スペイン国内をお得に移動したい人に人気なのが、Renfe(レンフェ)の格安高速列車AVLO(アブロ)です。この記事では、AVLOの料金システムや荷物ルール、座席や車内設備、AVEとの違いなどを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
※内容は2025年時点の情報です。実際の予約前に、必ずRenfe公式サイトで最新情報をご確認ください。
AVLO(アブロ)とは?最初に押さえておきたいポイント
- Renfe(スペイン国鉄)が運行する低価格ブランドの高速列車
- 座席クラスは1種類だけでシンプル
- Wi-Fiサービスあり(区間によって提供状況が異なる場合あり)
- 同じ区間のAVEと比べて、最高速度や所要時間は大きく変わらないことが多い
- 主な運行区間:マドリード ⇄ ガリシア(サンティアゴなど)/アンダルシア/バレンシア など
「できるだけ安く、でも高速列車で移動したい」ときに、まず候補に上がる列車です。
AVLOの料金システムと追加オプション
AVLOの運賃は「変動制」です
AVLOの運賃には「短距離・中距離・長距離」といった距離による区分はなく、すべて変動制(ダイナミックプライシング)で設定されています。料金は、主に次のような条件で大きく変わります。
- 乗車日(平日/週末/祝日など)
- 出発時間帯(早朝・日中・夜間など)
- 需要(混雑具合)
- プロモーションの有無(ブラックフライデーなどのセール)
プロモーションが出ているときは、片道7€といった破格のチケットが販売されることもありますが、常にその価格で買えるわけではありません。通常はおおよそ次のような範囲で変動します。
- 比較的空いている日・時間帯:15〜30€前後
- 通常期の一般的な時間帯:25〜45€前後
- 繁忙期・人気の時間帯:40〜60€前後になることもある
あくまで目安であり、路線や日付・時刻によって大きく変わる点にご注意ください。
運賃に含まれない主な項目
AVLOの基本運賃には、次のようなサービスは含まれていません。
- 座席指定
- 規定を超える荷物の追加
- 変更・払い戻しに関する柔軟な条件
- 車内での飲食サービス
予約画面で、「必要なオプションだけを追加していく」スタイルになっている点を覚えておきましょう。
AVLOの荷物ルール(公式ルールをまず確認)
まずは、Renfeの予約画面に表示される「公式の荷物規定」を押さえておきます。
- 無料で持ち込める荷物:合計2個
- 手荷物(バッグ)1個:最大 36×27×25cm
- キャビンサイズのスーツケース1個:最大 55×35×25cm
- 追加で持ち込める荷物:1人1個まで(最大 85×60×35cm)
- 予約の次のステップで追加:10€
- 後からオンラインで追加:15€
- 駅のチェックインカウンターで追加:15€
※上記金額やサイズは変更される可能性があります。最新情報は必ずRenfe公式サイトでご確認ください。
AVLOの車内はどう?座席・荷物棚・Wi-Fiを徹底レビュー
ここからは、実際にサンティアゴ→マドリード間のAVLOに乗車した経験をもとに、座席の広さ・電源・荷物棚・自動販売機など、気になるポイントを詳しく紹介します。写真は乗車後に追加していきます。
1. 座席のレイアウトと座り心地(2+3列)
ここからは、実際にサンティアゴ→マドリード間のAVLOに乗車した経験をもとに、座席の広さ・電源・荷物棚・自動販売機など、気になるポイントを紹介します。
1. 座席のレイアウトと座り心地(2+3列)
- AVLOの座席は「2列+3列」の5列配置。
- 背もたれは固定式(後ろに倒れないタイプ)。ただし、座面下の黒い取っ手を引き上げると座面が前へスライドし、ややリクライニングが可能。
- 座席前のテーブルは、ノートPCを広げて作業できるサイズ感。
- 車両中央には対面式テーブル席(4人)がある。
- 足元の広さは十分。身長156cmの場合は余裕があり、180cm前後の人は少し足を横にずらして調整している様子でした。
2. 電源・USBポート・Wi-Fi接続方法
- 各座席にコンセントとUSBポートあり(位置:肘掛け付近)。
- Wi-Fiは座席前のQRコードを読み取り、チケット番号入力またはQR読み取りで認証。
- スマホは問題なく接続可能で、PCもRenfe Playから同じ流れで接続できました。
- トンネル区間では一時的に接続が途切れるものの、全体としては実用的な速度です。
3. 荷物棚の大きさと実際に置けたスーツケース
公式情報だけだとわかりにくいため、実際の荷物棚のサイズ感をまとめます。
- 座席上の棚は奥行きがあり、冬コートや小型スーツケース、ザックなどを収納可能。
- 12号車(最後尾)は特に大容量。左右に大型2段棚があり、ゴルフバッグのような長い荷物も収納できます。
- その他の車両には、縦長のスーツケースを立てて入れられる3段棚が設置されています。
4. 車内の自動販売機(支払いはカードのみ)
- 設置場所:車両の連結部付近。
- 販売商品:水、アクエリアス、アイスカフェオレ、ポテトチップス、ナッツ、クッキー、チョコレートなど。
- 支払い方法:カード決済のみ(VISA / Master / Google Pay / Apple Pay)。現金は使えません。
- 操作:商品を選んでカード・スマホをかざすだけで購入できます。
AVLOに乗るなら知っておきたい注意点
- 座席指定(有料)をしないと、窓のない席や進行方向と逆向きの席になることがある
- 荷物が規定サイズを超えていると、乗車前に追加料金を支払うよう案内される場合がある
- マドリード・チャマルティン駅は工事・拡張が続いており、ホームが分かりにくいことがある
- 乗り遅れた場合、基本的に別の列車に振り替えはできず、新たに購入が必要になることが多い
価格について知っておきたい大事なポイント
一般的には「AVLO=格安」「AVE=高い」という印象がありますが、実際のところ、価格は日付・時間帯・シーズンによって大きく変動します。
AVLOはプロモーション(ブラックフライデーなど)が出ると、片道7€といった破格のチケットが販売されることもあり、実際にその運賃で乗車したことがあります。ただし、これはいつも買えるわけではなく、その後は29〜39€前後、混雑する日や時間帯には40〜50€台になることも珍しくありません。
一方で、今回の私の例のようにAVLOが39€、AVEが28.85€というように、料金が逆転するケースも普通に起こります。
そのため、「AVLOが必ず最安」と決めつけて選ばないことが大切です。旅行日が決まっている場合は、AVLOとAVEの両方を、日付別・時間帯別に比較してから決めるのが、結果的に一番お得に移動できる方法です。
AVLOとAVEの違いを分かりやすく比較(短く)
| 項目 | AVLO | AVE |
|---|---|---|
| 価格の傾向 | プロモ運賃が出ると非常に安いが、日付・時間帯によってはAVEより高くなることもある | 通常はAVLOより高めだが、プロモや時間帯によってはAVLOより安い場合もある |
| 座席クラス | 1種類のみ | 複数クラスあり(Estándar/Confort/Preferenteなど) |
| 無料手荷物 | 2個(小型バッグ+キャビンサイズ) | 3個(合計25kgまで) |
| 車内サービス | 車内販売なし(自販機のみ) | 一部列車にカフェテリアやワゴンサービスあり |
| 運行区間 | マドリード ⇄ ガリシア/アンダルシア/バレンシア など | マドリード ⇄ ガリシア/バルセロナ/アンダルシア/バレンシア/アリカンテ など |
AVLOを選ぶべき人・選ばない方がよい人
AVLOが向いている人
- とにかく運賃を抑えたい
- 荷物が多くない(機内持ち込みサイズ+小さなバッグ程度)
- 食事や飲み物は自分で用意できる
- 座席クラスの選択肢が1つでも問題ない
AVEの方が向いている人
- 荷物が多い/大きなスーツケースが複数ある
- 少し料金が高くても、座席クラスやサービスを選びたい
- ビジネス利用などで、より静か・快適な環境を重視したい
【体験記】サンティアゴ→マドリード AVLO乗車レポート
2025年11月下旬に、サンティアゴ発マドリード・チャマルティン行きAVLO(Tarifa Básica)に乗車しました。ここでは、駅での流れから車内の雰囲気まで、これから利用する方がイメージしやすいよう時系列でまとめます。
1. サンティアゴ駅での流れ
Renfeからの案内メールには「出発30分前までに駅へ」と記載があります。実際に出発30分前に到着したところ、すでに荷物検査前には10〜15人ほどの列ができていました。荷物検査もあるため、少なくとも30分前の到着を目安にすると安心です。
サンティアゴ駅のAVLO改札は1か所で、列車ごとに「Accesso A/B/C」とレーンが分かれています。サンティアゴ駅には自動改札機はなく、係員にQRコードを提示して読み取ってもらう方式です。荷物はX線検査機に通しますが、空港のようにパソコンを出したり液体を分けたりする必要はありません。
荷物検査を通過してからホームまでは、徒歩1〜2分ほどの距離です。駅構内はそれほど広くないので、検査を抜けてから慌てる場面はほとんどありませんでした。
2. 乗車時の様子と混雑状況
- スペインのホームには、日本のような「車両位置表示」がないため、列車到着後に自分の号車を探して移動します。
- 先に降りる乗客を待ってから乗るのが一般的で、きちんとした一列の行列ができるわけではありません。
- 11月末の平日に乗車した際は、座席はかなり埋まっていましたが、車内が極端に混み合う印象はありませんでした。
- スーツケース置き場は各車両の出入口付近にありますが、途中駅から乗る場合はすでに大きな荷物で埋まっていることもあります。荷物スペースを確保したい場合は、始発駅から乗るか、早めに乗車するのがおすすめです。
3. 車内の雰囲気と車窓の景色
- 乗客層は、家族連れ、旅行者、ビジネス利用などさまざまです。ひとり旅の乗客も多く、全体として落ち着いた雰囲気でした。
- 友人同士のグループが会話をしている車両もありますが、声が響きすぎる印象はなく、通常の移動中の雑談程度です。
- Wi-Fiはスマホ・PCともに問題なく接続できましたが、トンネルが続く区間では一時的に接続が途切れます。
- ガリシア区間では森や谷を抜ける車窓が続き、その後サモーラ付近では平原の景色に変わっていきます。
4. 到着までの全体的な印象
- 走行中の揺れは大きくなく、3時間前後の移動であれば座って過ごす分には十分快適でした。
- 座面スライド式のリクライニングは角度が控えめですが、足元のスペースに余裕があるため、姿勢を変えながら過ごすことができます。
- 足元のフットレストはやや高めの位置にあり、身長によっては使用しない方が楽に感じる場合もあります。
- 利用した列車はサンティアゴを定刻に出発し、途中でしばらく停車した影響で、マドリード・チャマルティン駅には約5分遅れで到着しました。
- 車内販売はなく自動販売機のみのため、時間帯によってはボカディージョなどの軽食を事前に用意しておくと安心です。
まとめ|AVLOは「安く・シンプルに」高速列車で移動したい人向け
AVLOは、必要なサービスだけを追加するスタイルの「格安高速列車」です。荷物ルールと座席指定の有無は、予約前に必ず確認しておきましょう。
AVLOとAVEの価格は、プロモーションや時間帯によって逆転することもあります。どちらを選ぶか迷ったら、まずは高速列車4社の比較記事で全体像を確認し、そのうえでルートと予算に合う方を選ぶのがおすすめです。
▼ 予約やチケット購入が不安な方はこちら