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スペイン旅行の基本情報

【スペイン食事事情】胃もたれ・野菜不足はこう防ぐ!在住ガイドが教える「胃を休める」メニューと注文術11選

2021年1月26日

スペインのレストランで油っこい料理を前に胃もたれし、お腹を押さえて困った顔をする日本人観光客
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いつこ

ガリシア州公認観光ガイド。サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学観光マネジメント修士課程修了。留学生サポート業務(約4年)や、巡礼専門旅行会社での勤務経験を活かし、現地目線で役立つ情報を発信中。まだあまり知られていない本当のサンティアゴとガリシアの魅力を、日本語で丁寧にお届けしています。

観光でスペインへ行くと、楽しみなのが毎日の食事。
最初は「生ハム美味しい!アヒージョ最高!」と感動するものの、旅行3日目あたりから異変を感じる日本人観光客が後を絶ちません。

「……なんか、胃が重い」
「口がさっぱりしたものを求めている」
「もうオリーブオイルは勘弁して……」

それもそのはず。スペイン料理は日本食に比べて圧倒的にオイリーで、塩分も強め。さらに一皿の量が多いため、知らず知らずのうちに胃腸に負担がかかってしまうのです。

そこで今回は、ガリシア在住ガイドである私が、「胃が疲れた時にこそ選んでほしい、胃に優しいスペイン料理」を厳選してご紹介します。
メニュー選びと、魔法の注文フレーズを知っているだけで、旅行中の体調管理が劇的に楽になりますよ。

【緊急対策】とにかく胃を休めたい時の「飲むサラダ・スープ」

食欲がない時でも、スープなら喉を通ります。スペインには「胃薬」代わりになる優秀なスープがあります。

1. ガスパチョとサルモレホ(Gazpacho / Salmorejo)

アンダルシア生まれの冷製スープ。「飲むサラダ」とも呼ばれ、ビタミン補給に最適です。
トマト・ニンニク・オリーブオイル・パンなどをミキサーにかけて作りますが、火を通さないため酵素が生きており、胃もたれした体に染み渡ります。

  • ガスパチョ: キュウリやピーマン、ビネガーが入り、サラッとしていて飲み物に近い感覚。酸味が効いていてサッパリします。
  • サルモレホ: パンとオイルの量が多く、とろみがあります。食べるスープという感じで、腹持ちが良いです。

2. ソパ・デ・ポジョ(Sopa de Pollo / 鶏のスープ)

メニューに載っていなくても、多くのレストランに置いている「隠れ回復食」です。
鶏肉と細いパスタ(フィデオ)が入っただけのシンプルなコンソメスープですが、日本の風邪の時のお粥のように、弱った胃を優しく温めてくれます。

注文のコツ:
メニューになくても「Hay Sopa de Pollo?(アイ・ソパ・デ・ポジョ?/チキンスープありますか?)」と聞いてみてください。意外と出してくれます。

3. カルド・ガジェーゴ(Caldo Gallego)

あったかいカルド・ガジェゴ、ワイン、パンが並んでいる画像
寒くなると飲みたくなるホッとするスープです。

私の住むガリシア地方の冬の定番。豚肉で出汁を取り、ジャガイモ・カブの葉(グレロス)・白インゲン豆を煮込んだスープです。
豚の脂(ウント)が入るためコクはありますが、クタクタに煮込まれた青菜と豆の味わいは、日本人にとって「お味噌汁」のような安心感があります。

初めて飲んだ時、「菜っ葉のお味噌汁だ!」と感動したのを覚えています。体を芯から温めたい時におすすめです。

【野菜補給】油っぽくない「野菜メイン」の頼み方

「野菜が食べたい」と思ってサラダを頼んだら、ドレッシング(油と塩)でベタベタだった……という経験はありませんか?
ここでは「油をコントロールできる」野菜料理を紹介します。

4. エンサラダ・ミクスタ(Ensalada Mixta / ミックスサラダ)

スペインのどこの店にもある定番サラダ。レタス、トマト、玉ねぎ、ツナ、ゆで卵などが山盛りで来ます。
ここで重要なのが「味付けなし(Sin aliñar)」で頼むこと。

スペインでは通常、テーブルに置かれたオリーブオイル・ビネガー・塩を使って自分で味付けをしますが、店によっては最初から大量にかけて持ってくることがあります。
Sin aliñar, por favor(シン・アリニャール、ポル・ファボール/味付けしないでください)」と伝えれば、ただの生野菜盛り合わせが来ます。これなら自分の好きな量のオイルと塩で、さっぱり食べられます。

5. メネストラ(Menestra de verduras)

温野菜が食べたい時はこれ。ニンジン、インゲン、アーティチョーク、グリーンピースなどをブイヨンで煮込んだ料理です。
生ハムが入ることもありますが、基本的には「野菜のごった煮」。揚げ物続きの毎日に、ホッとする優しさをもたらしてくれます。

6. エスカリバーダ(Escalivada)

カタルーニャ地方の伝統料理。パプリカ、ナス、玉ねぎなどをじっくりオーブンで焼いた焼き野菜
野菜そのものの美味しさが感じられる料理。

カタルーニャ地方の伝統料理。パプリカ、ナス、玉ねぎなどをじっくりオーブンで焼いた焼き野菜です。
焼くことで野菜の甘みが引き出されており、油で揚げたり炒めたりしていないため、非常にヘルシー。魚やお肉の付け合わせとしても優秀です。

7. ピスト・マンチェゴ(Pisto manchego)

スペイン版ラタトゥイユ。トマト、ズッキーニ、ピーマンなどをオリーブオイルで炒め煮にしたものです。
野菜をたっぷり摂れますが、上に乗ってくる目玉焼きが「揚げ焼き(多めの油で揚げる)」スタイルであることが多いので、本当に胃が辛い時は「目玉焼きなし(Sin huevo)」にするのも一つの手です。

【メイン料理】肉・魚は「ア・ラ・プランチャ」一択

メイン料理で「油少なめ」を狙うなら、キーワードは「ア・ラ・プランチャ(A la plancha/鉄板焼き)」です。
「フリート(揚げ物)」や「サルサ(ソース煮込み)」は油の使用量が多いので避けましょう。

8. ナバハス(Navajas / マテ貝)

あったかいカルド・ガジェゴ、ワイン、パンが並んでいる画像
レモンをぎゅっと絞って召し上がれ!

ガリシア名物のマテ貝。鉄板でサッと焼いて、レモンを絞るだけ。
素材そのものの塩味と旨味が強いので、余計なソースや油は不要です。最高の「低脂質・高タンパク」メニューと言えます。

9. 白身魚のプランチャ(Merluza a la plancha)

スペインで最もポピュラーな白身魚「メルルーサ」の鉄板焼き。
日本のレストランで食べるような上品な味わいで、癖もなく、胃への負担も最小限。付け合わせのポテト(フライドポテトの場合が多い)を茹でじゃがいも(Patata cocida)に変えてもらえれば完璧です。

【要注意】「あっさり」に見えて実はオイリーな料理

最後に、「見た目はヘルシーそうだけど、胃もたれ中は注意が必要」な料理をお伝えします。これらは体調が良い時に美味しくいただきましょう。

10. ピミエントス・デ・パドロン(Pimientos de Padrón)

「ししとうみたいなピーマン」として人気ですが、調理法は「素揚げ」です。
野菜ですが、油をしっかり吸っています。美味しいですが、胃が弱っている時に一皿全部食べるとダメージを受けることがあるので、シェアして数個つまむのが正解です。

11. タコのガリシア風(Pulpo a la feira)

茹でダコなのでヘルシーに見えますが、仕上げにオリーブオイルを「これでもか」とかけます。
お皿の底に油が溜まるほどの量なので、さっぱり系ではありません。もし頼むなら、油をよく切って食べるか、「Aceite a parte(アセイテ・ア・パルテ/オイル別添え)」をお願いしてみるのも上級テクニックです。

まとめ:自分の胃袋を守れるのは自分だけ

スペイン旅行を楽しむためには、体調管理が何より大切です。
「せっかくだから」と無理して名物料理を食べ続けるのではなく、3日に1回はこういった「胃を休めるメニュー」を取り入れてみてください。

  • スープや煮込み野菜を活用する
  • サラダは「味付けなし」で頼む
  • 調理法は「プランチャ(鉄板焼き)」を選ぶ

この3つを意識するだけで、帰国するまで元気にスペインの食文化を堪能できるはずです。
美味しいガリシア料理も、万全の胃袋でお待ちしています!


あわせて読みたい:スペインの食と旅の知恵

胃の調子が戻ってきたら、現地の美味しい定食や、新鮮な食材が並ぶ市場にも挑戦してみてください。
また、旅行中のトイレ事情やレストラン選びについても、知っておくと安心な情報をまとめました。

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