現在、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の横にあるヘルミレス宮殿において大聖堂の修復工事の様子を伝える説明パネルが展示されています。
子供から大人まで理解できるように絵や画像を使って非常に興味深い内容でした。
大聖堂の修復工事がなぜ長期間に及ぶのか、実際にどんな作業が行われているのか知ると足場のついた大聖堂の見方も少し変わるかもしれません。興味のある方はぜひお読み下さい。
石でできた大聖堂の天敵は?
建物の装飾部分だけではなく建物の構造的な面で深刻な問題を抱えるサンティアゴの大聖堂。
石でできた建物にとって、一番の敵は湿気です。
サンティアゴは雨がよく降る場所ですので、長い年月をかけて石は少しずつ劣化していきます。
これまでに雨や湿気により建物の外面に生えたコケといった植物をとり
石材の表面を掃除する作業などは行われてきましたが、
建物全体や構造的な部分にまで手を入れる修復作業は大聖堂ができてから初めてという話を聞きました。
大聖堂修復プロジェクトの内容は?
本格的な修復作業を進めていくうえで重要なカギを握るプロジェクトは、大聖堂参事会、ガリシア州政府、サンティアゴ市役所、さらに中央政府の文化省の承認を得て作成されました。
修復作業前に行われた調査で、正門や建物の外面に屋根、塔や教会の内部などで指摘されたのは534箇所。
建物の構造的損害、花崗岩の損傷、湿気による劣化、公害による汚れなどと損傷の特徴ごとに10のグループに分け、さらに損傷レベルごとにサブグループが作られ、修復作業の優先順位や具体的な修復作業の内容を決めたそうです。
どんな修復作業が行われているの?
工事用の足場
大聖堂を訪れる人からすると、正門を覆う工事用の足場は邪魔くさく感じてしまいますが、修復作業をする人が安全に建物の隅々まで動けるようするためにとても大事なものです。
正門にかかる足場の高さはおよそ76mで重さは120トン、面積にすると1万㎡でサッカー場とほぼ同じ大きさだそうです。
修復に使われる工具
修復作業には様々な工具や機械が使用されていますが、大聖堂の正門を建てた建築家フェルナンド・デ・カサスが1750年に使用した同じ工具を使っていると知って驚きました。
伝統的な修復技術
2つの石を金属でつないだ時に石と金属の隙間に溶かした鉛を流し込む
昔からの伝統的な技術(Enchumbado、Emplomado)があります。
石と金属をしっかり固定するのはもちろん、石の破損や金属の酸化や水分による腐敗も防いでくれるそうです。
また、流し込む鉛は当時使用していた亜鉛や鉛の少ないものを使用するために
異なる温度で溶かした鉛をフィルターにかけて不純物をとったものを事前に用意するということです。
修復作業の具体例
正門にある2つの塔の先に見えるドーム部分をCuplín(クプリン)と呼び、
それは自立式(Self-supporting)のため石を接着する必要がありません。
何世紀もその状態が続いていたのですが、1950年台にドームの内側を厚さ40㎝のセメントで覆い、
砂とセメントと水とを練り混ぜて作る「モルタル」という建築材料でふさがれました。
全く必要のない作業に加え、セメントにより石材を劣化させるという事態まで引き起こしたため、
オリジナルの姿に戻す作業が行われました。
- 石についたセメントを削る。
- 石を取り外す。
- 再び組み立てるために石をナンバリング。
- 木で仮設の支持体を作り、上から再び石を組み立て、最後に支持体を取って完成。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。