューになってます。)

私の子供の学校では、特にここ数年で食に対する意識がさらに高まっています。

  • ヘルシーへの転換: 5年ほど前から、揚げ物やお肉に偏ったメニューを減らし、豆類を増やすなどバランスに配慮した献立になっています。
  • 調理器具の刷新: 学校から「よりヘルシーに調理できる器具に買い替えました」という連絡が来たこともありました。
  • 国際的なメニュー: 毎月一回、インド料理やタイ料理など「世界の料理」を体験する日があり、給食を通じて多文化に触れる面白い取り組みをしています。

こうした「学校独自のイニシアティブ」を知ることも、親として学校を信頼する大きな要素になっています。

【2026年最新】法律が定める「食の多様性」

2026年4月より、スペイン全土の給食は**Real Decreto 315/2025(2025年4月制定の王令)**に基づき、新たな段階に入ります。

  • ヴィーガン・ベジタリアン対応: 倫理的・宗教的な理由で肉や魚を食べない生徒へのメニュー提供が義務化されました。
  • 厳しい健康基準: 揚げ物や過剰な塩分・糖分を制限し、新鮮な魚や地産地消の食材を優先することが求められています。
  • 価格への影響: この新法による価格の引き上げは禁止されています。

【参照ソース】スペイン官報(BOE):Real Decreto 315/2025, por el que se fomentan dietas saludables y sostenibles en centros educativos.

 もちろん、現場への反映速度は学校やガリシア州政府の予算にもよりますが、法律として「食の権利」が認められた意義は大きいです。

まとめ

日本の「当たり前」を一度忘れてスペインの給食を見てみると、そこには高額な費用という現実もありますが、学校によっては食育への情熱を感じるところがあります。

学校選びにおいて、給食の調理方式やメニューの取り組みをチェックすることは、その学校が子供たちの「日常」をどう捉えているかを知る鍵になるかもしれません。

スペイン子育て関連記事

スペインの小学校
スペインで小学校の入学手続きは難しい?学校選びの4つの間違いとは?

続きを見る

悩む母親
海外で子供の日本語教育に迷走する私に起こった変化や学び

続きを見る

最後まで読んで頂きありがとうございました。

観光・巡礼をより深く体験したい方へ。現地ガイドによるプライベートツアー受付中!

ハイシーズンにつき、お早めにご相談ください
堀いつこ

ガリシア州公認ガイド:堀 いつこ

Santiago de Compostela 在住

観光学修士(Master)としての専門知識と、現地在住者ならではの視点を掛け合わせ、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」をお届けしています。年間100名以上の日本人巡礼者をご案内する経験から、現地の最新事情に基づいた旅のプランニングをサポートします。

-子育て・教育
-, , , , ,