この記事では、スペインのサンタクロースや各地方で語り継がれるクリスマスの人物について紹介します。
スペインでクリスマスにプレゼントを持ってくるのはキリスト教に関係するある人物。
サンタクロースが定着した今でも、その伝統は強く、スペインの全国的な祝日になっています。
また、各地方限定でクリスマスの時期に登場する人物がいます。
サンタクロースに対抗して地元サンタとして復活、または新しく創造する地方もありますので、順番に説明していきたいと思います。
それでは、スペイン版サンタクロースから見ていきましょう。
スペイン版サンタクロース「レイジェス・マゴス」
新約聖書によると、レジェス・マゴス(Reyes Magos)は、星に導かれ、馬小屋で誕生したイエス・キリストに礼拝した人物です。
イエス誕生の祝い、3つの贈り物(黄金、乳香、没薬)をしたと伝えられています。
19世紀から、クリスマスの最終日である1月6日の前夜に、レジェス・マゴスが子供たちへプレゼントを運んでくるとされ、にぎやかな行列を行う習慣が始まりました。
東方の三博士の名前と外見的特徴
- 白いひげのメルチョール(Melchor)
- 栗色(または赤毛)のひげのガスパール(Gaspar)
- 黒人の若いバルタサール(Baltasar)
となっているのですが…
レジェス・マゴスについて触れているマタイの福音書では、東方から来た博士たち(Reyes Magos de Oriente)との記述のみで、人数や人種、名前などを明らかにしていません。
先ほど説明した贈り物の数や三位一体説から3人になったのではないかと言われています。
1月5日の夕方、スペインの各地で3人のレジェスを乗せた車が通るパレードが行われ、パレード中に車から投げられる飴を拾います。
いい子にしていなかった子へに送るプレゼントとは?
と子供に言ったことがあるお母さんは多いと思いますが、レイジェスは1年を通してよい子にしていなかった子供に変わったプレゼントを贈ります。
それは何かというと…
石炭です。
石炭を贈る理由としては諸説ありますが、東方の三博士がイエスに送った黄金、乳香、没薬を燃やした後に残る灰を象徴。
ネガティブな贈り物を表しているとのことです。
ガリシア地方のサンタクロース「O Apalpador」とは?
出典: https://rumboagalicia.files.wordpress.com/
オ・アパルパドール(以下、アパルパドールと表記)と呼ばれるのは、ガリシア州ルーゴ県東部の山の村々で語り継がれた人物です。
べレー帽をかぶり、古くて継ぎはぎのあるコートを着た大男。
普段は山で石炭を作っていますが、秋になると栗を拾い集めます。
12月24日と31日の夜に村へ降りてきて、子供部屋に忍び込み、寝ている子供たちのおなかをさすります。
子供たちがおなかがいっぱいになるまでごはんを食べたかどうかを確認するためです。
お腹をチェックした後に、手一握りの栗とプレゼントを残し、子供たちが幸福と食べ物に恵まれた新年を送れるように願ってくれます。
バスク地方の「Olentzero」とは?
出典: https://img.over-blog-kiwi.com
Olentzero(オレンツェロ)は、人里離れたバスクの山に住む炭焼き職人です。
クリスマスにたくさんのプレゼントを抱えて村に降りてきます。
山に住む炭を焼く職人でベレー帽にパイプを加えているとこなど、ガリシアのオ・アパルパドールと似ています。
古くからこの地方で冬至の祝う行事に関係したとされる人物ですが、キリスト教が入ってくると、オレンツェロはイエス誕生のニュースを知らせる人物となります。
20世紀には、サンタクロースやレイジェス・マゴスの要素が加わり、クリスマスにプレゼントを持ってくる人物へと進化したそうです。
アンダルシア地方の「Tientapanzas」
アンダルシア州セビリア県にあるÉcija(エシハ)では、昔から語り継がれるTietapanzas(ティエンタパンサス)という人物がいます。
この人物も、クリスマスに寝ている子供の枕元に現れ、お腹をさすっておなか一杯食べたか確かめたというから興味深いです。
カタルーニャやアラゴン地方の「el Tió de Nadal」
Tió(ティオ)は、カタルーニャ語で木の幹を意味し、Tió de Nadalは木の幹に前足を2本つけてニッコリ顔をした薪の人形です。
12月8日から家でティオに食べ物を与え、風邪をひかないよう上から毛布を掛けて世話をするそうです。
12月24日の夜、もしくは25日に愛情を注いだ丸太に「Caga Tió(ティオ、うんちを出せ)♪」と歌いながら木でたたきます。
歌を歌った後に、薪にかけてある毛布をとると下からプレゼントが出てきます。
アストゥリアス地方のサンタクロース「L'Anguleru」
出典: https://4.bp.blogspot.com/
L'Anguleru(アングレル)は、地方に伝わる神話や習慣とは全く関係がない、アストゥリアス文化推進のために造り上げられた架空の人物です。
サルガッソ海でシラスウナギの漁に出ているアングレルは、12月24日にアストゥリアスの港に到着し、1年間いい子でたくさん勉強した子供たちにプレゼントをくれます。
2008年に誕生した新しいキャラクターですが、年を追うごとに地元に浸透。
12月1日になるとAnguleruあてに書いた手紙を入れる郵便ポストが設置されるということです。
まとめ
- スペインでは、イエスキリストの誕生時に訪れた東方の三博士が子供たちにプレゼントを持ってくる。
- レイジェス・マゴスやサンタクロースの他に、クリスマスにプレゼントを持ってくる地方のキャラクターが存在。
- 昔からの伝統を住民が復活させたケースや独自のキャラクターを作り上げたケースもある。
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