本文は、私が海外で子供の日本語教育に迷走する中、上手く表現できなかった気持ちを言語化し、意識や行動を変えたら、子供にも変化が起こってきたというお話です。
私より上手にお子さんの日本語教育を進めている人が多いと思いますが……
こんな方におすすめ
- 地方に住んでいて補習校や子供向け日本語教室がない。
- 普段の生活環境で、子供に日本語を話すのは自分だけ。
- 子供に日本語を教える時に、覚えてくれないので怒ってしまう。
- コロナで日本へ行けないし、子供の日本語教育について困っている。
- 子供の日本語教育に関してあまり相談する人がいない。
- ネットで情報を収集しているが、上手くいかない。
と、上記の項目にいくつか当てはまるという方はいますか?
あなたがちょっと前の私と同じような状況で悩んでいるのであれば、本文の内容がお役に立つと思います。
本文のポイントは、下の4点。
- 私の環境と日本語教育の現状
- 継承語という言葉との出会い
- 継承日本語を教える先生に励まされた貴重なアドバイス
- オンライン継承日本語クラスの紹介
興味がある方は、少しの間おつきあいくださいね。
スペインで子供の日本語教育に迷走していた私
私は、スペイン北西部にあるガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステーラという町に住む8歳の男の子と6歳の女の子の母親です。
2人の子供が日常生活で触れる言語は、日本語・スペイン語・ガリシア語・英語の4か国語。
日本語を聞いたり話す相手が母親だけという環境なので
- 日本語の絵本を読む。
- アニメや映画を日本語で見せる。
- 日本語練習アプリを使ってひらがなを練習する。
と、思いつくことはやっていました。
夫は日本語は理解できないけど、子供の日本語教育に理解があります。
彼に色々相談できる点は心強いのですが、家庭や仕事、現地での習い事等に追われて
子供と100%日本語で話していなかったり、子供とバトルする自分が嫌になっていました。
と、誰かに言われたら反論できませんが…う~ん、なかなか大変です。
短期でも子供の日本語が上達するので、1年に1回の一時帰国中に現地の幼稚園や小学校へ通わせこともありますが…
コロナウイルスで日本への帰国も当分難しい状況となりました。
継承語という言葉から学んだ事
と考えていた頃、日本語教師のゆうさんからこんなメッセージが届きました。
コロナで留学生が来日しないので、継承語教育のグループに入りました。お子さんの日本語でお役にたてることがあったら調べますので連絡下さい。
と、ネットで色々調べると、今まで自分の中にあったモヤモヤを言葉でまとめてくれた図を発見しました。
国語教育(日本の場合) | 日本語教育 | 継承日本語教育 | |
生活言語 | 日本語 | 他言語 | 日本語/英語
家族の母語や共通語 |
学習するきっかけ | 居住によって決まり、選択ではない | 学習者による選択が多い | 親による選択が多い |
学習目的 | 生活し、教科全般を学習するための言語力を養う | 学習者による (趣味、試験科目、職業、旅行など) |
学習者の家庭や言語環境によって異なる (家族・親戚とのコミュニケーションをとる、日系人としてのアイデンティティー形成、現地語習得の土台作りなど) |
日本で生まれ育った母親の私と違い、日本にルーツがあっても海外で暮らす子供たちには日本語を学ぶことがどれだけ大変か。
親の選択で勉強させられ、挙句の果てに国語教育を受けた親の感覚で『なんでできないの!』と怒られるのです。
海外に住む子供の日本語教育がいかに大変かを改めて認識し、自分ひとりでは無理だとオンライン継承語クラスに息子を入れました。
オンライン継承語クラスを体験して気づいたこと
授業時間で参加しやすいのもあり、Learn Japanというイギリス在住の典子さんが運営するオンライン継承語クラスを選びましたが、
息子のクラスの先生はカナダ在住で、イギリスやドイツなど色んな国から子供たちが参加していました。
参加する子供たちの日本語が本当に上手でびっくり。
後から補習校へ通っていた子たちが多いと知ったのですが…
ある授業で、彼らと息子の日本語力の差を感じて、それは親の私のせいだと落ち込んでしまいました。
すると、授業の後に息子にこういわれたのです。
時々、分からないという顔をして私を見てくるのに、ポジティブに取り組む息子。
落ち込んだ自分が恥ずかしくなると同時に、海外で頑張って日本語を勉強する子供たちがいる環境に息子を入れることができて本当に良かったと思いました。
授業を始めて半年ぐらいが過ぎましたが、授業前のレジュメと宿題が毎回出されるので、親もちゃんとコミットしなくてはいけません。
正月や節分など日本の行事を体験する内容、家の学習で取り入れられるヒントがあったりと、息子以上に親の私が勉強になっています。(笑)
6歳の娘に起こった嬉しい変化
うんこドリルやひらがなアプリを使って日本語を自主的に覚えていく息子とは対照的に、同じ教材を与えてもすぐに飽きたり、投げ出す2歳年下の娘。
何度トライしても、なかなかひらがなを覚えようとしませんでした。
本文を最初に書いた2021年初め、ひらがなの練習を再開する時にこういいました。
コロナで日本へ当分行けないし、彼女のペースに付き合おうと開き直った部分もありました。
すると…前よりも関心をもって書いているなと感じました。
日本のお友達に以前もらったペラペラめくる日本語カードを、ばらばらにしてカルタにしたら、これが大ヒット!
手加減しない長男に何度負けても、ものすごい集中力でもう1回、もう1回と遊びたがります。
カルタもすぐ飽きるだろうから、他の遊びを考えるかと様子を見ていると…
step.1
シャワー室の壁に貼っているひらがな表の文字を読んだりなぞるようになった。
step.2
お手本を見ながら自分でひらがなを練習するようになった。
step.3
自分から日本語の本をとってひらがなを読み始めた。
と、嘘みたいな嬉しい変化が起こり、のんたんやおしりたんていなどの絵本を自分で1冊読むようになりました。
子供が学ぶ準備ができた時がチャンス
カナダで2人のお子さんに日本語を教える理恵先生に娘のケースを相談した時の事です。
海外に住んでいるとはいえ、6歳になってもひらがなが出来ていないのは、やはり遅いでしょうかという問いに…
学ぶのに『遅い・早い』はありません。お子さんが「学びたい!」「学ぶ準備ができた!」というタイミングでスタートして大丈夫。
興味を持ち始めた時がチャンスなので、親がそこに気づいたらラッキー!ですよ。
ラッキーと言われて嬉しくなりましたが、子供が本当に学びたいと思った時の集中力や伸びは半端ではないと娘を見て感じました。
また、子供が興味を持って吸収したいと思った時にそういう環境があるように親も一歩先を見て動いておく必要があると感じています。
継承日本語教育のゴール?
- 家庭内の環境
- 親のバックグラウンド
- 子供ひとりひとりの性格
- やる気・関心がでるタイミング
がみんな違うので、継承日本語教育に正解はありませんが…
あなたが海外でお子さんに日本語を教える目的って何ですか?
理恵先生いわく、
日本で子供が困らないようにって言うお母さん多いですが、それでは目的が曖昧なのです。
看板を見て読んで意味が分かるとか具体的にゴールを決めることが大事です。
と反省。
自分で具体的なシチュエーションを想像し、日本語で対応できてほしい事リストを書きました。
すると、それなら最低これは教えていかないとだめだと見えてきました。
日本語教育を継続していく上での覚悟
いきなりですが、私の知り合いのカップル(スペイン人の男性とオランダ人女性)の話をします。
彼らの2人の子供は、現在大学生と高校生ですが、まだ彼らが小さかった頃の事。
母親は、家庭内で子供にオランダ語で話をすると…
と、スペイン人の旦那さんにことごとく会話を中断されたそうです。
1日仕事で疲れて帰ってきて、家でも子供と旦那さんの間で言葉を変えるのがストレスになり、
オランダ語の家庭教師もつけたのですが…
子供たちのオランダ語への拒否反応が強くて、結局諦めてしまったのです。
私も日本語で話かけても子供から返ってくるのはスペイン語。
日本語で話してみようか?とかモチベーションを上げようと日頃やっても、子供も楽な方がいいのです。
諦めたくなる瞬間ってあるので、先ほどのケースは分からない訳ではないのです。
しかし、親が諦めたら、もうそこで終わりなんですよね。
諦めずに続けても、子供が成長していけば…
- 子供が日本語の勉強をやりたがらない。
- 勉強する漢字も多すぎて、子供も親も大変になる。
という状況が起こってきます。
継続してもどんな結果が待っているか分からないという厳しい状況を受け入れる覚悟が大事なのです。
そこで、理恵先生の正解がない日本語教育に明確なゴールが必要という言葉が自分の中でストンと入りました。
また、日本語を教えながら子供に怒ってしまう自分が嫌になると相談すると…
私も子供とバトルになってしまいます。ママが先生になると続かないので、私は息子と娘も他に先生をつけてます。
今まで通り、家庭での日本語教育も続けますが、別の先生からの学びの方が、子どもたちや親の私にとっても健全だと思っています。
オンラインクラスという『サポート』を選んだ自分は間違ってなかったと思いました。
継承日本語オンラインクラスを半年受けての感想
2021年、私の子供たちの日本語教育にオンラインクラスを導入して半年が経過したので感想を残しておきます。
息子は、相変わらずクラスの中で一番日本語の理解力や会話力が弱いですが、我が子ながら尊敬してしまうポジティブな姿勢で継続中(笑)
テキストの文章をスラスラと読めるようになってきました。
娘は、理恵先生主催のりんごっこサークルで個別レッスンを開始しましたが…
最初はパソコンの前にじっと座っていることができずに、席を離れて戻ってこないことも多々ありました。
横に座っていて私がイライラして怒ることもありましたが、45分間集中してクラスを受けられるようになってきました。
気にいらないとすぐにプイッとなる娘の性格を分かってくれ、辛抱強く待って教えてくれる先生に感謝です。
りんごっこサークルでは、理恵先生がつくるお便りや学期末の面談など日本の小学校のような対応。
面談では日本語教育や子育ての悩みも相談できたりと、昨年まで子供の日本語教育で迷走していた状況がウソのよう。
親子で日本語教育のサポートを得て、毎日少しずつでいいから続けよう。
中長期的なゴールを持ち、子供の日本語を学ぶペースに寄り添おうと思うようになりました。
もっと早くに始めていたらと思う反面、コロナがなければトライしなかったこと。
気長に自分も子供たちと一緒に成長したいなと思っています。
子供向けに継承日本語を教えるオンラインクラス
大学生以上の大人向けの日本語コースとは違い、子供向けの日本語コースは多くありません。
私の子供が受講しているLearn Japanとりんごっこサークルは本当におすすめですが、時差の関係で授業時間が合わないなど色んな状況があります。
日本語教師のゆう先生や理恵先生から教えてもらった情報をシェアしますね。
あなたのお子さんにあったコースが見つかりますように。
まとめ
- 子供が学びたい、学ぶ準備ができたというタイミングでスタートして大丈夫。
- 環境や子供の性格が違う中で、継承日本語教育に正解はない。
- 具体的なゴールを決めることが大事。
- 諦めたら終わり、長い地道な努力が必要。
- ママが先生になっても続かないので、無理だと思ったらオンラインコースというサポートを得るのもおすすめ。
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