この記事では、スペイン筆者が体験したスペインの小学校の入学手続きと学んだ事を紹介します。
スペインでは、市内にある複数の学校から親が学校を自由に選択して入学希望の申請をします。
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スペインの学校・教育制度を詳しく紹介!小学校は3歳から?
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長男の小学校を選ぶ時、スペイン人の夫にとっても初めての経験だったので、周りの人に質問したり、お互いに意見交換しながら少しずつ学んでいきました。
当時の体験を振り返りながら、
本文のポイント
- 自分の町にある学校をよりよく知る方法
- 小学校で確認すべき利用可能なサービス
- 学校を選ぶ上で気を付けたいこと
- 申請後の受け入れ基準
- スペイン人の友達からもらった役立つアドバイス
と、これからスペインで小学校の手続きが必要な方に役立つ情報をまとめてみました。
本文の最後では、小学校選びでスペイン人の親が犯しやすい4つの間違いについても紹介しています。
スペインで子供を就学させる方や海外の子育て事情に興味のある方は、是非参考にして下さい。
スペインの小学校、入学決定までの流れ
日本では、各地域の教育委員会から入学通知のお知らせが届くので、特別な手続きが必要ない自治体もありますが…
スペインでは、入学申請用紙に複数の入学希望校名を入力して提出する必要があります。
申請時期は?
子供が3歳になる年の3月です。
入学申請用紙はどこで手に入る?
入学申請用紙は、各学校でもらえます。
後で触れますが、学校の見学時に申請用紙をもらえばいいと思います。
申請した学校は必ず入学できるの?
申請用紙には入学希望校を第6候補まで記入するようになっています。
応募数が希望校の定員内であれば問題なく受理されますが…
定員以上の応募が集まった場合、下記の受入れ優先条件に沿ってポイントが加算され、ポイント数が高い人から順に入学できます。
- 学校に兄弟(姉妹)がすでに通っている
- 学校が自宅もしくは親の勤務先近くにある
- 低所得世帯
- 3人以上の子供がいる家族
そのため、希望校に入るために住民票の住所を変えて対応するケースもあるくらいです。
申請後、各学校で入学者リストが発表されます。
ここまで、小学校の入学決定までの簡単な流れを説明しましたが、大事な点はどうやって子供の学校を選んでいくかだと思います。
次に、地元の小学校情報を得る方法を紹介します。
自分が住む町の学校情報を得る方法
私たちは、次の3つの方法で学校の情報を得ました。
小学校が開催するオープンスクールに参加
申請時期に合わせて各小学校でPuertas abiertas(プエルタス・アビエルタス)という名のオープンスクールを行います。
- 学校の中を案内してもらい、施設を見ることができる。
- 学校のディレクターや先生方と話すことができる。
ので、興味がある学校はできるだけ行ってみましょう。
小学生の子供を持つ親から話を聞く
学校を訪ねて大体のイメージをつかむことができますが、実際にその学校へ子供が通っている親との意見交換はとても有益です。
サンティアゴ市内の公立高校で先生をしている知人と話をした時にこんなことを言われました。
自宅から遠くてもいい学校へ子供を入れたいと思う気持ちもわかるけど、一度入ったら何年も通い続ける。子供が病気になった時や学校の各行事に駆けつける親にとって負担にならないよう、家から近い学校を選ぶのも大事だよ。
現実的な視点を持って学校を選ぶことも大事だと気付いたので、聞いて良かったなと私は思いました。
保育園の先生に相談
子供が通っていた保育園では、保護者向けの説明会を開いたり、個別相談にも乗ってくれました。
各学校の教育方針などを客観的に説明してくれ、子供の性格を理解した上で、学校選びのアドバイスをくれたので、とても助かりました。
当時、2つの学校の間で決めかねていましたが、園長先生の言葉で今の学校を選ぶ決心ができました。
色んな人の意見を聞くと、逆にわからなくなってしまうこともありますが、子供の成長に適した学校を入れたいと考える親や先生のアドバイスはどれもとてもためになりました。
次に、各学校で説明を受けたり、逆に自分から学校に質問しておくとよいサービスについて見ていきます。
小学校で提供しているサービス
朝の保育サービス
スペイン語でマドゥルガドーレス(Madrugadores)と言います。
日本語で早起きする人と訳します。
仕事や特別な事情で、授業開始前に子供を学校へ預ける必要がある親にとって必要なサービスです。
毎日預ける人もいれば、前日に学校に連絡して1日だけ利用することも可能です。
スクールバス
朝、市内の各所で子供達をピックアップし、学校へ行く通学バスのサービスを行っている学校があります。
私の場合は、歩いて子供の送り迎えをしていますが、スクールバスを利用する家庭が多いです。
給食
給食はオプショナルなので、コメドールと呼ばれる学校の食堂で昼食を食べる子もいれば、家でご飯を食べる子供もいます。
日本のように給食は先生も一緒に生徒全員が教室で食べるものと思っていたので、個人的にこの違いを知って結構ショックでした。
ある公立学校の給食の話を聞いてから、私の中で学校を選ぶ時に給食のテーマはかなり重要なポイントとなりました。
スペインの給食事情は、下の関連記事で詳しく説明していますので、合わせてお読みください。
次は、サービスとはちょっと違いますが、あるお母さんとの会話で偶然知ってびっくりしたことです。
子供が学校でおもらししたら??
幼児学校スタートは3歳ですが、9~12月生まれの子は3歳のお誕生日を迎える前に学校生活をスタートします。
中にはまだおむつが取れていない子がいたり、遊びに夢中になって教室でお漏らししてしまう子もいます。
私の子供の学校では、着替えの入った箱を教室に置いておき、必要な時に先生がパンツやズボンの着替えを手伝ってくれますが…
子供が学校でおもらしをすると…
と、親へ連絡する学校があります。
この話を聞いた時、ただただびっくりしました。
教えてくれた人は、学校からの連絡にすぐ対応できるよう、車内に着替えを常備していたそうです。
念のため、この点について学校に確認を取られるといいかと思います。
小学校の宗教の授業について
小学校1年生になってからの話になりますが、宗教の授業が選択科目として入ってきます。
キリスト教の教えに関する授業なので、宗教系の学校へ行けば必須科目だと思います
宗教の授業を選択しない場合、日本でいう道徳のクラスを受けることができます。
学校見学時、校長先生に宗教の授業について相談すると…
と、言われました。
プリメラ・コムニオンについては、下の関連記事で詳しく紹介していますので、合わせてお読み下さい。
学校選びで親が犯しがちな4つの間違い
スペインの新聞El Confidencialの2017年9月6日の記事で、下記の点を指摘していました。
- 学校のランキング情報を過度に気にする。
- 事前に学校主催の説明会等へ参加しない。(これが一番大きな間違い!)
- 公立・私立・(特に宗教系)半私立学校に対する先入観で、各学校の教育方針を見ようとしない。
- 評判がいい学校でも自宅から2時間もかかるような遠い学校へ通わせる。
学校の評価やランキングを気にする親はどこにでもいると思いますが、3番目について私の実体験を紹介しながら補足説明します。
スペイン人の中には、「教育の公共性を守るべき!」という公共教育の熱心な擁護者がいます。
その考え自体に異論は全くありませんが、こんなことがありました。
色々悩んだ末、半私立(宗教系でない)学校を選んだ私たちに対して、
と、言ってきた友人がいました。
面と向かって言えるだけの信頼関係があっても、正直いい気持ちはしなかったです。
考え方の違いから上記のようなコメントを言われたりする可能性もありますが、自分のパートナーとよく相談して納得いく学校選びができますように。
本文の内容は、あくまでも私が住むサンティアゴ・デ・コンポステーラの情報になります。自治州ごとで状況が変わることはよくありますので、必ず自分が住む場所の市役所や学校で詳細をお問合せ下さい。
まとめ
- スペインでは、子供が3歳になる3月に入学希望学校の申請しなくてはいけない。
- 定員を超える希望者が集まった時、優先条件によるポイント数が高い人から入学できる。
- オープンスクールに行って、施設を見学したり説明会を聞くのは非常に大事。
- 保育園でも説明会や個別相談を受けてくれる場合は活用する。
- 自宅と学校が離れている場合は、スクールバスを利用することもできる。
- 小学校から宗教や道徳の選択科目を選ぶ。
- ランキングや評判を過度に意識せず、家との距離や学校の教育方針を見て子供の学校を決めるとよい。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。