マドリードからバスでわずか50分。そこには「スペインで最も美しい村」の一つ、チンチョン(Chinchón)があります。
今回は、北スペインと南スペインに住む家族が1年に1回集まる「家族会議」のために、この村を訪れました。
ガリシアから車を走らせること、実に680km。
ようやくたどり着き、目の前にあのマヨール広場が広がった瞬間、「あぁ、来てよかった!」、長旅の疲れが一度に吹き飛ぶような感覚に包まれました。
人が少なくなった夜、静かな広場を味わう贅沢
チンチョンはマドリードからの日帰り観光の定番かと思いますが、宿泊して良かったと思う点は、日中賑やかだった広場から人がほとんどいなくなり、とても静かになった夜の風景に出会えたことです。
3月中旬、灯りがともった静かな広場を眺めながら過ごした時間は、遠くから集まった家族との大切な思い出になりました。
広場の真ん中にある立派な街灯を眺めながら、地元のウェイターさんが教えてくれた裏話も印象的です。

「この街灯、闘牛の時は邪魔になるから、取り外すんだよ」
そんなちょっとした対話も、宿泊してゆっくりとした時間の中に身を置いていたからこそ得られた、この街の素顔です。
主要スポットは「日帰り」でも。でもそこには、巨匠ゴヤの兄がいました

村自体はとてもコンパクト。旧洗濯場(Lavadero)や、村の歴史を紐解く民族博物館、そして巨匠ゴヤの傑作『聖母被昇天(La Asunción de la Virgen)』が拝めるアスンシオン聖母教会(入場料50セント)など、主要な見どころを回るだけなら日帰りでも十分可能です。
ちなみに、なぜこの小さな村の教会にゴヤの絵があるのか、不思議に思いませんか?
実は、ゴヤの弟であるカミロ・ゴヤがこの教会の司祭を務めていたという深い縁があるのです。
弟の依頼を受け、ゴヤはこの絵を寄贈しました。
【2026年3月最新】修復中の「時計の塔」
チンチョンのシンボルである「時計の塔(Torre del Reloj)」。現在は工事中のため、残念ながら中に入ることはできません。
「外観だけでも……」と思って足を運びましたが、私が訪れた時はあいにく全体が工事用のシートで覆われていました。
少し寂しい光景ではありましたが、あなたが行く頃には、美しく修復された塔が青空に映えていることを願っています!
「一泊」という贅沢。オリーブ畑を歩き、パラドールでお茶を楽しむ

もしあなたがこの村に一泊するなら、翌朝は少しだけ早起きして、村の周辺に広がるハイキングルートへ足を伸ばしてみてください。
都会の喧騒を離れ、オリーブの木々を眺めながら自分の足で土を踏み、澄んだ村の空気を深く吸い込む。
そんなひとときは、時間に追われる日帰り旅ではなかなか味わえない贅沢な過ごし方です。
散歩から市内に戻ってきたら旧修道院を改装したパラドールのパティオで一休みするのもいいですね。

宿泊者以外でも、静かな中庭でお茶を楽しみながら、村の長い歴史に思いを馳せることができます。
修道女の作るお菓子を買って食べるのもありです。
今回、惜しくも断念しましたが、家族の間で最後まで迷っていたのが近郊のワイナリー見学です。
ガリシアに住む側の視点:物価とお買い物
ガリシアに住んでいる私からすると、正直なところ、チンチョンは小さな村とは言えマドリードから近いゆえに高いなと感じました。
お昼に22€のメニューのお店で食べたのですが、ガリシアならこれだけ出せばもっと美味しいものが食べられるのに……!
なんて、つい本音が出てしまうことも(笑)。
中心広場にはお土産ものなども買えますが、中心地から少し離れたお店や市場を覗いてみてください。
私はそこで、チンチョン特産品ニンニクの袋を2.5€で買いました。
日本から来る方には全くいいお土産情報ではないですが、普段買っているニンニクより大きくて美味しいです。
国家観光関心行事に指定される、伝統の熱狂
今回は静かな時期の訪問でしたが、この村は季節によって全く違う表情を見せます。
以下の二つのお祭りは、どちらもスペインの「国家観光関心行事」に指定されている非常に格式高いものです。
- セマナ・サンタ(聖週間): 聖土曜日の夜に行われる受難劇「Pasión Viviente」では、250人以上の村人が出演し、街全体が巨大な劇場と化します。
- 8月の守護聖人祭: 8月15・16日を中心に行われるこの祭りでは、あのマヨール広場が砂を敷き詰められた闘牛場へと姿を変えます。最終日には、聖人に捧げられた品々を競りにかける中世からの習慣「アルモネダ(Almoneda)」が行われます。
セマナサンタの受難劇をYoutubeで見ましたが、これは実際に見てみたいと思いました。この劇を見るためにスペインの各地はもちろん、ヨーロッパから人が来るのもうなづけます。
最後に: 効率よくマドリード周辺を巡りたい方へ
私は今回、家族会議ということで宿泊するスタイルでしたが、「時は金なり」という旅のスタイルももちろんあります。
マドリード周辺には、チンチョン以外にも世界遺産のアランフエスや、歴史あるワイナリーなど魅力的なスポットが点在しています。
個人でバスを乗り継ぐのが不安、1日で効率よく複数の町を回りたい、外国の人と一緒に回ってみるのもいいなという方は、現地ツアーを利用するのも賢い選択です。
※日本語で予約でき、キャンセル規定も分かりやすいので、スケジュールの調整に便利です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。