バスク地方の旅といえば、美食の街サン・セバスティアンや、ビルバオを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、その二大都市に引けを取らない、豊かで落ち着いた魅力を持つ街があります。
それがバスク自治州の州都、ビトリア(ビトリア=ガステイス)です。
「欧州グリーン首都」にも選ばれたこの街は、中世の面影を残す「アーモンド型」の旧市街の中に歴史や美食といったテーマを楽しむポイントがコンパクトに集まっていて歩きやすいなと思いました。
正直、ガリシアとは全く違う別の国だな…といい意味でこの街の滞在を楽しみました。
今回は、実際に私が歩いて感じたビトリアの「絶対に外せない見どころ」を、公認ガイドの視点を交えてご紹介します。
バスクの州都は、世界が認める「緑の都」
「欧州グリーン都市(欧州グリーン首都賞)」とは、EUが環境対策、生活の質向上、持続可能な都市開発において、優れた成果を上げている都市を毎年1つ選出し表彰する制度で、ビトリアは2012年に受賞しています。
政治・行政の中心地としての気品がありながら、都会の喧騒を感じさせないゆとりがあります。
コンパクトな街並みの中に、歴史と自然が凝縮されているのがビトリアの最大の魅力です。
旧市街は丘の上に広がっていますが、便利な「屋外エスカレーター」が各所に設置されています。
サンティアゴの旧市街も坂が多いですが、ビトリアはエスカレーターのおかげで楽に歩けていいなと思いました。
歴史を五感で知る。ビトリアの主要スポット
ビトリアを深く知るために欠かせない、象徴的な場所をチェックしましょう。
対照的な美しさ「新旧二つの大聖堂」

- サンタ・マリア大聖堂(旧大聖堂): 「工事中」の現場そのものを公開するという逆転の発想で世界を驚かせた場所。他の大聖堂の見学ツアーはとは違いおすすめす。
- マリア・インマクラダ大聖堂(新大聖堂): 新市街に位置する、圧倒的なスケールを誇るネオ・ゴシック様式の大聖堂。
Bibat(ビバット)博物館

世界的なトランプメーカー「フルニエ」の本拠地ならではの「トランプ博物館」は、世界でも類を見ないコレクション。
日本の「かるた」も発見できますよ。
現代史を刻む「テロ被害者メモリアルセンター」
スペインの現代史を語る上で避けて通れないETAの歴史を伝える場所。私が1997年と2004年に目撃した記憶と交差する、深い意味を持つ施設です。
街を彩る「壁画アート」と「サンティアゴ巡礼の道」

足元に目を向けると「ホタテ貝」のマークを見つけることができます。
実はビトリアは、聖地へと続く「サンティアゴ巡礼のバスクの道」の重要な拠点。
ビトリアの旧市街(巡礼路も含め)を歩いていると、突如として巨大な壁画を見ることができます。
アートと巡礼を同時に楽しみながら旧市街の散策を楽しまれてはいかがでしょうか?
美食の熱気と「ビルヘン・ブランカ祭」

美食の国バスク、もちろんビトリアも例外ではありません。
- クチジェリア通り(Calle de la Cuchillería): 週末ともなれば、地元の人々で溢れかえる伝説のバル通り。
- アバストス市場: 新鮮な食材が並び、ガストロノミーを気軽に楽しめる「ビトリアの台所」。
そして一年で最も街が熱狂するのが、毎年8月4日から始まる「ビルヘン・ブランカ祭」。
広場を埋め尽くす人々の頭上を「セレドン」が舞い降りる瞬間、ビトリアのボルテージは最高潮に達します。
公認ガイドからのアドバイス:なぜ「1泊」するべきなのか?
ビトリアはコンパクトな街ですが、半日で駆け抜けるにはあまりにも見どころが多すぎます。夜のバル通りの喧騒、ライトアップされた静かな旧市街、そして朝の清々しい巡礼の道……。
この街の本当の良さを味わうなら、ぜひ1泊してゆっくりと「アーモンドの街」に溶け込んでみてください。
おわりに:あなたの歩行を物語に変える「準備」を
ビトリアは、知れば知るほど、歩けば歩くほど奥が深い街です。
「ただ歩くだけではもったいない」——そんな想いから、現在、公認ガイドの視点で街のストーリーを語る「ビトリア・オーディオガイド」を準備中です。
壁画の裏に隠された市民の想い、巡礼路のディテール、そして祭りの由来……。
短い滞在時間でも、耳から入る情報で旅の質が劇的に変わる体験をお届けしたいと考えています。
アップデートし続ける「成長するガイドブック」。
完成を楽しみに!