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子育て・教育

13歳の息子を日本にひとり母の家ではなく『ネギ農家』へ送る理由

2026年5月19日

Itsuko Horiサンティアゴ在住ガリシア州行員ガイドプロフィール画像

いつこ

多くの巡礼者が目指すゴール、サンティアゴ・デ・コンポステラ在住。スペインガリシア州公認ガイド。観光学修士(Master)としての知識と現地在住者ならではの視点を活かし、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」を発信中。 年間100名以上の日本人巡礼者を聖地へご案内しています。

せっかく、ふたつの文化を根っこに持って生まれてきた私の子供達。

スペインに住んでいても、日本の根っこは絶やしたくない。

でも、現実はそんな簡単じゃない。

国際結婚カップルの子供がさらっとバイリンガルにはならない。

親になったから分かる。親の努力が大きい。

だから正直に言います。私はだめな母親です。

5年前に始めたオンライン継承日本語クラスは、息子が「やりたくない」と言って、やめている。

私自身も仕事に追われて、毎日コツコツ日本語を教えるなんて、ぜんぜんできていない。

ネットフリックスでアニメを見せる、日本語で話すぐらい…。

日本語教育ママじゃないし、そんなふうにはなれない。

それでも、ひとつだけ手放さなかったことがある。

諦めない」——それだけ。

形は変えてもいい。

ペースは落ちてもいい。

休む時期があってもいい。

ただ、終わらせない。

その「諦めない」の、今年の形が今日の話。

13歳(8月で14歳)の息子を1ヶ月、母の家ではなく、農家のお宅へ預けることにしました。

息子はもちろん、私もワクワクが先行している。

なぜネギ農家だったのか。

今日は、そのことを書いておきたいと思います。

「年1回の帰省」では届かない場所があった

我が家はこれまで、1年に1回の一時帰国を目標にしてきました。

千葉にいるおじいちゃん・おばあちゃんに会い、東京や関西に出て、日本のお友達と過ごす。

子供達にとって、それは間違いなく大切な時間でした。

でも—いつもそばに、私かパパがいる。

パパがいると自然とスペイン語になるしね…。

これまではそれでも良かった。

でも、結果として、子供達が「自分で話さなければいけない瞬間」は、限られてしまう。

もっと、日本語だけの環境に。

そして、親が横にいない場所に。

まずは、息子からひとりで日本に送ろう…そこから、色んなオプションを考えました。

① 母の家に滞在

おばあちゃん(私の母)との関係は良好です。

ただ、母も普段は仕事やダンスなどの活動で忙しい。

2、3日なら預けられても、私がいない状態で1ヶ月は、お互いに無理—いうのが、正直な現実でした。

② サマースクール

日本の学校に通いたいが、これは色々ハードルが高い。

スペインでは子供向けのサマースクールやサマーキャンプが一般的な選択肢としてあるので、探してみた。

ただし日程が短いし、料金がたかい。

1ヶ月単位で滞在できる、現実的なプログラムには出会えませんでした。

③ ファームステイ

次に検討したのが、ファームステイ(農家民泊)

北海道から九州まで含めて…いろいろ調べましたね。

当時、相談に乗ってくれた方、ありがとうございました。

ただ、現実問題、ガチのファームステイでは13歳の息子は十分な働き手とはならない。

親がいればいけるところもあるが、私は子供をひとりでおくりたい。

「ここだ」とピンと来る場所もなかった。

なぜ「埼玉の農家」だったか

ある日、ちょっと冷静に考えてみてあることに気がつきました。

「何かあった時に、おばあちゃんが簡単に駆けつけられない地方は、リスクが高すぎる」

体調を崩したら、トラブルがあったら—その時に息子や私が信頼できる大人が遠くにいるのはまずい。

千葉に住む母が、いざとなれば駆けつけられる範囲じゃないとだめだ。

そこで、条件を関東圏に絞りました。

その瞬間、ある場所を思い出しました。

カミーノがくれたご縁は埼玉県

日本の四国巡礼、サイクリングツーリズムのプロジェクトチームをガリシアでアテンドした時に知り合った学さん

その後、埼玉県小川町のファムトリップ(旅行業者向けの視察旅行)に参加させていただくことになりました。

東京から電車で1時間という近さにありながら、日本の田舎の風景がそのまま残っている。

和歌山の田舎を思い出しましたね。

和紙や日本酒、農業と小川町の自然と共存しながら伝統や食文化を守っている人たちと出会いました。

移住して住んでいる若い人たちが経営する素敵なお店もあって、私の知っている田舎の町のイメージとは違ってました。

息子にもあの風景を見せたい

そう思った私は、学さんに今回の相談をしました。

「それだったら絶対」

と即答で勧めてくれたのが、小川町のすぐ近く・鳩山町でネギをメインに栽培されている飯島さんご夫婦でした。

飯島さんご夫婦との出会い

ちはるファームを運営されている飯島さん夫妻は、元々アパレルやメディアのお仕事の経験の後に、農業を勉強して始められている。

さらに、里親活動もされているというのだ。

この方にお願いできたら…。

学さんを通して事情を伝えたところ、快く受け入れを承諾してくださいました

そのあと、学さん・飯島さんご夫婦・私と息子でZoomミーティングを持ちました。

お話をしているうちに、このご夫婦に息子を送れるなんて幸運すぎると思いました。

Zoomで聞いた「朝4時起き」、それでも息子は

Zoomミーティングの中で、飯島さんがこう教えてくださいました。

「夏の日本、特に鳩山町は本当に暑いから、朝4時に起きて作業するんですよ。」

Zoomが終わったあと、私は息子に聞きました。

「飯島さんは朝4時起きだって。お手伝いできる?お手伝いしたい?」

息子は—「うん!」と即答でした。

本当に起きられるのか… 正直、半信半疑です。

でも、やってみたいという息子の前向きな態度を見たとき

「これはもう、絶対に今、送らなきゃダメだ」

そう、心の底から再確認した瞬間でした。

このあと、どうなるか

滞在中は、ネギ栽培のお手伝いに加えて、息子の希望で町の学校も見学したいとか無茶なお願いをしていますが—

彼が一番楽しみにしているのは、スペインと日本が出るワールドカップの試合を見ること(笑)

まぁ、それでもいい。

日本の生活の中で、日本の事情や暮らしの姿を、子どもなりの視線で学んでほしい

夏の1ヶ月、日本の暑さと戦いながら息子は何を見て、何を感じてくるのか。

ワクワクしかない。

シリーズ:13歳の息子、ひとり日本へ
  • ▶ 今読んでいる記事 ① なぜ祖母の家ではなく農家に?【WHY編】
  • ② 航空券と未成年出国許可【HOW編】(6月公開予定)
  • ③ 海外で使える未成年カードと送金【MONEY編】(6月公開予定)
  • ④ 滞在中レポート(7月中下旬)
  • ⑤ 帰国後・親子で振り返る(8月中旬)

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堀いつこ

ガリシア州公認ガイド:堀 いつこ

Santiago de Compostela 在住

観光学修士(Master)としての専門知識と、現地在住者ならではの視点を掛け合わせ、ガイドブックには載らない「本当のガリシア」をお届けしています。年間100名以上の日本人巡礼者をご案内する経験から、現地の最新事情に基づいた旅のプランニングをサポートします。

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