海外旅行で突然のフライトキャンセル。予定が崩れるだけでなく、ホテル代・食事代・移動費・振替便の手配など、次々に決断を迫られます。
私も2025年7月、マデイラ島→ポルト便で当日キャンセルを経験しました。空港スタッフから十分な説明もなく、代替便は「3日後」。ホテルも自分で探せと言われ、子どもを連れて立ち尽くすしかありませんでした。
しかし、情報を集めて冷静に動いた結果、
- 実費(ホテル・食事・移動)…全額返金
- EU261補償金…4人で1,000ユーロ獲得
- 予定より1日早い便に振替成功
という “逆転劇” を達成できました。
このページでは、当日キャンセル時に本当に役立った知識と、私のリアルな体験、そして返金・補償を確実に受け取る方法をまとめています。
この記事で分かること
- フライトキャンセルが起きたときに、空港で最初にやるべきこと
- EasyJetが案内してくれないEU261の権利(振替便・ホテル・食事・補償金)
- 実費返金の申請方法(フォームの書き方・必要書類)
- EU261補償を拒否された後の「裏ワザ」=航空当局へのクレームでひっくり返す方法
- 家族連れでもできた、交渉のコツ
- 英語が苦手な人のための補償申請の代行サービス比較
- 実際に起きた出来事の時系列と、心が折れそうになった場面
必要なのは、正しい知識と冷静さだけ。キャンセル当日の混乱の中で検索している誰かが、落ち着いて最善の行動を選べるように──その思いで書きました。
時系列で紹介しますが、補償(EU261)や返金手続きだけ知りたい方は、目次から該当パートへ飛んでください。
マデイラ空港で突然のフライトキャンセル|最初の不安と混乱
空港に到着すると、まず目についたのは異様なほどの人の多さと、あるカウンターに並ぶ長蛇の列。
電光掲示板には “DELAYED”、“CANCELLED” が並んでいましたが、私たちの便だけは何も表示されていませんでした。
「きっと大丈夫」 そんな根拠のない希望を持ってしまったのも束の間。

出発1時間前、ついに “DELAYED” の文字が点灯しました。
スタッフのポルトガル語の説明は早くて半分も理解できず、不安とモヤモヤが膨らんでいきます。
そして突然言われたひと言:
「フライトはキャンセルです。あちらの列に並んでください。」
紙も説明もなく、ただ列へと追いやられる。
その列が、空港に来たときに見た謎の長蛇の列だったと気づいた瞬間でした。
マデイラは “島”。
鉄道もバスもフェリーもない。
飛行機が飛ばないと “出られない”。
その現実を悟ったとき、胸の奥からじわりと閉じ込められた感覚がこみ上げました。
ロベルトとの出会いで救われた夜|フライトキャンセル時の心の支え
列の中にはナーバスになっている人もいて、空気は完全にピリピリ。
夫も緊張で無口になり、気持ちがどんどん押しつぶされそうになった私は、前にいた男性が電話を終えた瞬間に思い切って声をかけました。
彼の名前は ロベルト。
- ロンドン便がキャンセル
- EasyJetアプリで変更したが接続便だけ変更できず並んでいました
- ベネズエラ育ちでスペイン語が第一言語 → 会話がスムーズ
- マデイラ出身で、この空港の事情に詳しい
彼との会話で、マデイラ空港の問題が見えてきました。
マデイラの風は読みづらく、この空港は着陸が困難。
肝心な風レーダーは古いまま。
LCCで安い給料をもらっている経験の浅いパイロットでは着陸を避けることがある。
他の航空会社が飛んでいるのにEasyJetはキャンセルになったのはそれか。
少なくとも状況がクリアになり、たわいもない会話もして気分がまぎれました。
数時間並び、別れるときに「Good luck!」と微笑んでくれたロベルト。
まさかその後、もう一度私たちを助けてくれるとは、その時は思いもしませんでした。
EasyJetで告げられた「3日後の便」|現場対応の現実

カウンターの女性スタッフはパソコンを開くことすらせず、夫のスマホを勝手に操作しながら開口一番こう言いました。
「次に帰れるのは3日後の夜便です。」
説明はそれだけ。 ポルト便は沢山あるのに 3 日後ってどういうこと?
「他社便に振り替えはできないのか」と聞くと、
「週末だし他社便は値段が高いので、EasyJetは負担しません。」
EU261で認められている “より早い便への振替義務” を完全に無視した対応でした。
さらにホテルのことを質問すると、
「今夜の分は自分で予約して請求書をもらってください。後でEasyJetが払います。今日は遅いので明日ここに電話するように。」
と言われ、渡されたのはカスタマーセンターの電話番号が書かれた紙 1 枚だけ。
女性 2人でたくさんの人の対応をしていたのは見てきたけど、何時間も並んでこの対応はひどい…。 この先、どうなるの?
フライトキャンセルの夜、救われたロベルトとの出会い

不安でいっぱいだけど、まずは今夜の宿を取らなくては!
Booking.comで宿を探すも、7 月下旬の金曜日夜に残っていたのは、1泊 250€ のアパートだけ。
子供と野宿するわけにもいかないので予約。
タクシーは高いから Uber を呼ぼうと空港を出たとき—— なんとそこに ロベルトが座っていたのです。
事情を話すと、彼はこう言いました。
「友人が車を持ってきてくれるんだ。僕は家に荷物を置いたあと、君たちを宿まで送るよ。」
彼は空港で 12 時間以上待っていて疲れているのに、です。
そして、彼は続けました。
「ジャージー島へ移った当時、英語ができない僕を助けてくれた人がいた。今日は僕が助ける番だ。」
その言葉に、本当に救われました。 聖ロベルト… と思った瞬間でした。
翌日の交渉で勝ち取った「1日早いフライト」とホテル
結論から言います。フライトキャンセルにより顧客に迷惑をかけたというのはメールの文章だけ。 EasyJetは何もしてくれません。
カスタマーサポートに電話をしても、
- 担当者は毎回違う(→最初から説明、交渉)
- 誰も責任を取らない。
顧客が泣き寝入りするのを待つ対応です。しつこく主張しなくてはなりません。 この日、私たちは 計3回 EasyJetに電話しました。
結果、
- 予定より1日早い便(4席)
- 4つ星ホテル2泊(EasyJet負担)
を獲得しました。 詳しいやり取りを次で紹介します。
1回目の電話|変更料を請求された理由
カスタマーサポートセンターの営業時間開始とともに電話。 仕事等の理由で1日も早く帰るためにフライト変更を伝えると、
「一度予約した便の変更には“変更料”が必要です。」
と言われました。
- フライトキャンセル時に顧客の権利など事前説明もない
- 勝手に予約されたこと(私たちが選んだフライトではない)
私たちは1日でも早く帰る権利があると言っても、なんの対応もありませんでした。
ホテルについては、
「予約できたら連絡します。」
と言われただけで、折り返しの連絡はなし。
2回目の電話|3席だけ空きがあると言われた
憤りを隠せないまま、ロベルトおすすめのカフェで朝ごはん。 その後、改めて電話。
新しい担当者に説明をまた一からすると、
「変更料が必要です。」
スタンダートの返答が返ってくるだけ。
私たちは早く帰る権利があるんだと粘ると、
「3席なら空いてる便があります。」
「いや、4席必要なんです。それに、今日このアパートを出ないといけないんだ。 子供もいるし、今日からのホテルの手配を頼んだんだけど」
「ホテル1泊は予約されています。」
えっ、そうなの?ホテルの名前は? すかさず私はネットでホテルの場所を検索。
電話の後、ホテル予約確認のメールは来てないけど、直接ホテルへ向かうことに。
レセプションで予約確認をしてチェックインしました。
3回目の電話|1日早い便を勝ち取った瞬間
予約されたホテルは、ドイツ人観光客が大半の4つ星リゾートホテル。
部屋を確認した後、家族でお昼を食べて子供たちはプールへ。
楽しむ子供たちを見ていたその時、夫がEasyJetのサイトで翌日の便に4席の空きを発見。
今だ!と電話をするが、もちろん最初から説明。
同じやり取りをしながらも粘り続けた結果、
「では1日早い夜便に変更します。変更料なしで4席確保できます。」
ついに突破!!
確認メールを見るまでは気を抜いてはいけないと待っていると、5分後に “Booking Confirmation” が届きました。
ほっ。。。これでようやく安心できました。
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※旅行中のトラブルは「事前知識」があるだけで大きく防げます。 安心材料として、ぜひ合わせてチェックしてみてください。
実費返金の手続き|フォーム入力だけでOK(9日で全額返金)

サンティアゴに戻ってきてから、滞在中に自分たちが払った実費の返金請求をしました。
返金対象:
- 初日のホテル代
- 空港〜ホテルなどの移動費
- 食事代(朝・昼・夜)
- その他の立替(空港パーキングの超過料金など)
EasyJetから送られてくるメールに実費返金申請専用のリンクが送られてくるのでアクセスし、必要事項の記入とレシートをアップロードするだけです。
👇 実際のフォーム
https://www.easyjet.com/claim/es/welfare
申請から 9日後、全額返金されました。
EU261補償の基本|距離別の補償額まとめ
EU261とは、EU域内を発着する航空便が、遅延や欠航などによって影響を受けた乗客の権利を保護するための法律です。
補償額は、距離によって下のように変わります。
| 距離 | 補償額 | 対象となるケース |
|---|---|---|
| 1,500 km 未満 | €250 | キャンセル/3時間以上の遅延 |
| 1,500〜3,500 km | €400 | キャンセル/3時間以上の遅延 |
| 3,500 km 以上 | €600 | キャンセル/3時間以上の遅延 |
| 出発2週間以上前のキャンセル通知 | なし | 早期通知は対象外 |
今回のマデイラ→ポルト便のキャンセルは、当日発生。 マデイラ→ポルト間は1,200km程度のため、
1名250ユーロ × 4名 = 1,000ユーロ が補償対象となりました。
EU261補償が一度「拒否」された時の対処法|上位機関で逆転
航空会社がEU261補償を拒否する場合があります。
主な理由は「航空会社の責に帰すことのできない不測の事態」。 ここには、悪天候やストライキなどが含まれます。
しかし、航空会社が拒否してきても方法はありますので次の流れを読んで下さい。
🔶 STEP 1|EasyJetへ補償申請
約1週間後に返ってきたのは、
「天候のため補償は支払いません。」
という拒否メール。
でも、あの日のマデイラ空港で、Ryanairや他の航空会社の便は普通に飛んでいました。
キャンセルされたのはほぼEasyJetの便。
再度アクションを起こすのに1か月半以上かかりましたが、別の場所に連絡をしました。
🔶 STEP 2|ポルトガル民間航空局(ANAC)へクレーム送信

ANAC(ポルトガル民間航空局) のサイトからクレームを提出。
クレームフォームへの必要事項記入の他に、
- EUのクレームフォーム
- 航空チケットの予約のコピー
- 航空会社からの拒否回答メール
を添付しました。
1週間後、現在審査中との受理メールが届きました。
🔶 STEP 3|ANACが EasyJet に説明要求 → 状況が動き始める
ANACから翌日に: 「現在、EasyJetに説明を求めています。」 というメールが届きますが、ここで状況が一転します。
🔶 STEP 4|EasyJetが補償を認めるメールを送ってきた!
翌日、EasyJetから突然メールが。
「あなたは、EU261補償を受ける権利があります。」
メールには補償金を受け取る口座情報記入フォームが添付されていました。
🔶 STEP 5|翌日“支払い完了”通知
記入して書類を送った翌日、
「30日以内に口座に振り込まれるでしょう。」
というメールが到着しました。
現在は振込待ちですが、補償金も払ってもらうところまで状況を逆転することができました!
EU261では、
不可抗力を主張する場合、航空会社が証明義務を負う
というルールがあります。
EasyJetが補償を拒否した後にANACへクレームを出したのは、この“証明義務”を求めるためでした。
その結果、
EasyJetは逃げ道がなくなり、態度が180度変わったのだと私は考えています。
英語や交渉が不安な人へ|補償申請の代行サービスという選択肢
EU261 の申請は、「やれば誰でもできる」のですが、旅行した国の言語または英語のメール・書類提出・航空会社とのやり取りはストレスを感じます。
今回の経験を夫と改めて振返って痛感しましたが、EasyJetとの交渉はとにかくメンタルを削られます。
ポルトガルの民間当局へのクレームフォームも分かりやすいわけではありません。
「自分で交渉する余力がない」 「航空会社から拒否されたあとの手続きが不安」 という方には、現実的な選択肢だと思います。
まずは補償対象かどうか無料でチェックできます。
🛫 自分で交渉する余力がないときの選択肢
EasyJetなどのフライトキャンセルでEU261補償の申請や英語でのやり取りが不安な方は、成功報酬型の代行サービスを使うのもひとつの方法です。
実費を先に支払う必要はなく、補償が実際に支払われたときだけ手数料が発生します。
※どちらも成功報酬型サービスです。補償金が支払われた場合にのみ、所定の手数料が差し引かれます。
AirHelp vs Compensair 比較|どちらを選ぶべき?
補償代行サービスを利用したいけれど、AirHelp と Compensair のどちらが良いのか迷う方も多いと思います。
違いがひと目で分かるように、スマホでも見やすい比較表にまとめました。
| サービス名 | 特徴 | 成功報酬 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| AirHelp | 世界最大級の代行サービス。対応航空会社が多く、オンライン判定が早い。 | 約35%(目安) |
大手の安心感を重視したい人 まずスピード重視で判定したい人 |
| Compensair | ヨーロッパ路線に強い。サポートが丁寧という声も多い。 | 約30%(目安) |
手数料を抑えたい人 ヨーロッパ便をよく使う人 |
どちらも成功報酬型なので、補償が本当に支払われた場合だけ手数料が発生します。
迷ったらまずは AirHelpで確認するのがおすすめです。対象航空会社が広く、最初の「判定」がとても早いからです。
手数料を少しでも抑えたい方は、Compensairも良い選択肢になります。
🛫 自分で交渉する余力がないときの選択肢
EasyJetなどのフライトキャンセルでEU261補償の申請や英語でのやり取りが不安な方は、成功報酬型の代行サービスを使うのもひとつの方法です。
実費を先に支払う必要はなく、補償が実際に支払われたときだけ手数料が発生します。
※どちらも成功報酬型サービスです。補償金が支払われた場合にのみ、所定の手数料が差し引かれます。
まとめ|フライトキャンセルに負けないために
フライトキャンセルは、初めての場合は特に情報もないのでどう対応していいか分からなくなります。
航空会社によって対応は変わると思いますが、EasyJetは、自分で動かないと本当に何もしてくれません。
LCC全般は、そういう傾向になるかと思います。 知識と粘り強さがあれば、状況は必ず変えられます。
貴重な時間を無駄にせずに補償金を受けるサービスもありますので、自分のケースで選ぶと良いでしょう。
本文の内容が、マデイラ空港で不安の中ネット検索していた私と同じ(または似た)状況にいる誰かを助けられますように。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
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