サンティアゴ大聖堂栄光の門の設計者は?元正門の彫刻像とフランコの関係は?

中世時代の大聖堂西の正門

昨年、当ブログのフェイスブックページでお知らせした展示会「Descubriendo La catedral MAESTRO MATEO」覚えていらっしゃる方はいますでしょうか??

 

MAESTRO MATEOとは、大聖堂の建築にかかわった重要な建築家/彫刻家で栄光の門の設計者です。彼の作品が見れる展示会なんですが、「展示会のポスターの印象では昔の彫刻を見るだけなんじゃない?」と思った方がいたら、ちょっと鋭いです(笑)。

 

石の彫刻の横にちょっとした説明文があるだけですので、個人で展示会を訪れても実際にはよくわからないなとスルーする人がいてもおかしくないと思います。

 

専門家による説明を聞くことができれば非常に価値のある展示会と感じるのですが、訪れた人にそれが伝わる展示方法に必ずしもなっていないので勿体ないという印象を受けましたので、展示会の鑑賞のポイントを少しご紹介します。

 

サンティアゴ大聖堂にある栄光の門の設計者マエストロ・マテオの紹介、展示会の内容と出品作品の一部とスペインの独裁者フランコの関係についてもお話しますので最後までお付き合い下さい。

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冒頭でも伝えたように、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の工事に携わった建築家の中で重要な人物のひとりが、Maestro Mateo(マエストロ・マテオ)です。日本語では巨匠・名工マテオなどと訳されます。

 

マテオに関する歴史的資料は少なく、出身地についても色々説がありますが、確かなことはわかりません。

 

1168年2月23日、フェルナンド2世が大聖堂の西側部分の完成させるようにマテオに終身年金を与えると署名した書類が現在分かっているマテオに関する最初の歴史的資料です。

 

大聖堂の工事期間は1075~1211年までの136年。実際、フェルナンド2世の署名で正式に工事の責任者に任命される前からマテオが大聖堂の仕事に関係していたとしても、1211年までの大聖堂建築期間の後半部分になります。

 

マテオと彼の優秀な弟子達が携わった大聖堂内の作品は上記の4つです。今回の展示会の作品を理解するためのエピローグとして簡単に説明します。

 

地下聖堂(Cripta)

地下聖堂(または古い大聖堂の名前でも知られる)は、教会とオブラドイロ広場の土地の高低差を是正するために建てられましたが、同時に上部に作られた栄光の門の支えにもなっています。

 

栄光の門(Portico de Gloria)

栄光の門は、12世紀から13世紀のヨーロッパ芸術移行期の最高傑作のひとつとされています。現在、工事中で見ることはできませんが、1188年4月1日にマテオはこの作品を指揮したのは自分だと明らかにするために自分の像を作って残しています。

当時の芸術様式や栄光の門については、こちらの記事も合わせてお読みください。

スペイン巡礼路に発展した美術の名前や特徴は?簡単に美術傑作を理解するポイントは?

大聖堂西側の正門

中世時代の大聖堂西の正門

 

上の絵から見てもわかるように、栄光の門がある大聖堂西側の正門はドアがなくて1日中開いた状態でした。

 

ところが、夜中でも事由に入れることで大聖堂内で起こる問題が増えてきたので、16世紀(1520年)に門を閉じる決定がされます。

 

門を閉じることで、オリジナルの正門にあった彫刻や装飾部分を移動したり壊さななくてはならなくなりました。

 

現在もある18世紀半ばに建築されたバロック様式の新正門の完成により、マテオが作った正門は完全に姿を消しました。

 

大聖堂の聖歌隊席(Coro)

マテオが作ったのは花崗岩でできた聖歌隊席です。17世紀初めに木製の聖歌隊にとってかわられます。当時の聖歌隊席のレプリカを大聖堂美術館で見ることができます。

 

大聖堂の展示会で何が見れるの?

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2018年2月23日で終了する展示会では、下記のものが見れます。

  •  フェルナンド2世署名の歴史的資料
  • 大聖堂西側の正門にあったRoseton(バラ窓)の一部
  • 大聖堂西側の正門にあった彫刻の像

 

オリジナルの大聖堂西側の正門に彫刻像が見れるというだけでも非常に貴重な機会ですが、これらの作品は普段はガリシア州ポンテべドラ県の美術館にあったり個人所有で一般にはなかなか見れない像なのです。

 

それが、展示会の開催期間にサンティアゴ大聖堂のヘルミレス宮殿で一緒に見れます。

 

展示会の作品は全てマテオによる作品?

展示会のタイトルからマテオ自身による作品かと思いがちですが、マテオもしくは彼の弟子の誰かによる作品である可能性があります。

 

昔の作品で誰によるものかハッキリとわかりませんが、展示されている像を見ると、彫刻のスタイルから3人の彫刻家が携わっていること、また3種類の違う石が使われていることが推測できます。

 

独裁者フランコが所有する像はどれ?

abraham e isaac

出典: http://www.elcorreogallego.es

 

大聖堂の展示会では写真撮影が禁止なのでプラド美術館で行われた企画展での画像になりますが、上記2つの彫刻像です。

 

左側がIsaac(イサック)、右側がAbraham(アブラハム)像になります。

 

3人の異なる彫刻家が関わっていると説明しましたが、イサックとアブラハムは服のしわの部分などを見て同じ人物によるものではと考えられています。

 

今見るとただの石でつくった彫刻といった感じですが、もともと大聖堂の西側の門についていたころは色がついていました。

 

当時、サンティアゴへ到着した巡礼者やガリシアに住む人にとって大聖堂の栄光の門とその外側ある正門にある多色彫刻のインパクトといったら相当なものだったのではないかと思います。

 

さらに、ドアがない状態だったので雨の日も屋外にさらされていたわけです。300年ほど屋外にあった像が今こうして現在も見られると思うと見方が変わってきませんか?

 

それでは、なぜこれらの像がフランコの家族のものになったのかについて簡単に説明します。

 

大聖堂から撤去された像がなぜフランコの手に?

オブラドイロ広場に面する正門の修復工事により撤去されたこれらの彫刻はシモンデ伯爵(Conde de Ximonde)の手にわたります。

 

1948年、シモンデ伯爵はサンティアゴ市役所にこれらの作品を6万ペセタで売却します。売却に関する書類が残っており、公共の遺産なのでサンティアゴから出さないようにという条件もついていました。

 

ところが、1961年にバルセロナとサンティアゴ・デ・コンポステーラで開催されたロマネスク芸術に関する展示会で、これらの作品がフランコの名義となって出品されます。

 

一体、1948年から1961年の間に何が起こったのでしょうか?

 

具体的に何が起こったのかを証明する書類はありませんが、1954年の聖年にサンティアゴ市役所を訪れたフランコの妻(Carmen Polo)がラショイ宮殿内の階段に飾られていたイサックとアブラハムを気に入ったという情報があります。

 

当時の市長がフランコの妻、最終的にはフランコを喜ばせるために送ったのではないかとも考えられます。

 

これまでに何度もフランコの家族へアブラハムとイサックの像を返却するように要求していますが、家族から回答がない状態で、2008と2011年に行われた展示会や現在開催中の展示会でもフランコの家族から展示会へ「一時的に貸している」状態ですので、展示会が終わるとこれらの2作品は再びフランコの家族へと返却されます。

 

これらの作品の今後は?

これらの2作品を取り戻そうとする現サンティアゴ市役所の動きとは別に、ガリシア州政府はアブラハムとイサックを含む巨匠マテオの彫刻9作品を重要文化財(スペイン語でBienes de Interés Cultural)に登録する手続きを開始しました。

 

重要文化財に登録されても作品の名義に影響が出ないようですが、1か月に少なくとも4日間は一般に公開する義務があったり、勝手に売却できなくなります。

 

重要文化財の決定措置に最大で2年かかるようですが、文化財登録はある意味大きな1歩となります。

 

しかし、実際に登録が決まっても所有者がどういった反応を示すのか気になるところです。

 

まとめ

  • サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂のヘルミレス宮殿にて開催中の巨匠マテオの彫刻像は、中世時代の大聖堂西側の正門に設置されていたもの。
  • アブラハムとイサック像はサンティアゴ市役所に売却されたものだが、現在作品の名義はフランコの家族になっている。
  • ガリシア州政府は、アブラハムとイサック像を含むオリジナルの大聖堂西側正門にあった9つの彫刻像を重要文化財に登録するための手続きを開始。
  • 巨匠マテオの彫刻像の展示会は2018年2月23日まで。

 

栄光の門や元西側の正門には楽器を持っている彫刻像があります。実際に彼らは演奏しているのではなく調律をしています。栄光の門と音楽の関係性などこちらも非常に興味深いテーマですが、その一部に触れているのはこちらの記事です。

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展示会を見て、修復工事が終わった栄光の門を早く見たいなと強く思いました。修復工事に関してはこんな記事を書いています。こちらもどうぞ♪

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最後まで読んで頂きありがとうございました。

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