私がマダニのリスクを意識したのは、数年前の夏のことでした。
子供たちが参加していたサマーキャンプの途中で、親子が集まる機会があった時のことです。
久しぶりに会う子供たちの口から「今日、マダニ(Garrapata)が見つかったんだよ」という言葉が飛び出しました。
その瞬間、周囲にいたスペイン人の親たちの表情が一変。
一方で、私は「Garrapata?」となりました(;^_^A
『ワイルド』なサマーキャンプと分かって子供達を送っていましたが、帰りの車の中で夫が『真面目な問題だぞ。病気に感染したらどうするんだ!』と怒っていたのをよく覚えています。
2024年、大学で開催された巡礼講座の中で巡礼路とマダニの研究がされていると聞きました。
その後、そのレポートが手に入ったので、中身を日本語でまとめてみることにしました。
カミーノのリアルな知識として参考にしていただければと思います。
最新研究で判明した「フランス人の道」のリスクエリア
サンティアゴ巡礼路は、アスファルトの道を歩く事もありますが、多くは森林地帯を通ります。
今回の調査は、フランス人の道のガリシア州内(オ・セブレイロ〜サンティアゴ間)を対象となり、次の事実が分かりました。
最も多く見られたマダニは「シュルツェマダニ(Ixodes ricinus)」。
この種はヨーロッパにおいてライム病を媒介する主要な種であり、ガリシアの湿潤な気候と森林環境に完全に適応していることが改めて裏付けられたとレポートは伝えています。
また、特に O Cebreiro(オ・セブレイロ)から Sarria(サリア)にかけての区間でマダニの密度が非常に高いことが確認されました。
このエリアは標高が高く、湿度の高い森林や牧草地が多いので、マダニの生息に非常に適しているという事です。
マダニの採取には、巡礼者が通りやすく、かつ環境的にマダニが生息しやすい「通路」や「休憩エリア」を選んだそうですが、調べた結果、巡礼者が休憩する大きな記念碑などの周辺よりも、その道中の草むらや低い木々が茂る場所に多く潜んでいることも分かりました。
ふかふかの草の上でバックパックを下ろして一休み……という何気ない行動が、実はリスクが高いといえます。
「24時間以内」のチェックが重要な理由
マダニを恐れる最大の理由は、ライム病などの感染症です。
今回の調査でも、捕獲されたマダニから高い確率で原因菌が検出されています。
しかし、ここで大事なのは過度に怖がるのではなく、万が一あなたが遭遇した時にどういう対処ができるかということです。
マダニが菌を伝播させるには、吸血を始めてから通常24時間から48時間以上かかるとされています。
つまり、「その日のうちに発見して、正しく取り除くこと」ができれば、感染のリスクは劇的に抑えられるます。
現に、子供達が参加したサマーキャンプでも毎日モニターさんがチェックしていました。(苦笑)
マダニの吸血は痛みがありません。だからこそ、自分の目によるチェックが唯一の防御手段になります。
巡礼者のための「マダニ対策3点セット」
そもそも寄せ付けないために
我が家には、夫が買った蚊やマダニ対策のスプレーが我が家にあります。

私が言うのもなんですが、超強力そうだけどこういう製品は日本語で使い方とか注意事項がサッと読める方が良くないですか?
最初の防御として、まずは寄せ付けないようにスプレーを。トコジラミ対策もできるのでこれは1本で2機能!
服の上から足元を中心にスプレーしておくとよいでしょう。
噛まれた時の命綱:
私は知らなかったのですが、もし噛まれているのを見つけても、指で潰したり無理に引き抜いたらダメなんですね。
頭部が皮膚の中に残り、かえって感染リスクを高めてしまいます。レポートでも推奨していましたが、「専用の道具」をバックパックに忍ばせておきましょう。ピンセットですから軽量で場所も取りません。
早期発見のための工夫
調査時に見つかったマダニの個体の大半が「若虫」と「幼虫」だったそうです。
これらは非常に小さく、巡礼者が噛まれても気づきにくいため、感染リスクを高める要因となるそうです。
小さいマダニは、黒いズボンや靴下の上では見つけるのが困難です。明るい色のウェアを選んでおくのもひとつの工夫となりますね。
最後に:正しい知は、最高の装備になる
ガリシアの道は、世界中の巡礼者を魅了する素晴らしい場所です。私は何度も歩いていますが、現時点で被害にあったことはありません。
マダニよりも南京虫の方が、正直深刻だと私は考えています。(経験者)
今回あえて「マダニ」という少し怖いテーマを扱ったのは、皆さんに怖がってほしいからではありません。
私の子供たちのサマーキャンプの例ではないですが、リスクを正しく知り、適切な道具を持って対処すれば問題ありません。
大事なのはそういうリスクがあると知っておけば、現地で冷静に素早く対応できということ。
「知識」というもう一つの装備を持って、どうぞ最高の巡礼の旅を楽しんでください。
Buen Camino!
最後まで読んで下さりありがとうございました。