この記事では、スペインの教育制度や学校生活について次の点を紹介します。
- 就学前から高校までのスペインの学校制度
- 特に小学校就学前(0~6歳まで)や小学校事情
- スペインで子供が3歳から小学校へ通う理由
- スペインの学校の種類や授業料の違い
- 学校の時間割や休日
スペインの学校制度一覧
下の図は、スペイン教育・文化・スポーツ省の情報を参考に幼児期から高校卒業までの流れを示しています。
学年(Curso) | 年齢(Edad) | |
---|---|---|
幼児教育 Educacion infantil |
1段階 | 0-3 |
2段階 | 3-6 | |
小学校 Educacion primaria |
1年 | 6-7 |
2年 | 7-8 | |
3年 | 8-9 | |
4年 | 9-10 | |
5年 | 10-11 | |
6年 | 11-12 | |
中学校
Educacion secundaria |
1年 | 12-13 |
2年 | 13-14 | |
3年 | 14-15 | |
4年 | 15-16 | |
高校
Bachillerato |
1年 | 16-17 |
2年 | 17-18 |
スペインの就学前教育
就学前教育を『エドゥカシオン・インファンティル』と呼び、下記2段階に分けられます。
Guardería(グアルデリア)
0~3歳児が通う幼稚園
Escuela Infantil(エスクエラ・インファンティル)
3~6歳児が通う幼児学校
幼稚園・幼児学校ともに義務教育ではありませんが、幼児学校の授業は、小学校の建物の中で行われます。
授業は各クラスで行いますが、休憩時間で小学校の生徒と交流したり、学校生活の習慣を身につけることができます。
幼稚園から小学校への変化やギャップに困るということが少ないと言えますが、日本のような入学式もないので味気ないという印象もあります。
大半の子供が3歳で幼児学校へ行く理由
サンティアゴでは、多言語教育で子供の創造性を伸ばす魅力的な学習プログラムがある2~6歳児までを対象とした幼稚園があります。
そういった幼稚園へ通う子もいますが、大半の子供が幼児学校へ行く理由は、希望する小学校への入学を確実にするためです。
各学校の定員を超えた応募があった場合、親の仕事場や家族構成といった受け入れの優先条件を満たす必要があります。
こういった理由から、義務教育でなくても小学校の中に属する幼児学校へ入学させます。
スペインの小学校の入学手続きや学校選びで親が犯しやすい間違いを紹介した記事がありますので、宜しければ是非!
スペインの学校の種類と授業料の違い
スペインの小学校は、下記3つのカテゴリーに分けられます。
- コレヒオ・プブリコ(公立学校)
- コレヒオ・プリバード(私立学校)
- コレヒオ・コンセルタード(半私立学校)
私立学校は自由な学校運営ができますが、コンセルタードは州政府からかなりの補助金を受け取っているので、
州政府が定める学校の規定(1クラスあたりの人数や年間スケジュールの日程など)を尊重している
半公立・半私立という特徴を持っています。
授業料の違い
公立は無償、私立と半私立学校は毎月授業料がかかります。
私が住むサンティアゴのケースですが、半私立学校では学校によって月30€(約4,000円)~50€(約6,000円)かかります。
英才教育で有名なある私立学校は、授業料や食堂利用費など毎月学生ひとりあたり最低600€かかります。
政府の補助金を受けている半私立は私立よりも大分安いことが分かりますよね。
学年の分け方や入学の時期
日本 | スペイン |
---|---|
学年の分け方 | |
4月~3月 4月2日~翌年4月1日生まれの生徒が同じ学年 |
1~12月 |
入学の時期 | |
4月 入学式は学校の主要な行事 |
9月 入学式はない |
日本では4月~3月で学年を分けるのに対し、スペインは1月~12月。
私の娘は11月末生まれのため、幼児学校に入学した時点でまだ2歳だったので、学校から出てきて疲れて寝てしまう事もしばしばありました。
入学時、まだおむつが取れていない子がいたり、遊びに夢中になって教室でお漏らししてしまう子も実際にいます。
スペインで小学校を探している時、ある事実を知って親としてちょっと戸惑ったことがありました。
スペインの小学校選びの体験から学んだ事をまとめた記事で紹介していますので、合わせてお読みください。
-
スペインで小学校の入学手続きは難しい?学校選びの4つの間違いとは?
続きを見る
学校の時間割
時間割には、2つのタイプがあります。
- ホルナーダ・コンティヌア(Jornada continua)
- ホルナーダ・パルティーダ(Jornada partida)
コンティヌアは午前中(9時~14時)で授業が終わる一方、パルティーダはお昼を挟み午前と午後で授業が行われます。
子供が通う小学校は、午前と午後で分かれるタイプですが、カスティーリャ・イ・レオン州で教師をしていた知り合いに、
と、言われました。
自治州によって状況が違うかもしれません。
年間のスケジュール、授業日数と休日
授業の開始日や授業日数など、自治州で若干の違いがありますが、下記の通りです。
- 3学期制
- 学校は9月10日前後に開始、6月20日前後に終了
- 授業日数は約176日
- バケーションの時期は、イースター・夏休み・クリスマス
- クリスマスやイースター休暇は約2週間
- 夏休みはなんと2か月半!!
と、共働きの家庭ではちょっと想像できませんよね?
スペインの学校の祝日について説明した記事がありますので、是非合わせてお読み下さい。
英語やプログラミング教育
日本では、2020年度から小学校の3・4年で英語の授業を年35時間導入することが決まりました。
自分が小学生の時、5年生から英語の授業が始まったのを覚えていますが、2019年まで同じ状態だったと知って逆に驚きました。
スペインの学校では、幼児学校の段階から英語の授業があり、それは別に珍しいことではありません。
また、日本とスペインのプログラミング教育について詳しく書いた記事がありますので、合わせてお読みください。
-
プログラミング教育スペインでは小学校何年生から?日本との違いは?
続きを見る
スペインの給食
スペインの場合、日本のようにクラスの生徒全員で一緒に食べません。
先ほど説明した午前と午後で授業がある学校では、
- 学校に残って給食を食べる子
- 一旦、家でお昼を食べてから再び学校へ戻る子
と分かれます。
親が子供を学校まで送り迎えするのが普通ですので、家でお昼を食べる子供の親は…
送迎の流れ
- 朝、子供と学校まで行く
- 午前の授業から出てくる子供をピックアップ
- 昼食後、子供と学校へ戻る
- 午後の授業が終わる頃に、再び子供をお迎え
と、1日に何度も学校へ行くことになります。
日本の感覚ではちょっとあり得ないと思いますが、私の息子は日本で子供たちだけで学校へ通うのを見てびっくりしていました。
まとめ
- スペインの小中高は、6・4・2年制。
- 就学前の3~5歳までの子供の大半は、幼児学校へ行く。
- 幼児学校は小学校の一部になっているので、スペインでは3歳から小学校へ行く。
- 義務教育でない幼児学校へ通わせる一番の理由は、希望の小学校での籍を確保するため。
- スペインでは、公立・私立・半私立学校の3つがある。
- スペインの学齢の分け方は、1~12月。
- 時間割は、午前中で全ての授業が終わる場合と午前と午後で授業を分ける場合がある。
- 給食は、選択制。
ハーフは簡単に日本語を覚えるの?
-
海外で子供の日本語教育に迷走する私に起こった変化や学び
続きを見る
最後まで読んで頂きありがとうございました。