サルバドール・ダリとウォルト・ディズニーが、実際にコラボ映画を制作していた——そんな事実を知っていますか?
1945年、シュールレアリスムの巨匠ダリとアニメの帝王ディズニーが意気投合し、短編映画「デスティーノ(Destino)」の制作をスタートさせました。しかし資金不足と時代の壁に阻まれプロジェクトは中断。60年後にようやく世に出た「幻のコラボ作品」です。
この記事では、スペイン在住16年の公認ガイドが、2人の出会いから制作秘話、そして作品に込められた意味まで解説します。映画を見る前に読むと、また違った見え方になるはずです。
この記事でわかること:
- ダリとディズニーが出会うまでの経緯
- なぜディズニーはダリとコラボしようとしたのか
- 短編映画「デスティーノ」の内容と意味
- プロジェクトが中断した理由
- 60年後に完成した経緯
是非、読んでみて下さいね。
ダリがウォルト・ディズニーに出会うまで

ダリのアメリカ亡命
1940年8月にダリはガラと共にリスボンからパトロンがいるアメリカへ出発しました。
当時、近代美術が理解できなかったアルフレッド・ヒトラーは近代美術を『退廃美術』と呼び弾圧していました。
亡命前にニューヨークに2度滞在したダリは、画家として成功を収めていたので…
今回のアメリカ亡命期間(1940~1948年)に
- 展示会の開催
- バレエ舞台の台本・美術・衣装
- 雑誌・書籍・広告用のイラスト制作
- 小説の執筆
と、幅広い分野で活躍し、戦時中で芸術市場が不況の中でもダリは安定した収入を手にすることができました。
ヒッチコックの映画撮影

出典: https://cdn8.openculture.com
1945年、ダリはアルフレッド・ヒッチコック監督の『スペルバウンド(白い恐怖)』の背景スケッチを制作します。
ある日の夕食でジャック・ワーナーの仲介でダリはウォルト・ディズニーと出会い、
その場で意気投合したダリとガラ、ディズニー夫妻は映画製作のコラボについて話合います。
ディズニーがダリと映画製作をしようと思った理由
ディズニーとダリって全然スタイルが違うよね…、なんでダリと?と、ちょっと思いませんか?
アニメと言えば、短編が当たり前だったアメリカで、ディズニーは1940年に『ファンタジア』というオーケストラによるクラシック音楽を使った長編映画を公開しました。
大人も見たくなる芸術性の高い作品を作りたいと思っていたディズニー。
当時、シュールレアリスムをアニメに取れ入れてなかったことから、ダリとの短編映画を制作を決めました。
ダリとディズニーの短編映画の名前と内容
タイトルはDESTINO(運命)
ディズニーは短編映画のバックミュージックにメキシコ人作曲家アルマンド・ドミンゲス(Armando Domínguez)のバラード『デスティーノ(Destino)』を使おうとしました。
「運命」を意味するデスティーノという言葉に何かを強いものを感じたようで、すぐにダリはイメージや絵を作りはじめたようです。
作品の内容
作品の中でダリの作品でよく見られる次の象徴的アイテムが出てきます。
- 蟻
- 電話
- 顔のない肖像
- 足の長い月
- 溶けた時計
- バゲットパン
映画にはダブルイメージというひとつの中によく注意して見ないと分からないよう他の絵を描き込む手法も使われました。
『確かにダリだ!』と思いますが…バックの音楽のみで会話もありません。
作品の内容は、女性ダンサーが野球選手と出会う恋の物語というぐらいしか正直言えません。(;^_^A
実際に見て、各自結論を出して頂くのかいいかなと思います。
資金不足でコラボが完遂せず
ディズニーの資金不足やウォルド・ディズニーの兄であるロイがシュールレアリスムのアニメが受け入れられないと判断。
プロジェクトは完遂されませんでした。
コラボ失敗から60年後、ウォルト・ディズニーの甥であるロイ・E・ディズニーがプロジェクトのマテリアルを見つけて約6分の短編映画を制作しました。
2003年にオスカーにノミネートされた作品『DESTINO』をどうぞご覧下さい!
ダリとディズニーのコラボ映画「DESTINO」
まとめ
- ヒトラーによる近代美術弾圧を避け、ダリは1940年にアメリカへ亡命。
- ダリのアメリカ滞在期間は8年間。
- ダリは絵画だけでなく幅広いジャンルで活躍。
- ダリはヒッチコック監督の映画制作に携わった時にウォルト・ディズニーと知り合う。
- ダリとウォルト・ディズニーのコラボ短編映画の名前はデスティーノ
- ディズニーの資金不足や作品が受け入れられないだろうとの判断で完遂せず。
- ウォルト・ディズニーの甥が60年後に短編映画を完成させた。
映画に出て来たダリの象徴的アイテムは、フィゲレスにあるダリ芸術博物館でも見る事が出来ます。
-
-
フィゲラスでランチや宿泊はダリ愛用の『ドゥランホテル&レストラン』がおすすめ
続きを見る
スペインの有名な芸術家や作品情報
-
-
ピカソ「ゲルニカ」とは?意味・時代背景・隠されたメッセージを解説
続きを見る
-
-
プラド美術館『ラス・メニーナス』の謎と見どころ|スペイン在住16年ガイドが解説
続きを見る
-
-
ラス・メニーナスの意味は?ガリシア人の女官はどれ?
続きを見る
最後まで読んで頂きありがとうございました。
